COROS PACE2レビュー:海外で人気のメーカーが発売するGPSランニングウオッチはエントリーモデルに見えてトレーニングに熱心な上級者にも見逃せない機能を備える

海外のトレイルランニングコミュニティで注目のブランドの新製品が日本に上陸します。

スポーツGPSスマートウオッチのCOROS(カロス)は最新モデルの「PACE2」のクラウドファンディングをMakuakeでスタートしました。COROSはすでに海外ではトレイルランニングやクライミングなどの山岳スポーツに向けたプレミアムモデルを発売していて注目を集めています。そのCOROSから普及価格帯でランニングをはじめとする幅広いスポーツに対応するマルチスポーツGPSスマートウオッチとして発売されるのが「PACE2」です。

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COROS PACE2

COROS PACE2

当サイトではクラウドファンディングに先立ってレビュー用に提供していただいた「PACE2」を早速試してみました。最初に感じたのは29gと軽くて薄いウオッチを身につける軽快さ。しかし使い込んでいくうちに気づいたのはスポーツウオッチとしての豊富な機能とフルGPSモードでバッテリー持続時間が30時間という妥協のないスペックの高さ。お値段はミドルレンジながら、ランニングパワー計測機能やトレーニングプラン管理機能といったシリアスなアスリートが求めるプレミアムモデルの機能を備える、ユニークな製品です。

COROS(カロス) PACE2のクラウドファンディングはMakuakeで1月25日まで受付中。この記事の公開時点では一般販売予定価格30,390円のところ28%オフの21,900円(税込・送料込)で支援可能となっています。

一見エントリークラスのランニングウオッチに見えるが、ガチなアスリートの期待に応えるスペック

アメリカ・バージニア州のスタートアップ企業として始まったCOROS(カロス)が2016年に最初に生み出した製品はスポーツ自転車用のスマートヘルメットでした。2018年春には製品ジャンルを拡大してマルチスポーツGPSウオッチ「PACE」を発売。その年の秋には「APEX」、2019年夏にはGPSモードで最長150時間というアドベンチャー仕様の「VERTIX」、今年2020年春には「APEX Pro」と製品ラインを拡大。COROSがサポートするアスリートを見ても、トレイルランニングやアルパインクライミングのようなハードコアでエクストリームなアウトドアスポーツにも焦点を当てていることがわかります。

また11月24日にはCOROSがマラソン世界記録保持者のエリウド・キプチョゲ Eliud Kipchoge選手と所属するNN Running Teamのスポンサーとなることが発表されました。このNN Running Teamには日本の福田穣選手が加入することが先週発表されています。キプチョゲ、福田の両選手をはじめとするNNのトップアスリートもPACE2をトレーニングに活用することになるのでしょう。

COROSではトレイルランニングやアルパインクライミングのプロアスリートも多数サポートしている。

COROSではトレイルランニングやアルパインクライミングのプロアスリートも多数サポートしている。

そのCOROSが今年秋、アメリカやヨーロッパ、中国で発売したのが「PACE2」。その名の通り「PACE」の2代目モデルという位置付けで、サイズは42 x 42 x 11.7 mm、重量はナイロンバンド込みで29g(シリコンバンドのモデルは35g)で「GPSウオッチとしては市場で最軽量」をうたっています。

2018年にCOROSが最初に発売したGPSスマートウオッチの二代目となるPACE2。

2018年にCOROSが最初に発売したGPSスマートウオッチの二代目となるPACE2。

恒例の横並び比較。左からApple Watch Series 5 (40mm), COROS PACE2, Garmin fenix 6X, Suunto 9 baro。並べやすくするためPACE2のストラップは一時的に取り外している。

恒例の横並び比較。左からApple Watch Series 5 (40mm), COROS PACE2, Garmin fenix 6X, Suunto 9 baro。並べやすくするためPACE2のストラップは一時的に取り外している。

こちらも恒例の積み上げ比較。上からApple Watch Series 5 (40mm), COROS PACE2, Garmin fenix 6X, Suunto 9 baro。

こちらも恒例の積み上げ比較。上からApple Watch Series 5 (40mm), COROS PACE2, Garmin fenix 6X, Suunto 9 baro。

ベゼルとケースはFRPでスクリーンはコーニング社製ガラス。ボタン類はベゼル右にデジタルダイヤルとボタンが一つずつ。外観はカジュアルなデザインですがベゼルが薄いのでディスプレイが大きく見え、チープなプラスチック感はありません。防水等級は5ATMです。

操作系はデジタルダイヤルとボタン1つのみ。タッチスクリーンではないので、このダイヤルとボタンのみで操作する。操作は分かりやすいが、トレイルランニングで寒くて指がかじかんだりグローブをしていたりする場合にはデジタルダイヤルを回す操作には手間取るかもしれない。

操作系はデジタルダイヤルとボタン1つのみ。タッチスクリーンではないので、このダイヤルとボタンのみで操作する。操作は分かりやすいが、トレイルランニングで寒くて指がかじかんだりグローブをしていたりする場合にはデジタルダイヤルを回す操作には手間取るかもしれない。

ディスプレイは「Always-On Memory LCD」で240 x 240ピクセル。スポーツウオッチでは一般的な省電力の液晶ディスプレイです。タッチスクリーンには対応していないので、操作はデジタルダイヤルとボタンで行うことになります。

データはスマートフォンアプリで管理し、ブラウザベースのプラットフォームはない。スマホアプリは簡体字の漢字が残るところもあるが、日本語表示は分かりやすい。しかし、(i)のアイコンから閲覧するデータの意味の説明は日本語表示では何も表示されないものも。写真は英語表示に切り替えているが、英語表示では説明が表示された。

データはスマートフォンアプリで管理し、ブラウザベースのプラットフォームはない。スマホアプリは簡体字の漢字が残るところもあるが、日本語表示は分かりやすい。しかし、(i)のアイコンから閲覧するデータの意味の説明は日本語表示では何も表示されないものも。写真は英語表示に切り替えているが、英語表示では説明が表示された。

以上のスペックはミドルレンジのスポーツGPSウオッチとしては平均的ですが、バッテリー持続時間が日常使用で20日間、「フルGPSモード」で30時間、「UltraMax GPSモード(長稼働モード)」で60時間となっているのにはちょっと驚き。レースやトレーニングで使う「フルGPSモード」は同じクラスの他社製品であれば10数時間くらいのものが多いので、PACE2のバッテリーライフは大盛り状態。バッテリーについては100kmや100マイルのトレイルランニングやウルトラマラソンのレースで使えるレベルの容量です。実際の生活の中で試したところ、一度100%まで充電してからちょくちょくメニュー画面を確認するために操作を繰り返し、毎日2、3時間程度のランニングを続けたところ、7日目が終わるところでバッテリーはゼロになりました。

アクティビティ中にバッテリーの残りが少ないと気づいたら長稼働モードに切り替えて稼働時間を延ばすこともできます(長稼働モードではGPSの測位の頻度を減らしつつも加速度センサーを使って距離やペースを記録し続けますが、一般的にデータの精度はフルGPSモードよりも落ちます)。

このほか、他社製品ではあまりみないPACE2のユニークな機能が「ナイトモード(発光モード)」。これは日没から日の出までの夜間の間、ディスプレイの表示が読めるくらいの明るさでバックライトを常時点灯させるという機能。これとは別に、腕を傾けるジェスチャーに反応して一時的にバックライトを点灯させる機能もあります。これをオンにしておけば日没から日の出までの間、ウオッチを顔に向けて返した時にバックライトが点灯します。両方の機能を同時にオンにするとナイトモードの方が優先します。どちらを使うか(あるいはどちらも使わないか)はアクティビティの内容によって選ぶことになるでしょう。

右下ボタン長押しでツールボックスを呼び出すとその中に発光モード(英語表記ではNight Mode)の項目がある。

右下ボタン長押しでツールボックスを呼び出すとその中に発光モード(英語表記ではNight Mode)の項目がある。

発光モードはオンにすると日没から日の出までの間、常時バックライトが点灯する。日本語表記はややミスリーディングで英語表記では「Backlight stays on until next sunrise」となっている。

発光モードはオンにすると日没から日の出までの間、常時バックライトが点灯する。日本語表記はややミスリーディングで英語表記では「Backlight stays on until next sunrise」となっている。

発光モードでは夜間は常時バックライトが点灯する。写真は分かりにくいが、ボタンを押した時に点灯するバックライトよりは弱い光で点灯している。

発光モードでは夜間は常時バックライトが点灯する。写真は分かりにくいが、ボタンを押した時に点灯するバックライトよりは弱い光で点灯している。

ジェスチャー点灯はメニューの「設定」に入った中に設定項目がある。

ジェスチャー点灯はメニューの「設定」に入った中に設定項目がある。

ジェスチャー点灯についての日本語説明も少々わかりづらい。英語表記では「Backlight activates after sunset and disables after sunrise or asleep」となっている。

ジェスチャー点灯についての日本語説明も少々わかりづらい。英語表記では「Backlight activates after sunset and disables after sunrise or asleep」となっている。

日没前から日の出後まで腕を返す動作でしばらく点灯する「自動」、いつでも腕を返す動作でしばらく点灯する「常時オン」、動作で点灯しない「オフ」を選べる。

日没前から日の出後まで腕を返す動作でしばらく点灯する「自動」、いつでも腕を返す動作でしばらく点灯する「常時オン」、動作で点灯しない「オフ」を選べる。

ランニングパワーの計測が可能、トレーニング管理機能も備えている

そのほかのハードウェアのスペックをみると、GPS関連はGPS、GLONASS、Beidoに対応し、Galileoにも将来のファームウェア更新で対応予定。PACE2の設定画面をみるとGPSは日本のQZSSと合わせて利用し、オプションでロシアの GLONASSか中国のBeidoのどちらかを追加して利用できるようになっています。

これも読む
DC Weekly 2022年9月5日 ZAO SKYRUN、OSJ安達太良山、HAKUBA CLASSIC、Swiss Peaks、Vertical / Trofeo Nasego

このほか、光学心拍センサー、加速度センサーに加えて、アウトドアスポーツで役立つ気圧センサー、コンパス、ジャイロスコープ、気温センサーを搭載。アクセサリーとの通信はBluetoothとANT+に対応。チェストストラップを使う心拍計やフットポッド、自転車関係のアクセサリーなどは他社製も含めて幅広く利用可能です。

光学心拍センサーは小型で目立たない。右側は充電のための端子で、付属のUSB-Aと専用端子のケーブルを接続して充電する。

光学心拍センサーは小型で目立たない。右側は充電のための端子で、付属のUSB-Aと専用端子のケーブルを接続して充電する。

対応するスポーツアクティビティとして用意されているのは「ラン」、「トレッドミル」、「トラックラン」、「バイク」、「屋内バイク」、「プール(Pool Swim)、「アウトドア(Open Water Swim)」、「ロー(カヤック)」、「屋内ロー」、「静水ボート(Flatwater、SUP)」、「トライアスロン」、「筋トレ(Strength)」、「屋内有酸素(Gym Cardio)」、「屋外有酸素(GPS Cardio)」。それぞれのアクティビティ中にディスプレイに表示される距離などの数値類は最大6ページまでスマホアプリで細かくカスタマイズ可能です。アクティビティの種類を新しく作ることはできませんが、「屋外有酸素」をカスタマイズする形でなら対応可能です。

選択可能なスポーツの種類。11月のファームウェアアップデートでロー、屋内ロー、Flatwaterが追加された。

選択可能なスポーツの種類。11月のファームウェアアップデートでロー、屋内ロー、Flatwaterが追加された。

それぞれのワークアウトのアクティビティ中にディスプレイに表示する項目はカスタマイズが可能。

それぞれのワークアウトのアクティビティ中にディスプレイに表示する項目はカスタマイズが可能。

フレームのレイアウトも含めてカスタマイズの自由度が高い。

フレームのレイアウトも含めてカスタマイズの自由度が高い。

「トラックラン」は400mトラックを走るためのアクティビティ設定で、400mトラックを走るという前提でGPSなどのセンサーによるトラッキングを自動的に補正する機能。普通のトラッキングではGPSによる測位のずれやトラックのどのレーンを走ったかによって距離やラップタイムにずれが生じるが、補正によってトラック上の同じ起点から周回したものとしてトラックされる。

「トラックラン」は400mトラックを走るためのアクティビティ設定で、400mトラックを走るという前提でGPSなどのセンサーによるトラッキングを自動的に補正する機能。普通のトラッキングではGPSによる測位のずれやトラックのどのレーンを走ったかによって距離やラップタイムにずれが生じるが、補正によってトラック上の同じ起点から周回したものとしてトラックされる。

以上に加えてPACE2の本気を感じさせるのが、ランニングパワー計測機能とトレーニング管理機能です。

ランニングのトレーニングの量や質を考えるとき、同じ走行距離でも速さが違えば強度は異なります。同じスピードでも向かい風や上り坂では強度が高くなる、といった具合です。そこでより客観的にトレーニングの強度を把握するために、「体重×加速度×速度」で計算される「ランニングパワー」という指標が注目されています。

COROSアプリから読めるランニングパワーについての解説。

COROSアプリから読めるランニングパワーについての解説。

身につけるデバイスでランニングパワーを測る場合には、ランニング中の体の動きについてデバイスの様々なセンサーから得られるデータからある種のアルゴリズムによって算出することになります。このため、シューズに加速度センサーなどが内蔵されたフットポッドを着けたりします(StrydやGarmin、そしてCOROSもこのフットポッドを製品としています)。そして最近ではPolarからアクセサリーなしでもウオッチ本体だけでこのランニングパワーを計測できるウオッチ(Vantage VやGRIT X)が登場しています。COROS PACE2もウオッチ本体だけでランニングパワーが計測できる機能を搭載してPolarに続くことになりましたが、お値段はPolarの半分以下という点が画期的です。

実際にPACE2のウオッチ本体のみで計測したランニングパワーの推移。

実際にPACE2のウオッチ本体のみで計測したランニングパワーの推移。

外部アクセサリーを使わずにウオッチ本体だけでどれくらい正確にランニングパワーが計測できるかが気になるところです。精度の評価はいろいろな要素があって複雑ですが、DC RAINMAKERのレビューによればCOROSはこの機能を搭載するにあたってStrydの協力を得ていて、実際に様々なテストをした結果も良好な様子です。

PACE2の本気のもう一つはトレーニング管理機能です。これは例えば6ヶ月後の50マイルのレースに向けたトレーニングプラン、さらにその日のウォームアップからクールダウンまでの練習メニューをウオッチに登録しておけるという機能。実際に走る時には、その練習メニューを呼び出して、ウオッチからの指示に従って練習ができるというわけです。

トレーニングメニューを一から自分で組み立てることもできますが、Corosのウェブサイトにはいくつかプランが用意されていて、ダウンロードして自分のウオッチに登録することもできます。例えば、「マラソンでサブ3:15を目指す」というプランをダウンロードしてみます。

COROSのウェブサイトにもいくつかトレーニングプランのサンプルが掲載されている。「Get it now」をクリックするとプランの内容とQRコードが表示され、そのQRコードをスマホのCOROSアプリで撮影するとプランが読み込まれる。

COROSのウェブサイトにもいくつかトレーニングプランのサンプルが掲載されている。「Get it now」をクリックするとプランの内容とQRコードが表示され、そのQRコードをスマホのCOROSアプリで撮影するとプランが読み込まれる。

トレーニングの開始日を決めるとレース当日まで8週間のトレーニングが設定されました。初日の火曜日は「40分のイージーラン」という内容で10分のウォームアップに続いて5分/kmで40秒、3分10-30秒/kmで20秒を繰り返し、クールダウンという内容でした。

「マラソンでサブ3:15を目指す」という8週間のトレーニングプラン。トレーニングの開始日を決めると予定がカレンダーに埋め込まれる。

「マラソンでサブ3:15を目指す」という8週間のトレーニングプラン。トレーニングの開始日を決めると予定がカレンダーに埋め込まれる。

トレーニングプランの初日は40分のイージーラン。メニューも具体的に設定されている。

トレーニングプランの初日は40分のイージーラン。メニューも具体的に設定されている。

トレーニングプランはウオッチ本体にも同期される。

トレーニングプランはウオッチ本体にも同期される。

スマホアプリで確認したのと同じ初日のワークアウトがウオッチ上で呼び出せる。

スマホアプリで確認したのと同じ初日のワークアウトがウオッチ上で呼び出せる。

このほかにも一回で取り組むトレーニングの組み合わせを「ワークアウト」として登録することもできます。こちらも自分で自由に組むことができますが、Corosのウェブサイトからダウンロードできるヒラリー・アレン(2019年TDS®︎で2位)のワークアウトをダウンロードしてみます。

すると、縄跳び、スクワットジャンプ、と始まる32組のトレーニングで所要時間23分のワークアウトがダウンロードできました。これをウオッチに同期して登録すれば、必要な時にメニューから呼び出してウオッチの指示に従ってワークアウトができるというわけです。

昨年TDS®︎で2位になったヒラリー・アレンによるワークアウトのメニューは32組の動作からなる23分のトレーニング。

それぞれのエクササイズについて解説やどの部分の筋肉を鍛えているか、解説もついている。

それぞれのエクササイズについて解説やどの部分の筋肉を鍛えているか、解説もついている。

鍛える筋肉を「ヒートマップ」で確認できる。

鍛える筋肉を「ヒートマップ」で確認できる。

最近、新たな機能としてTrainingPeaksからトレーニングプランやワークアウトをCOROSのウオッチにダウンロードすることができるようになりました。TrainingPeaksでは自分のランのパフォーマンスや成長を詳しく分析できるほかオンラインコーチングのプラットフォームとしても利用されています。コーチの指導を受けながら自分の目的や目標に合わせてカスタマイズしたプランをTrainingPeaks経由でCOROSにダウンロードできる、というわけです。

TrainingPeaksからトレーニングプランやワークアウトをCOROSのウオッチにダウンロードできるようになった。

TrainingPeaksからトレーニングプランやワークアウトをCOROSのウオッチにダウンロードできるようになった。

COROS PACE2をランニングで使ってみた

続いては実際にCOROS PACE2を使ってランニングをしてみた様子をご紹介。

左上のデジタルダイヤルを長押ししてロックを解除してからもう一度プッシュするとアクティビティの選択画面に。ここではウオッチの設定メニューやトレーニング、ワークアウトを呼び出すことも可能です。

ここでデジタルダイヤルを押して「ラン」を選択。ディスプレイの下部に心拍数、バッテリー残量(%)、GPSの測位状況、現在時刻が表示されます。心拍とGPSの計測中はロゴが点滅していて、この時すぐに「開始」しようとすると「計測中です」とアラートが出ます。しかし、計測はさほど待たされることはありません。「開始」の他はシンプルなインターバル走のメニューやランニング中のアラートの設定ができます(距離毎のアラートのほか、ペース、ピッチ、心拍数ランニングパワーが設定したレンジから外れたらアラートを出すことができるほか、一定時間毎に補給を促すアラートも設定可能)。

アクティビティのメニューから「ラン」を選択。

アクティビティのメニューから「ラン」を選択。

下段の緑のアイコンの点滅が終わると、心拍の計測、GPSの測位ができる状態になっている。待ち時間は十数秒程度といったところ。

下段の緑のアイコンの点滅が終わると、心拍の計測、GPSの測位ができる状態になっている。待ち時間は十数秒程度といったところ。

ワークアウト中のアラートの設定などがスタート前にできる。

ワークアウト中のアラートの設定などがスタート前にできる。

ランニング中は距離、ペース、心拍数などのデータがディスプレイに表示されます。既に紹介した通り、このディスプレイはスマホアプリでカスタマイズが可能。最大で6ページ、1ページに最大6項目を設定できます。

ユニークなのは「体力」という項目で、これは文字通り身体的な体力があと何%残っているかという指標。

リアルタイムに体力が残り何%かを示す。ゲームのキャラクターになった気分。

リアルタイムに体力が残り何%かを示す。ゲームのキャラクターになった気分。

右下のボタンを長押しするとツールボックスのメニューが現れます。これはランニング中でもメニューを呼び出すことができ、バッテリーを「長稼働モード」に切り替えたり、「ナイトモード(発光モード)」のオンオフを切り替えることもできます。

このツールボックスのメニューにはバッテリー容量の設定もあります。この項目を開くと、前回の充電からどれくらいのペースで残量が減っていてあと何日持つかがグラフで表示できるほか、残りの日数、フルGPSモードで使用可能な残り時間、さらにはここまでのバッテリー消費の内訳(GPSを使ったワークアウト、バックライト点灯、心拍数計測など)まで表示してくれます。このあたりはバッテリーの持続時間が気になるトレイルランナー、ウルトラマラソンランナーにはかなり「刺さる」機能です。

バッテリーに関する情報は右下ボタン長押しで出てくるツールボックスから。 バッテリーに関する情報は右下ボタン長押しで出てくるツールボックスから。
直近に充電した時点からバッテリーが切れると想定される日までを横軸に取り、バッテリー残量をグラフ表示している。 直近に充電した時点からバッテリーが切れると想定される日までを横軸に取り、バッテリー残量をグラフ表示している。
ダイヤルを回すとあと何日バッテリーが持つか表示される。日本語表記では中段と下段の差がわからないが、英語表記では中段は「Estimated Daily Use Left」(ワークアウトも適宜行う前提での残り日数)、下段は「Estimated Max Daily Use Left」(ワークアウトは行わない場合の残り日数)となっている。 ダイヤルを回すとあと何日バッテリーが持つか表示される。日本語表記では中段と下段の差がわからないが、英語表記では中段は「Estimated Daily Use Left」(ワークアウトも適宜行う前提での残り日数)、下段は「Estimated Max Daily Use Left」(ワークアウトは行わない場合の残り日数)となっている。
前回の充電や充電後の日数についても表示。 前回の充電や充電後の日数についても表示。
ここまでのバッテリー消費の内訳まで表示されている。GPSを使ったワークアウトで半分以上、バックライトの点灯で約1/3の電力を使っている。 ここまでのバッテリー消費の内訳まで表示されている。バックライトの点灯で約半分、GPSを使ったワークアウトで約1/3の電力を使っている。

ランニング終了後はウオッチ本体でも、同期後のスマホアプリでも詳細なメトリクスが確認できます。

ワークアウトを終えてスマホに転送したデータをアプリで表示。

ワークアウトを終えてスマホに転送したデータをアプリで表示。

ペースに加えて、ピッチ(ケイデンス)やストライド、ランニングパワーなどのらンニングダイナミクスのデータも推移を追うことができる。

ペースに加えて、ピッチ(ケイデンス)やストライド、ランニングパワーなどのらンニングダイナミクスのデータも推移を追うことができる。

標高や心拍数といった基本的なデータももちろん確認できる。

標高や心拍数といった基本的なデータももちろん確認できる。

心拍ゾーン、トレーニングエフェクト、ラップタイムといったデータが続く。

心拍ゾーン、トレーニングエフェクト、ラップタイムといったデータが続く。

心拍数などの変化を地図上でたどりながら追うこともできる。

心拍数などの変化を地図上でたどりながら追うこともできる。

データのエクスポートはGPX形式だけでなく、FIT形式やTCX形式にも対応。このほかにもStravaやTrainingPeaks、Apple Healthなどのアプリやサービスとも連携できる。

データのエクスポートはGPX形式だけでなく、FIT形式やTCX形式にも対応。このほかにもStravaやTrainingPeaks、Apple Healthなどのアプリやサービスとも連携できる。

メトリクスの推移はスマホを横長画面にすることでさらに見やすく表示できる。

メトリクスの推移はスマホを横長画面にすることでさらに見やすく表示できる。

スマートウオッチとしてはライフログ関連を中心とした基本的な機能を備える

以上で見てきたのはランニングをはじめとするマルチスポーツGPSウオッチとしてのPACE2です。ここでスポーツをしている以外の時の日常生活で使うスマートウオッチとしてPACE2をみると、その機能は基本的なものにとどまっているという印象です。

ウオッチ本体のウオッチフェイス画面からデジタルダイヤルを回すとその日の消費カロリー数、ステップ数、運動時間、登った階段の数が表示され、さらに回すと心拍数の推移、高度の推移、気圧の推移、温度の推移、日の出や日没の時刻、スマホからの通知と切り替わります。

スマートフォンアプリでも同様なメトリクスが一覧できますが、スマホだけで見られるデータとしては、ウオッチがトラッキングする睡眠時間、直近1週間のトレーニング負荷のレベルの推移、フィットネスインデックス(安静時心拍数、VO2Max、LT値など)、体力レベルがあります。

スマホアプリの起動画面では基本的なメトリクスが表示されるほか、スクロールすると画像のようにトレーニング負荷などの二次的な計数も表示される。トレーニングのモチベーションにつながる場合も多いだろう。

スマホアプリの起動画面では基本的なメトリクスが表示されるほか、スクロールすると画像のようにトレーニング負荷などの二次的な計数も表示される。トレーニングのモチベーションにつながる場合も多いだろう。

以上、ライフログやフィットネス関係の機能は備えていますが、例えばApple Watchとの比較でいえば音楽を聴く機能、血中酸素濃度を測る機能、かざして支払いをするコンタクトレス決済機能などはありません。あと、天気予報もPACE2では見られません。

まとめ:手頃な値段のスポーツウオッチ「撒き餌」モデルであると同時に、シリアスなアスリートのニーズに応える飛び抜けた機能を備える

たぶん、多くの人にとってPACE2はコスパがよくて初心者にも勧めやすい入門モデルという位置付けになるでしょう。まず199ドル(アメリカでの価格)という価格はGPSスポーツウオッチの市場ではかなり控えめなお値段。29gという軽さやメタルを使わないカジュアルなデザインも、気軽に試してみようという気持ちをそそります。ちょっと詳しい人ならバッテリー持続時間がフルGPSモードで30時間と長いことがお得と感じるでしょう。その意味でPACE2はCOROSが幅広いマーケットに受け入れられることをねらった「撒き餌」モデルのように思えます。

しかし、PACE2のスペックを細かく見ていくと入門モデルと呼ぶにはかなり凝った機能も備えていることに気づきます。ランニングパワーを計測したり、トレーニングプランを設定するような使い方をするのは、フルマラソンの自己ベスト更新とか、トライアスロンや100マイルのトレイルランニング完走というような目標に向けて、ストイックにトレーニングを続けている人たちです。その意味でPACE2は経験豊富なエリートアスリートにも注目されるモデルとなるのではないでしょうか。

トレーニングに本格的に取り組みたいならPACE2は有効なツールになるはず。特にコーチの指導を受ける場合には、コーチとのコミュニケーションに役立ちそうだ。

トレーニングに本格的に取り組みたいならPACE2は有効なツールになるはず。特にコーチの指導を受ける場合には、コーチとのコミュニケーションに役立ちそうだ。

もちろん、COROSや他のメーカーのより高価格のアウトドア向けGPSスマートウオッチはさらに幅広い機能を備え、バッテリー持続時間も長かったりします。なかでもPACE2をトレイルランニングのために使うなら、ルートのナビゲーション機能はあったらうれしいところです。とはいえ、手頃な値段の初心者向けでありながらも上級者向けの尖った機能も備えたPACE2は、ほかにはないユニークな存在として、当サイトとしてもおすすめのマルチスポーツGPSウオッチです。

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8 件のコメント

  • このサイトを拝見してPACE2が気になり、「Makuake」 のプロジェクトで購入しました。とても気に入って使っていますが、1㎞毎のラップタイムを通知してくれる設定がわかりません。(1㎞毎ではありませんが、ラップ数とラップタイムは通知があります。)ガーミンのように1㎞毎にラップタイムやラップ数を通知・バイブでお知らせしてくれる機能は無いのでしょうか?どうしても気になって質問させていただきました。

    • 記事をご覧いただきありがとうございます。アクティビティを開始する時、クラウンを回して「開始」の下の「インターバル」の次に「設定」が出てくるので、クラウンを押し込みます。そして「運動アラート」でまた押し込むと「距離アラート」、また押し込むと「オン/オフ」が出てくるので押し込んでオンを選択。一つ階層を戻って「編集」でアラートする距離の単位(デフォルトでは1km)を設定できます。おそらくこれでよいのではないかと思いますが、もし違っていたらすみません! - 岩佐

      • ご返信ありがとうございます!教えていただいた設定にはなっていたみたいですが・・・。また色々試してみることとします。

  • PACE2について教えてください。Gaminのようにモバイルバッテリ等で充電をしながらの計測は可能ですか?

    • 記事をご覧いただきありがとうございます。手元のPACE2で試したところ、充電ケーブルでモバイルバッテリーから充電した状態でも計測できました。ただケーブルのコネクタはウォッチ裏面に垂直に差し込むのと、ケーブルの長さが50cmちょっとなので、ウォッチを身につけた状態で充電するのは難しそうです。

      • ご回答、ありがとうございます。
        すぐに購入する予定はありませんが、今後購入する場合の候補になりそうです。

        • 大変申し訳ありませんが、先ほどの回答を撤回させてください。ケーブルでの充電中はスクリーンが充電中の画面になってしまい、この状態では充電を解除しないと操作できません。操作できないだけでバックグラウンドで計測しているかどうかは、改めて確認したいと思います。大変失礼しました。

          • ご確認、ありがとうございます。
            充電中にスクリーンが充電中の画面になるのは、私の持っているGaminも同様です。
            バックグラウンドで計測されているかを確認いただけるとのこと、ありがとうございます。

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