2018年トレイル世界選手権 Trail World Championships ペニャゴロサ・トレイルズ Penyagolosa Trails リザルト

trail world chamipionships 2018 Luis Alberto Hernando

自国での開催となったスペイン勢が今年も強さをみせつけましたが、後半の逆転劇が印象的な世界選手権に。日本代表は荒木宏太 Kota Arakiが12位となる快挙でした。スペインのカステリョー・デ・ラ・プラーナで開催されたペニャゴロサ・トレイルズ Penyagolosa Trailsの中で、85km 5000mD+のコースで5月12日土曜日に2018年のトレイル世界選手権 Trail World Championshipsが開催されました。今回の参加国数は前回の38カ国から50カ国へと増え、各国で選ばれた代表選手である331人が出走しました。男子のレースは終盤に入ってからスペインのルイス・アルベルト・ヘルナンド Luis Alberto Hernandoが先頭に立ち、そのあとに続くようにクリストファー・クレメンテ Cristofer Clementeも順位を上げるという、昨年のイタリアでの世界選手権と似た展開になり、二人が8分差で昨年と同じく優勝、準優勝を分け合いました。ヘルナンドはこれで3年連続のトレイル世界選手権優勝を達成しました。3位はイギリスのトーマス・エバンス Thomas Evansでした。女子は後半に先頭集団を抜け出たラグナ・デバッツ Ragna Debats(オランダ、スペイン在住)がリードをキープして2位に16分の大差をつけて優勝。2位には地元・カステリョー在住のライア・カニェス Laia Cañes(スペイン)が続き、3位は終盤の競り合いを制してクレア・モーゲ Claire Mougel(フランス)が入りました。日本代表チームは12位となった荒木のほか、川崎雄哉 Yuya Kawasakiが27位、吉原稔 Minoru Yoshiharaが50位。女子では斎藤綾乃 Ayano Saitoが75位でした。

(写真・コース核心部となる谷の中で先頭に立ったルイス・アルベルト・ヘルナンド。Photo by Koichi Iwasa)

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男子は昨年と同じヘルナンドが優勝、クレメンテが準優勝

午前6時に85kmのトレイル世界選手権がスタート

午前6時に85kmのトレイル世界選手権がスタート

男子のレースは30km地点ではザック・ミラー Zach Miller(アメリカ)を先頭にセバスチャン・スペーラー Sebasitien Spehler(フランス)、トーマス・エバンス、シルバン・コー Sylvain Court(フランス)が先頭集団でしたが、スペーラーはリタイア、コーも中盤からペースを落とします。そうした中で中盤では先頭のミラーから4分半後を走っていたルイス・アルベルト・ヘルナンドが着実にペースを上げて62km地点のエイドを出てまもなく、ミラーを捉えて先頭に。まるで予定通りのシナリオであったかのようにヘルナンドは残るテクニカルなトレイルの登り、林道でリードを広げ、最後は8時間38分でフィニッシュ。ヘルナンドの後にはミラーやエバンスが続いていたのですが、62kmのエイドからしばらくするとクリストファー・クレメンテ(スペイン)がぐいぐいとペースを上げてきて2番手に。50km地点でもクレメンテは先頭から15分後ろを走っていましたが、終盤は見事なレース展開で今回の2位を獲得しました。3位にはこの日ただ一人序盤から上位を守ったトーマス・エバンス。4位、5位はこちらも終盤に粘りをみせたジョナサン・アルボン Jonathan Albon(イギリス)とルドビック・ポムレ Ludovic Pommeret (フランス)が続きました。ザック・ミラーは順位を落としながらも8位でフィニッシュ。

優勝したルイス・アルベルト・ヘルナンドだが序盤は落ち着いたペース

優勝したルイス・アルベルト・ヘルナンドだが序盤は落ち着いたペース

3位になったトーマス・エバンス

3位になったトーマス・エバンス

ザック・ミラーが中盤の渓谷エリアを進む

ザック・ミラーが中盤の渓谷エリアを進む

62km地点のザック・ミラー、背後にルイス・アルベルト・ヘルナンドが迫っている

62km地点のザック・ミラー、背後にルイス・アルベルト・ヘルナンドが迫っている

優勝したルイス・アルベルト・ヘルナンド

優勝したルイス・アルベルト・ヘルナンド

日本勢は荒木宏太 Kota Arakiが序盤からトップ10圏内を快調に走りますが、中盤は12位前後を走る川崎雄哉 Yuya Kawasakiの後塵を拝することに。終盤の残り20kmで気合の入った走りをみせて先行する選手をとらえて12位まで順位を上げ、優勝したアルベルトから39分差でフィニッシュ。欧州、米国のトップクラスの選手が集まり、UTMBに匹敵する選手層の厚いレースでトップ10にあと一歩まで迫るという快挙によって荒木は世界のトップ選手の一人として存在感を示すことになりました。川崎雄哉は途中で転倒して膝に負った切り傷で終盤は苦しむことになり、27位でフィニッシュ。吉原稔 Minoru Yoshiharaは昨年のPenyagolosa Trails CSP 115kでみせた序盤の快走は封印、この日は序盤から慎重なペースに止まり、50位でのフィニッシュでした。

中盤では川崎雄哉(手前)と荒木宏太が並んで走る場面も

中盤では川崎雄哉(手前)と荒木宏太が並んで走る場面も

吉原稔

吉原稔

12位でフィニッシュした荒木宏太

12位でフィニッシュした荒木宏太

女子はラグナ・デバッツが世界選手権初勝利

女子優勝のラグナ・デバッツ

女子優勝のラグナ・デバッツ

女子のレースはオランダ人ながらスペイン在住でスカイランニングのシリーズ戦でも活躍しているラグナ・デバッツが後半にその走力の高さを見せつけました。続く2位争いは激しい展開でしたが、昨年の世界選手権で優勝、準優勝のフランスチームのアデリーヌ・ロシュ Adeline Roche アマンディーヌ・フェラート Amandine Ferrato は事前に伝えられていた通りコンディションが十分でなく2番手争いから脱落。アンマリー・メイデン Anne-Marie Madden(カナダ)、アサラ・ガルシア Azara Garcia(スペイン)はリタイア、といった具合。勝ち残ったのはライア・カニェス Laia Cañesでした。地元のヒロインの活躍にフィニッシュラインではひときわ高い声援が送られていました。 3位はクレア・モーゲ Claire Mougel(フランス)、4位にジェンマ・アレナス Gemma Arenas Alcazar(スペイン)、5位にマイテ・マイオラ Maite Maiora(スペイン)が続きました。日本代表の斎藤綾乃 Ayano Saitoはこの日は苦しいレースとなり、途中のエイドで時間をかけて補給と休養をとる場面もありましたが、完走を果たしました。

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各国代表選手の上位3人のタイムの合計で決まる国別表彰では男女ともスペインが1位。男子では優勝のヘルナンド、2位のクレメンテ、13位のパブロ・ビラ Pablo Villa。女子では2位のカニェス、4位のアレナス、5位のマイオラが男女の上位を固めました。このほか、男子では2位にイギリス、3位にフランス、4位にアメリカ、5位がドイツとなりました。女子は2位にフランス、3位にアメリカ、4位にイギリス、5位にスウェーデンが入りました。

リザルト

全体のリザルトはこちら

男子 Men

男子トップ3、左から2位のクレメンテ、優勝のヘルナンド、3位のエバンス。

男子トップ3、左から2位のクレメンテ、優勝のヘルナンド、3位のエバンス。

  1. ルイス・アルベルト・ヘルナンド Luis Alberto Hernando Alzaga (スペイン) 8:38:35
  2. クリストファー・クレメンテ Cristofer Clemente Mora (スペイン) 8:46:19
  3. トーマス・エバンス Thomas Evans (イギリス) 8:49:35
  4. ジョナサン・アルボン Jonathan Albon (イギリス) 8:53:41
  5. ルドビック・ポムレ Ludovic Pommeret (フランス) 8:58:12
  6. マリオ・メンドーザ Mario Mendoza (アメリカ) 9:00:31
  7. ロマン・メイラール Romain Maillard (フランス) 9:10:18
  8. ザック・ミラー Zach Miller (アメリカ) 9:12:31
  9. ジリ・シパ Jiri Cipa (チェコ) 9:15:46
  10. ヤノシュ・コワルチェク Janosch Kowalczyk (ドイツ) 9:16:10
  11. アンドリス・ロニモイス Andris Ronimoiss (ラトビア) 9:16:34
  12. 荒木宏太 Kota Araki (日本) 9:17:47
  13. パブロ・ビラ Pablo Manuel Villa Gonzalez (スペイン) 9:20:14
  14. トム・ハルバーセン Tom Erik Halvorsen (ノルウェー) 9:20:50
  15. ロバート・ハジャール Robert Hajnal (ルーマニア) 9:25:43
  16. ライアン・スミス Ryan Smith (イギリス) 9:25:50
  17. マルチン・スビレク Marcin Swierc (ポーランド) 9:32:09
  18. エフレン・セグンド Efren Segundo Quesada (スペイン) 9:33:38
  19. アドリアン・ミショー Adrien Michaud (フランス) 9:36:22
  20. ヨハン・ランツ Johan Lantz (スウェーデン) 9:36:32
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27 川崎雄哉 Yuya Kawasaki (日本) 9:40:59

50 吉原稔 Minoru Yoshihara (日本) 10:10:49

女子 Women

女子トップ3、左から2位のカニェス、優勝のデバッツ、3位のモーゲ。

女子トップ3、左から2位のカニェス、優勝のデバッツ、3位のモーゲ。

  1. ラグナ・デバッツ Ragna Debats (オランダ) 9:55:00
  2. ライア・カニェス Laia Cañes Badenes (スペイン) 10:11:11
  3. クレア・モーゲ Claire Mougel (フランス) 10:15:23
  4. ジェンマ・アレナス Gemma Arenas Alcazar (スペイン) 10:25:58
  5. マイテ・マイオラ Maite Maiora (スペイン) 10:28:20
  6. マグダレナ・ラチャック Magdalena Laczak (ポーランド) 10:30:15
  7. アデリーヌ・ロシュ Adeline Roche (フランス) 10:32:05
  8. クレア・ギャラハー Clare Catherine Gallagher (アメリカ) 10:36:37
  9. ホーリー・ページ Holly Page (イギリス) 10:37:52
  10. ケイトリン・ガービン Kaytlyn Gerbin (アメリカ) 10:39:40
  11. ベス・パスカル Elizabeth Pascall (イギリス) 10:40:58
  12. サブリナ・リトル Sabrina Little (アメリカ) 10:45:27
  13. タニア・ディアス Tania Diaz Slater (アルゼンチン) 10:47:53
  14. アマンディーヌ・フェラート Amandine Ferrato (フランス) 10:50:05
  15. エディタ・レワンドウスカ Edyta Lewandowska (ポーランド) 10:50:19
  16. ジョナンナ・ビグデル Johanna Bygdell (スウェーデン) 10:58:30
  17. エバ・スペルガー Eve Sperger (ドイツ) 11:05:30
  18. ファニー・ボルグストローム Fanny Borgström (スウェーデン) 11:05:30
  19. クラウディア・ロセガー Claudia Rosegger (オーストリア) 11:05:34
  20. イネス・マルケス Ines Marques (ポルトガル) 11:05:41
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75 斎藤綾乃 Ayano Saito (日本) 13:11:26

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