Zepp Zはビジネスやフォーマルに適したプレミアムなスマートウォッチ。当サイトでは先日、ZeppシリーズのローンチモデルとなるZepp Eをレビューしましたが、その上位モデルとして登場した製品です。
XiaomiグループでAmazfitなどのスマートデバイスを展開するメーカー、Huamiが展開する「Zepp」ブランドの第二弾となるZepp Zは、鮮明で視認性の高いAMOLEDディスプレイやバッテリー持続時間が日常使用で15日間といった先行するモデルで定評のある機能はほぼ全て備えます。その上で、外装にTC4チタン合金を使用して丈夫・軽量で高い実用性に、レザーベルトや回して操作できるクラウンといったクラシックなデザインを組み合わせたところが魅力です。
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Zepp ZはHuamiのスマートウォッチ製品の中でプレミアムなモデルと位置付けられます。しかし、競合する他ブランドの製品と比べてしまうと、このお値段ならあんな機能やこんな機能があってもいいのにな、、と感じてしまうのは確か。「クラシック&モダン」なデザインにどのくらいの価値を認めるか、によって評価が分かれる製品となりそうです。
以下のレビューではメーカーからご提供いただいたZepp Zを実際に使ってみて感じた上記の感想を具体的に説明します。
チタン×クラウン×レザーベルトの質感に魅せられる
Zepp Zのケース、ディスプレイはラウンド型。まず目を引かれるのはケース右側の三つのボタンとクラウン、ケースに刻まれたタキメーター風の目盛りと数字、そしてブラウン・レザーにステッチがアクセントとなっているベルト、というクラシックなデザイン。次々に発売されては消えていくガジェットとは一線を画した「腕時計」と呼びたい雰囲気を感じます。Amazfitでも定評のあるAMOLED(アクティブマトリクス式有機EL)の鮮やかで精細感のあるディスプレイに表示されるウォッチフェイスがこの雰囲気をさらに盛り上げます。そしてケースはチタン合金製。軽量で腐食や高温に強い高機能な素材はプレミアムな製品の証。チタン特有の鈍い光沢がモダンな雰囲気をビシビシと放っています。日本国内での価格は56,800円となっているのですが、この質感の高さならこの価格はリーズナブルといえるのかも、、と思ってしまいます。
磁気ワイヤレス充電対応、センサー類も充実
Zepp Zはハードウェア面でも現在のHuami製スマートウォッチの中では最も充実したスペックとなっています。目を引かれたのは磁気ワイヤレス充電に対応したこと。同梱のケーブル付きアダプターでUSB-A端子経由で充電するのですが、このアダプターとZepp Zはマグネットで固定されるものの金属の充電端子ではなくワイヤレスで充電されます。Amazfitの各モデルやZepp Eでも充電アダプターはマグネットで固定していましたが、ワイヤレスになったことでウォッチもアダプターも見た目がすっきりしました。
バッテリーの持続時間は「日常使用」で15日間、「基本機能のみ」で30日間というもの。ただ、Zepp Eのレビュー記事でも触れたように常時点灯機能(腕につけている間は手前に返したりしなくても常に時刻などの情報を表示する機能)をどのように設定するかで、Zepp Zのバッテリー持続時間も大きく変わります。Zepp Eと同じ設定で同じように使ったところ、Zepp Zもフル充電から三日めが終わる頃にはバッテリー残量が10%以下となりました。もちろん、設定次第で持続時間はもっと長くなるでしょう。
内蔵のセンサー類はGPS+GLONASSに対応のチップのほか、心拍とSpO2(血中飽和酸素濃度)に対応したBioTracker™️2 PPGバイオトラッキング光学センサーのほか、運動中のデータ計測に使われる地磁気センサー、ジャイロスコープセンサー、気圧センサー、加速度センサーや、タッチ時の感圧に対応する静電容量センサー、環境光センサーを搭載。健康管理や運動時のモニタリング機能も充実しています。
ディスプレイはAMOLED(アクティブマトリクス式有機EL)で、1.39インチの454 x 454ピクセルでAmazfit GTR 2と同じ。ウォッチフェイスは内蔵されているものに加えて、スマートフォンのZeppアプリ経由で豊富なラインナップからダウンロードして使うことができます。クラシックなクロノグラフ風のウォッチフェイスがきれいに表示されるので、Zepp Zのクラシックなデザインにぴったり。
ウォッチ右側にはクラウンと二つのボタンが配置されています。真ん中のクラウンはプッシュでアプリ選択画面に入り、クラウンを回してメニューを切り替え、ディスプレイのタッチでアプリ選択、という流れ。クラウンを長押しすると、後述のAmazon Alexaへ接続します。
下のボタンはプッシュするとクリック感があり、デフォルトではワークアウトのメニュー選択画面を呼び出します。ウォッチの設定アプリから呼び出すアプリを変更することができます。
上のボタンはタッチするだけで反応するクリック感のないボタンで、設定アプリの中では「健康キー」と呼ばれています。呼び出す機能は心拍、SpO2、ストレス、そしてオフを選べます。ただ、この「健康キー」は動作がトリッキーで、普通に触るだけでは反応しないこと多い一方でランニング後のシャワーではずっと反応し続けることも。このあたり、ファームウェアアップデートで改善を期待したいところです。
機能面ではHuami製の先行モデルの機能をフルカバー
Zepp Zで動いているソフトウェアはAmazfitの各モデルと同様で、搭載されている機能・アプリは先行するモデルで搭載されているものはほぼ全てカバーしています。基本的な歩数や消費カロリー数、移動距離などの記録はもちろん、心拍数や最近トレンドの血中酸素飽和度(SpO2)、日中の昼寝も含めた睡眠も自動的に常時トラッキングします。こうした一次的な身体・生理的データをもとに健康維持のための気づきをもたらす二次的なデータとして睡眠スコア、PAI (Personal Activity Intelligence)、ストレスレベルといったデータもウォッチ上で視覚的に確認可能。生活の中で気づきを促す機能も、アクティビティゴールの達成度、座っている時間が続くと立って歩くことを促す機能なども備えます。もちろん、スマートフォンからのメールやメッセージなどの通知を受け取る機能も備えます。詳しくは当サイトのAmazfit GTR 2 / GTS 2のレビュー、Zepp Eのレビューをご参照。
スポーツ・アクティビティ関連はAmazfitと同等でかなり使える
そのデザインからはビジネスやフォーマルといったシーンが似合うZepp Zですがスポーツウォッチとしてのポテンシャルもかなり高い。Amazfit GTR 2 / GTS 2と同等で、ランニングやサイクリング、トレイルランニングなどの12種類がデフォルトで選択可能なほか、メニューから選べる物も含めるとあわせて90種類のスポーツを選択可能。この辺りについて詳しくは当サイトのAmazfit GTR 2 / GTS 2のレビュー、Amazfit T-Rexのレビューをご覧ください。GPSとGLONASSに対応しているため、ランニングなどのGPSログも精度は高い印象です。
スポーツ中でちょっと気になるのはZepp Zについているレザーベルトでしょうか。ステッチの入ったブラウンレザーのベルトを汗や雨で濡らしたらダメにしてしまうのでは、、と気になってしまいます。実際にはZepp Eのレザーベルトの時と同じで洗っても拭いて乾かせば元通りだったので、あまり気にする必要はなさそうです。
まとめ:プレミアムと呼ぶにふさわしいデザインと質感なので、機能面でもプレミアムな何かがほしい
昨年からメーカーに製品をご提供いただいてAmazfitおよびZeppのスマートウォッチをレビューしてきましたが、Zepp ZのチタンのケースとAMOLEDのディスプレイという組み合わせは相乗効果で高い質感を生み出していると感じました。56,800円という価格は、Huami製のAmazfitやZeppの製品ラインナップの中ではプレミアムモデルとして順当だし、チタンケースとレザーバンドの他社製品と比べたらかなりお買い得感があります。
とはいうものの、お値段がプレミアムなら機能面でもプレミアムな製品が多いのがスマートウォッチのマーケットです。例えば、NFCを使った非接触の決済機能とか、心電図機能、スマートフォンなしで通信できるセルラー機能など。ハードルは高いのかもしれませんが、先端的な機能でも競合メーカーに追いつくことができたらプレミアムモデルがもっと魅力的になるだろうな、と思ってしまいます。
あと、細かいところですが、Amazfit GTR 2 / GTS 2で導入されたAmazon Alexaをウォッチから利用できる機能はZepp Zに搭載されていますが、現時点では英語のみ対応。同様にウォッチを音声でコントロールできる「オフラインオーディオコマンドワード」機能も英語にのみ対応しています。これも日本語への対応を期待しています。
また、Zepp Eのレビューでも書きましたが、スマートフォン側のZeppアプリについてもさらに改善をお願いしたいところです。設定のナビゲーションについては最初はわかりにくくても慣れればなんとかなりますが、使っているデバイスのペアリングを解除しないと別のデバイスをペアリングして使うことができないという仕様はちょっと残念。せっかく多様なデバイスを展開しているので、複数のデバイスをペアリングして並行して使いながら睡眠や心拍などのアクティビティトラッキングするデバイスを一つだけ指定する使い方ができれば、シーンに応じた使い分けがしやすくなると思うのです。