サロマ湖100kmウルトラマラソン 2019 プレビュー #Saroma100k

今週末の6月30日日曜日午前5時にスタートするサロマ湖100kmウルトラマラソンは今回で34回目の開催。今回初めてこの大会を取材し、後日レポートをお届けする予定です。

DogsorCaravan恒例の現地からのライブ速報やインタビューは今回のサロマ湖については予定していません。しかし、日本のウルトラマラソンの最高峰といえるこの大会は、世界トップクラスの日本のウルトラマラソンランナーが競うドラマの舞台です。この記事では大会ガイドブックに掲載されている選手リストから、今年のサロマ湖100kmの有力選手をご紹介します。

Sponsored link


毎年上位に入っている実力あるウルトラランナーから、最近頭角を表した選手、そして実業団アスリートとしての実績を持ちサロマをデビュー戦に選んだ選手。今年のサロマ湖の注目選手をご紹介します。この記事に加えるべき有力選手についての情報は当サイト・DogsorCaravanのFacebookページやTwitterにお寄せください。

大会開催当日はランナーズアップデート、および応援ナビでレースの状況を知ることができます。

女子 Women

昨年のサロマ湖100kmで優勝したのは藤澤舞 Mai Fujisawa。2008年の初出場以来、上位入賞を重ねているこの大会で2013年に続く二度目の優勝で、7時間37分56秒は自己ベストとなるタイムでした。昨年9月の100km世界選手権(クロアチア)においては日本代表選手でトップの3位でフィニッシュ、日本代表チームを金メダルに導きました。今回はサロマ湖で二連覇を目指します。

太田美紀子 Mikiko Otaもサロマ湖100kmの経験は豊富なウルトラマラソンランナー。サロマ湖の順位では2014年の6位から昨年の2位まで一つずつ順位を上げています。昨年の世界選手権では藤澤に続く4位、7時間39分45秒で100kmのPRを更新しています。トレイルランニングのレースにも積極的に取り組んでいる太田は昨年のハセツネCUPでも自身の最高位となる4位。今回のサロマ湖でもう一つ順位を上げることができるか、注目です。

昨年のサロマ湖で藤澤、太田に続く3番手、7時間47分7秒でフィニッシュしたのが安曇樹香 Konoka Azumiでした。トライアスロンに取り組む安曇はオフシーズンのトレーニングにウルトラマラソンのレースにも出ていましたが、トップ選手が集まるサロマ湖で初挑戦の一般の部の選手の活躍は話題となりました。昨年12月には沖縄100kmで優勝、今年3月には茨城100kmで優勝。今回は陸連登録の部で出場、優勝候補の一角を占めます。

昨年の世界選手権で金メダルを勝ち取った女子日本代表チームのメンバーでは兼松藍子 Aiko Kanematsu楠瀬祐子 Yuko Kusunoseも揃ってサロマ湖にエントリー。世界選手権で5位、PRを更新(7時間44分58秒)した兼松は昨年のサロマ湖で4位。昨年は秋以降も丹後(2位)、四万十川(優勝)、24時間アジアオセアニア選手権・Soochow(3位)、今年4月には富士五湖100km(優勝)とレースを重ねています。世界選手権6位でPR更新(7時間49分33秒)の楠瀬は今年4月に富士五湖118kmで四連覇、5月の八ヶ岳野辺山100kmで優勝。

このほか女子の注目選手として次の選手が続きます。

  • 中村美香 Mika Nakamura:昨年のサロマ湖で7位、柴又100kで2018年優勝、2019年3位。
  • 仲田光穂 Miho Nakata:昨年のサロマ湖で8位、昨年の四万十川で2位、房総半島横断70kで優勝。今年の戸田・彩湖ウルトラ70kで優勝。
  • 柿沼久代 Hisayo Kakinuma:昨年のサロマ湖で9位。四万十川では2014年優勝、2017年2位。

男子 Men

昨年のサロマ湖100kmの男子では風見尚 Nao Kazamiが6時間9分14秒で優勝し、20年にわたって世界の誰も破ることができなかった砂田貴裕 Takahiro Sunadaの世界記録(6時間13分33秒)を更新。昨年の世界のウルトラランニング界を賑わせた一大事でした。続いて9月に行われた100km世界選手権では、この時のサロマ湖の上位4人が日本代表として出場。山内英昭 Hideaki Yamauchiが優勝して世界チャンピオンとなり、日本代表男子チームは女子チームとともに金メダルを獲得。日本のウルトラマラソンランナーの実力が改めて世界に示されることになりました。

世界記録保持者の風見は6月9日のコムラッズ・マラソン(南アフリカ)で3位となり、今年のサロマ湖にはエントリーしていません。しかし昨年の日本代表チームメンバーは風見以外は揃うなど、上位は接戦となりそうです。

昨年のサロマ湖で準優勝、100kmのPRを更新(6時間20分49秒)したのが早坂光司 Koji Hayasaka。二度目の出場となった世界選手権では4位となりました。サロマ湖では2014年にも準優勝しており、今回は初めての優勝に期待が集まります。

昨年のサロマ湖で3位(6時間22分55秒)となったのは行場竹彦 Kakehiko Gyoba。早稲田大OBのランニングメディアの編集者が実質的に初めての100kmウルトラマラソンでトップ3に入るという快挙でした。続く世界選手権でも2位となり、あっという間に世界的なトップ選手として知られる存在となります。今シーズンもどんな活躍を見せるか注目です。

山内英昭 Hideaki Yamauchiは昨年の世界選手権で優勝(6時間28分5秒)。前回の2016年世界選手権(スペイン)に続く連覇を果たしました。世界選手権では後半の粘りと力強さを発揮、勝負強いアスリートとして知られます。学生時代はテニス部、仕事はフルタイムのサラリーマンが世界チャンピオンとなったエピソードは国内外で広く報じられました。今年5月にカリフォルニアで行われた100kmレース、Project Carbon Xではアメリカのトップ選手が失速する中で見事に優勝しています。サロマ湖では2016年に2位、2017年に5位、2018年に4位。今回は初優勝となるか。100kmのPRは6時間18分22秒(2016年世界選手権)。

2017年に柴又100k、隠岐島100k、四万十川100kと100kmレースで三連勝した川内鮮輝 Yoshiki Kawauchiは昨年のサロマ湖に初挑戦でPRの6時間28分35秒で5位になりました。川内三兄弟の次男で兄・優輝とともに4歳から走り始め、國學院大で箱根駅伝の登録選手に。箱根出場は果たせず一度は競技から遠ざかったものの、ウルトラマラソンの世界へ転身します。目標としている100km世界選手権の日本代表選手の選考は次回は来年ですが、今回のサロマ湖ではどんな結果を残せるか。

板垣辰矢 Tatsuya Itagakiは2016年、2017年にサロマ湖100kmを連覇。特に2017年には6時間14分18秒と世界記録に45秒差まで迫る快走をみせ、このタイムにより板垣はサロマ湖のタイムで歴代3位となっています。学生時代には帝京大で箱根駅伝に出場。現在は札幌国際大でコーチ兼選手として競技を続けており、今年に入ってフルマラソンのPRを更新しています。昨年のサロマ湖では7位でした。【追記・板垣選手は札幌国際大の大学院を修了して現在は静岡県在住。箱根駅伝では2009年6区2位、2010年6区4位となっています。】

以上のすでにサロマ湖で実績を残している選手に加えて、実業団で活躍する選手のウルトラマラソンデビューに注目です。五郎谷俊 Shun Gorotaniは東洋大で2016年の箱根駅伝5区で区間3位。卒業後はコモディイイダで長距離走の実業団アスリートとして活躍しながら2017年、2018年の富士登山競走で優勝して変わらない山での強さを発揮。その五郎谷が今シーズンはウルトラマラソンに目を向け、今回のサロマ湖に焦点を合わせています。

同じく箱根駅伝を経て実業団で活躍してきた大塚良軌 Yoshiki Otsukaも今回、100kmのウルトラマラソンに初挑戦です。2009年に上武大で箱根駅伝に出場、愛知製鋼ではニューイヤー駅伝のほか、マラソンで2時間11分40秒(2014年福岡国際)の自己ベストを記録しています。今年春、実業団アスリートを引退し、今回サロマ湖で新たな可能性に挑戦することになります。同じ愛知製鋼陸上競技部のOBで世界記録保持者の風見尚に続けるか、注目です。

大塚と同じ2009年箱根駅伝10区を拓殖大のメンバーとして走ったのが児玉雄介 Yusuke Kodama。卒業後はコモディイイダの実業団アスリートとして2015年にはフルマラソンのPRを更新(2時間16分16秒)しますが、その後ケガに悩まされて低迷します。昨年には朝霞市役所職員に転身し、公務員ランナーとして今回のサロマ湖に挑みます。

これも読む
ハセツネCUP・日本山岳耐久レース 2022 プレビュー #ハセツネ

さらに男子の注目選手として次の選手が続きます。なお、昨年9位の高田由基 Yoshiki Takadaはエントリーリストには名前があるもののレースには出場しません。

  • 中村泰之 Yasuyuki Nakamura:2017年サロマ湖で2位、6時間29分52秒。フルマラソンPR2時間12分36秒(2017年防府)。
  • 外池快太郎 Kaitaro Toike:サロマ湖では2016年4位(6時間40分50秒、100kmのPR)、2017年6位、2018年13位。2016年100km世界選手権(スペイン)で8位。
  • 大林僚 Ryo Obayashi:四万十川100kmで2016年に優勝、2017年の2位を経て昨年再び優勝。昨年のサロマ湖で10位、100kmのPRを更新(6時間48分59秒)。
  • 冨高一成 Kazunari Tomitaka:昨年のサロマ湖で11位、四万十川100kmで5位。今年の南横100km(台湾)で優勝、武庫川ゆりかもめ70k優勝。
この記事が気に入ったらDogsorCaravanをBuy Me a Coffeeで直接サポートできます!

Buy Me a Coffee

Sponsored link