【台風19号のため中止】ハセツネCUP・日本山岳耐久レース 2019 プレビュー #ハセツネ

ハセツネカップ【追記:2019年のハセツネCUP開催を控え、猛烈な勢力の台風19号が本州に接近。大会前日の12日土曜日から翌日13日朝まで記録的な降水量が見込まれています。大会では11日金曜日午後に大会の中止を発表。27回を数える大会史上で初めてハセツネCUPは中止となりました。】

日本のトレイルランニングのシーズン終盤に、東京・あきる野、奥多摩で開催される日本山岳耐久レース(ハセツネCUP)。今年も10月13日日曜日午後1時にスタートする71.5kmのレースは今年で27回目の開催となり、多くのトレイルランナーが挑戦してきた名イベント。さらに事実上のトレイルランニングの日本選手権としても注目を集め、これまで多くの名勝負や大記録を生み出してきました。今年の大会が行われる週末の三連休は台風19号が日本列島に接近する見込みで、今年のハセツネCUPは久しぶりに雨の中の開催となるかもしれません。あるいはその勢力が非常に強いため、台風は大会開催の可否に影響することも考えられます。

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今年のハセツネCUPを当サイト・DogsorCaravanでは大会会場の五日市会館はもちろん、コース上の主なポイントから上位選手のレースの様子をライブ速報でお伝えします。今回のハセツネCUPのレポートはSalomonのご協賛によりお送りします。

ライブ速報は男女の上位選手の動きを中心に、コース上の主なポイントからリアルタイムでお伝えします。この機会にTwitterのアカウント、@DogsorCaravan をフォローしてお楽しみ下さい。さらに、大会終了後はいち早くリザルトを紹介する記事を公開するほか、上位入賞選手のインタビューをお送りします。

(カバー写真・2018年ハセツネCUPを走る高村貴子 Takako Takamura。Photo by DogsorCaravan)

【この記事では、大会当日まで有力選手の追加や出場見送りなどの情報を随時追記しています。】

ハセツネCUPのコースやフォーマットは例年通りです。

  • 10月13日日曜日午後1時にあきる野市の五日市中学校をスタート、制限時間は24時間。
  • コースはあきる野・奥多摩の山岳コースを一周して五日市会館へと戻る71.5km(GPSによる実測は65.4km程度、累積獲得高度 3,850mD+)。
  • 約2,500人のランナーが参加(前回大会スタッフボランティア、春のハセツネ30kの男子上位1000人、女子上位100人に優先エントリー権、あきる野市ふるさと納税エントリー枠<上限400人>あり)。
  • コース上での補給は第二関門(月夜見第二駐車場、42km地点)の1.5リットルの給水所とコース後半の三ヶ所の天然水の水場のみ。

現在のハセツネCUPの大会記録は男子が7時間1分13秒(上田瑠偉 Ruy Ueda、2014年)、女子が8時間54分07秒(櫻井教美 Norimi Sakurai、2008年)です。

今年のハセツネCUPの有力選手

今年のハセツネCUPで上位が見込まれる選手を皆さんを当サイトがエントリーリストの中からピックアップしてご紹介します。

女子 Women: 高村貴子の四連覇なるか

高村貴子 Takako Takamura

高村貴子 Takako Takamura

今年のハセツネCUPで四連覇を達成するかに注目が集まるのは高村貴子 Takako Takamura。2015年のハセツネCUPに3位でデビュー、翌年の2016年に初優勝して昨年は三連覇。2017年には9時間17分30秒の好記録で女子歴代3位となるタイムを出しています。今年のハセツネCUPで優勝すれば男女を通じて初の四連覇となります。今年は春に医大を卒業して研修医となった節目の年ですが、スカイランナー・ワールドシリーズを中心にアスリートとしても活躍。4月の粟ケ岳スカイレースで3位、7月の Royal Ultra Sky Marathonで7位、Comapedrosa Skyraceで8位、8月のMatterhorn Ultraksで8位。先月は上州武尊山スカイビュートレイル・30kmで男女総合4位で優勝。今回も優勝候補の筆頭で大会記録の更新にも期待がかかりますが、大会当日は雨が見込まれていて記録更新には厳しいコンディションとなるかもしれません。

高村の四連覇を阻むとすれば大石由美子 Yumiko Oishiか浅原かおり Kaori Asaharaでしょう。大石は2011年と2013年のハセツネCUPで優勝しており、2013年の9時間26分55秒が自己ベストとなります。ちなみに女子で9時間30分以内でフィニッシュした記録を持つのはこれまで5人だけで、大石もその一人です(他は櫻井教美、高村貴子、佐藤光子、北島良子)。今シーズンはOSJ新城64k、奥三河70k、道志村44k、美ヶ原90k、上州武尊山スカイビュートレイル140kでいずれも優勝、OSJおんたけ100kで3位と好調です。久々のハセツネCUPで3度目の優勝を手にするかもしれません。一方、浅原かおり Kaori Asaharaは今年のUTMFで昨年に続いて2度目の3位になっています。今年夏にはOSJおんたけ100kで優勝。ハセツネCUPでは初挑戦の2015年から4回連続でトップ6に入って表彰台に立っています(順位では2016年の3位、タイムでは2015年の9時間59分56秒がベスト)。今年も優勝争いの一角に加わるでしょう。

大石由美子 Yumiko Oishi

浅原かおり Kaori Asahara

昨年初めて出場したハセツネCUPで安定した走りで2位(10時間6分10秒)になったのは宮﨑喜美乃 Kimino Miyazakiでした。今年のハセツネでも昨年のような活躍に期待です。今年は5月のAso Round Trailで6位のほか、6月にトレイル世界選手権に日本代表として出場しています。そのトレイル世界選手権で同じく日本代表だったのが斎藤綾乃 Ayano Saitoで、ハセツネCUPでは2017年に2位(10時間5分48秒)となっています。今年は3月のOSJ新城32kで2位、道志村44kで3位などの結果を出しています。

さらに昨年のIAU100km世界選手権で4位、今年のサロマ湖100kで優勝の2位の太田美紀子 Mikiko Otaは昨年のハセツネCUPで4位(10時間38分7秒)【訂正しました。2019.10.09】。九州のレースで活躍する吉田広美 Hiromi Yoshidaは2014年、2017年、2018年のハセツネCUPでいずれも5位(タイムのベストは2014年の10時間20分51秒)で今年はさらに上位を目指しているでしょう。実業団アスリートの経験を持つ黒澤莉楠 Rina Kurosawaは今年春のハセツネ30kで2位。今回がハセツネCUPに初挑戦でどんなデビュー戦となるか注目したいところ。今年は石岡トレイルラン46kで優勝、OSJ奥久慈50kで2位と長距離のレースについても経験を重ねています。

さらに次の皆さんにも注目です。

  • 大庭知子 Tomoko Oba : 昨年のハセツネCUPで7位のほか、2009年から2016年まで連続でトップ10入り。自己ベストは9時間50分(2014年、4位)。
  • 久津間紗希 Saki Kutsuma : ハセツネCUPで昨年は8位、2017年に9位。今年はハセツネ30kで4位、美ヶ原90kで4位。
  • 松井一葉 Kazuha Matsui : 2015年にハセツネCUP5位(9時間58分)という記録を持つレジェンド。昨年は12位。今年は道志村44kで2位、北丹沢で3位。
  • 野間陽子 Yoko Noma : 2016年ハセツネCUPで5位。昨年は15位。今年は昨年に続いてAndorra Ultra Trail・Euforia 233kを星野緑とのペアで完走。
  • 中野沙知 Sachi Nakano : 昨年のハセツネCUPで11位。今年はFTR飯能50kで優勝、美ヶ原90kで3位。
  • 關利絵子 Rieko Seki : 昨年のハセツネCUPで10位。 今年のOSJ真昼山地50kで優勝。
  • 又井ゆうこ Yuko Matai : 2018年OSJ奄美で2位。
  • 針谷香苗 Kanae Harigaya: ハセツネCUPで昨年14位、一昨年10位。
  • 村井絢子 Ayako Murai : 2017年、2018年ハセツネCUPで13位。今年の野沢温泉65kで2位。
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男子 Men: 今年のハセツネは混戦となる?

優勝候補

今年のハセツネCUP男子の優勝争いに加わるのは誰か?ここ数年のハセツネCUPで上位に入る活躍をみせた選手が揃う中、当サイトが考える優勝候補を紹介しましょう。

三浦裕一 Yuichi Miura

まずは昨年のチャンピオン、三浦裕一 Yuichi Miuraを挙げることになります。昨年の蒸し暑かったハセツネCUPで最後まで快調にリードをキープして勝利を勝ち取った三浦は、今年からプロ・トレイルランナーとなりました。少々気負いすぎたか、4月のUTMFでは低体温、5月のAso Round Trailでは脚に大ケガ、8月のTDSでは胃腸のトラブルでそれぞれリタイア。しかし、脚のケガが癒えた7月に入ると北丹沢でタイで1位、野沢温泉65kで優勝、大雪山72kで優勝という結果を残しています。昨年大きなタイトルを手にしたハセツネCUPを連覇する可能性は十分あるでしょう。この大会での自己ベストのタイムは2015年に2位となった時の7時間47分15秒。

小原将寿 Masatoshi Obara

そして今年のUTMB®︎で8位となり、日本の選手として久々に表彰式のステージに立った姿が記憶に新しいのが小原将寿 Masatoshi Obaraです。今年はこれまでの「序盤は抑えて後半で勝負」というコンサーバティブな考え方から、「最初から積極的に前に出る」というアグレッシブなスタイルに方向転換。今年はUTMFで4位、そしてUTMB®︎での8位と世界のトップ選手とのレースで新しいスタイルでレースに臨んで成功しています。この勢いでいけばハセツネCUPでもレースを積極的にリードするシーンがきっと見られるでしょう。昨年のこの大会では途中でコースをロストしながらも4位になっています。その前は2013年にも4位でこの時はタイムで自己ベストとなる7時間41分21秒を記録しています。

川崎雄哉 Yuya Kawasaki

2016年のハセツネCUP王者の川崎雄哉 Yuya Kawasakiについても当サイトは優勝争いに食い込む展開を予想します。2016年の優勝タイム7時間27分51秒がベストで、2017年は4位、2018年は後半に大きく崩れたものの18位でフィニッシュ。最近ではトレイル世界選手権に日本代表チームのメンバーとして参加していて、2017年(49k、イタリア)は30位、2018年(85k、スペイン)は27位、2019年(44k、ポルトガル)には23位となっています。海外で受けた刺激を自身の出世レースにぶつけることができたら2度目の勝利をつかむことになるでしょう。

ここにハセツネCUPでの経験、実績とも豊富な、ベテラン選手が加わります。レースの展開次第ではこれらの選手が有利となることもあるでしょう。

東徹 Toru Higashiは2013年のハセツネCUPを7時間19分13秒で優勝。このタイムはコースレコードホルダーの上田瑠偉に続く歴代2位の記録です。昨年からは仕事が多忙なゆえかレースでは目立った結果を残していませんが、今年の北丹沢では三浦裕一、近藤敬仁とともにタイで優勝(記録は3位)しています。

「ミスターハセツネ」、奥宮俊祐 Shunsuke Okunomiyaは2015年のハセツネCUPチャンピオンでタイムの自己ベストは2014年の7時間28分34秒(3位)。今シーズンは7月のEiger Ultra-Trail E51で3位でした。

小川壮太 Sota OgawaもハセツネCUPでは2017年に3位、自己ベストは7時間36分13秒(2014年、5位)という記録を持ちます。今シーズンは6月のEchigo Country Trail 53kで3位、大雪山72kでは2位。

ベテランと呼ぶには早いかもしれませんが荒木宏太 Kota Arakiも2016年ハセツネCUPでは3位(8時間1分45秒、自己ベスト)になった経験を持ちます。昨年のトレイル世界選手権・Penyagolosaでは12位という好成績を挙げています。

一方、昨年この大会にデビューしてレース前半をリード、2位となった城武雅 Masashi Shirotakeも今年の大会にエントリーしていて活躍が期待されますが、仕事の都合から出場は見送る模様です。

トップ3の候補

続く選手たちも実力は互いに伯仲しています。トップ3をめぐっては激しい入れ替わりがあるかもしれません。

中でも26歳の横内佑太朗 Yutaro Yokouchiは今年の注目株。今年春のハセツネ30kでは城武雅に次いで2位。2月のOSJ奄美50k、4月の石岡トレイルラン46kや7月のOSJおんたけ100kで優勝しています。6月のトレイル世界選手権には日本代表メンバーとして出場。今回がハセツネCUP初出場となります。

地元である埼玉のトレイルランニングレースで上位常連として知られていた矢嶋信 Makoto Yajimaが活躍する場を広げ始めたのは2018年に入ってから。昨年のハセツネCUPでは8時間42分40秒で3位になってその実力を示しました。その後も昨年11月のFTR100で2位、今年6月にはスカイライントレイル菅平、美ヶ原90kでそれぞれ優勝しています。

奥山聡 Satoshi Okuyamaはハセツネ・ファンに最近鮮明な記憶を残した選手の一人です。初出場の2013年に3位、2014年に上田瑠偉に続く2位(7時間22分2秒)、2015年に3位、2016年に4位。今年は久々にこの大会にカムバックとなります。今年は5月に櫛形ウインドトレイル31k、6月の美ヶ原80kでそれぞれ優勝しています。

吉原稔 Minoru Yoshiharaも2017年のハセツネCUPで後半に順位を上げていく鮮やかなレース展開を見せて7時間51分27秒で2位という結果を出して注目されたのが記憶に新しい選手です。今年は石岡トレイルラン46kで6位、富士忍野高原34kで6位でした。

昨年のハセツネCUPで6位だったのは牧野公則 Masanori Makino。2月のOSJ奄美50kで2位、4月のUTMFで11位、7月のOSJおんたけ100マイルで優勝。ハセツネCUPのタイムの自己ベストは8時間47分47秒(2017年、9位)です。

ここ数年のシーズン中はほぼ毎週末、各地でレースに出ている町田知宏 Tomohiro Machidaも今回が初めてのハセツネCUP。4月の石岡トレイルラン46kで3位、スパトレイル56kで優勝。

今年の石岡トレイルラン46kで2位となって上記の横内、町田ともに表彰台に立ったのが青木純 Jun Aoki。トレイルランニングでのリザルトはまだ多くありませんが、6月のOSJ奥久慈50kを2位で完走しています。

トップ10圏内

続くトップ10も今年は選手層の厚いレースとなりそうです。

  • 堀江謙一 Kenichi Horie : 2017年ハセツネCUPで7位(8時間45分28秒)。2019年千羽海崖37kで2位。
  • 細山雄一 Yuichi Hosoyama : 2018年ハセツネCUPで8位、今年の石岡トレイルラン46kで4位。
  • 伊藤健太 Kenta Ito:ハセツネCUPでは2015年7位(8時間8分18秒)、2016年6位、2018年7位。2019年UTMFで8位。【追記しました。2019.10.09】
  • シン・ジェドク 沈在徳 Jaeduk Sim : 2006年ハセツネCUP優勝。2017年ハセツネCUPで8位。今年はKorea 50k-80kで2位、TNF100 Korea 100kで優勝。
  • 吉田賢治 Kenji Yoshida : ハセツネCUPで2018年20位、2017年18位。今年は上州武尊山スカイビュートレイル70kで優勝。
  • 長田豪史 Goshi Osada : 今年のOSJ新城64kで2位、道志村44kで5位、OSJ奥久慈50kで3位。Trail del Marchesato 37k(イタリア)で9位。
  • 小林彰人 Akihito Kobayashi: 2019年道志村21kで4位、北丹沢7位、上州武尊山スカイビュートレイル30kで5位。
  • 名取将大 Masahiro Natori : 今年の道志村44kで2位。
  • 土屋克則 Katsunori Tsuchiya : 2018年FunTrails名栗26kで優勝、FTR50で4位、今年の北丹沢で8位。
  • 貝瀬淳 Jun Kaise : 2018年櫛形ウィンドトレイル31k優勝、トレニックワールド越生ときがわ30k優勝。
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当サイトが注目する皆さん

さらに次の皆さんにも注目です。

  • 栗原健誌 Kenji Kurihara : 2019年多良の森41kで優勝、OSJ新城32kで5位。
  • 平賀太智 Taichi Hiraga : 2019年道志村21kで3位、2018年北丹沢6位。
  • 木村隼人 Hayato Kimura: 2019年上州武尊山スカイビュートレイル143kで5位。
  • 山田琢也 Takuya Yamada : 2017年ハセツネCUPで6位。2018年Aso Round Trail 112kで3位。
  • 柴田幸生 Yukio Shibata : 2019年OSJ新城32kで4位、2017年ハセツネCUPで14位。
  • 重原政幸 Masayuki Shigehara: 2018年OSJ奄美50kで3位、Funtrails名栗26kで2位。
  • 野田武志 Takeshi Noda : 昨年のハセツネCUPで11位。2018年UTMFで21位、2019年OSJ新城32kmで7位。
  • 井上隆詞 Takanori Inoue: 2018年、2019年美ヶ原45kでいずれも4位。2019年中央アルプススカイライン35kで5位。
  • 加藤淳一 Junichi Kato: 2015年ハセツネCUPで4位。2019年富士忍野高原34kで2位。
  • 伊東努 Tsutomu Ito : 2018年ハセツネCUPで9位。
  • 佐谷尚紀 Naoki Satani : 2019年富士忍野高原34kで3位。 2018年ハセツネCUPで28位。
  • 古賀聖 Sei Koga: 2018年ハセツネCUPで12位。
  • 中川大輔 Daisuke Nakagawa: 2018年ハセツネCUPで15位。
  • 円井基史 Motofumi Marui : 2017年ハセツネCUPで15位。
  • 小山真一 Shinichi Koyama : 2015年ハセツネCUPで11位。
  • 荒木諒 Ryo Araki: 2018年スパトレイル71kで7位、中能登トレジャートレイル50kで3位。
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