ヤマケンがトレイルランニングの新境地を拓くきっかけを我々はみたのかもしれません。
プロ・山岳アスリートの山本健一 Yamamoto Kenichi(以下、ニックネームのヤマケンで紹介します)が昨年2020年11月に取り組んだ「甲斐国ロングトレイル PASaPASA」。地元の山梨県韮崎市を出発して、甲府盆地を囲む山々をぐるりと一周する330kmにヤマケンが挑んだ姿をとらえたのがドキュメンタリー作品『未知の領域へ 甲斐国ロングトレイル 200mile』(制作・DENPA by Rightup Inc.)です。
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新型コロナウィルスのパンデミックはトレイルランニングにおいても国内外を問わず大半の大会を中止に追い込みました。ヤマケンは慣れない動画を通じて「前に進もう」と呼びかけながら自らのトレーニングを紹介するかたわら、生まれ育った地元を囲む山で未経験の200マイルという距離を走る旅に挑戦することを決めました。私もその挑戦の前と無事完走した後にインタビューをしています。
そのインタビューで印象に残ったのは、多くのアスリートがFKTやバーチャルレースに活躍の場を見出そうとする中で、ヤマケンはこの挑戦でプロアスリートとしてのパフォーマンス、例えば最速記録にこだわっているわけではないということ。ヤマケンは「甲斐国ロングトレイル PASaPASA」を通じて何を成し遂げたかったのか、何を伝えたかったのか。
このドキュメンタリーは甲斐国ロングトレイルの200マイルを進んでいく過程を追っていきますが、そこで描かれるのはヤマケンを囲む人たちが挑戦に共鳴して、時には予想もしない形で加わっていく姿。並んで走る人たちはもちろん、スタートやエイド、ゴールで見守る人たちもこの挑戦を共有してヤマケンの背中を押す。そうした人たちの存在は、コース終盤に思いがけない苦戦を強いられたのちに走り慣れた鳳凰三山を進むヤマケンの心を強く揺さぶります。
1時間48分の大作にはコースとなったトレイルの様子、エイドでのヤマケンの表情はもちろん、ペーサーやサポートのメンバーの皆さんの心の動きもじっくり描かれます。ただ願わくば、そうした皆さん、特にパートナーとして今回の旅を共にした菊嶋啓さん、そして途中30時間以上も一緒に走ることになった望月将悟さんの目からみたヤマケンについてももう少しドキュメンタリーの中で聞いてみたかった、と感じました。
作品はVimeoで72時間のレンタル(553円)またはいつでもストリームとダウンロード可能(884円)で視聴できます。
未知の領域へ 甲斐国ロングトレイル_200mile from DENPA by Rightup Inc. on Vimeo.
また、この旅を写真とテキストで記録したブックレット「甲斐国ロングトレイル」(1100円)では、上記の私の希望がかなり叶えられています。フルマークス直営店、フルマークスオンラインストアのほか、HOUDINI取扱店で販売中です。そのほかにもオリジナルキャップなども販売される予定で、詳細については山本健一のFacebookページで。