今年6月に発売されたAmazfit(アマズフィット)のアウトドア・アクティビティ向けスマートウォッチ「T-Rex 2」に、メーカーからファームウェアアップデートが提供され、予告されていたナビゲーション機能が追加されました。この機能により、コースのGPXファイルをT-Rex 2に読み込んでウォッチのディスプレイ上で行動中に自分がコース上にいることを確認することが可能になりました。この記事ではこの新機能の使い方と実際に試した印象を紹介します。
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アップデートにより追加が予告されていた三つの機能
今回アップデートにより追加されたのは次の三つの機能です。
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- ルートリターンナビゲーション:辿ってきたルートを戻るようにナビゲートする。
- ルートインポート:スマートフォンのZeppアプリからルートをインポートする。
- リアルタイムルートナビゲーション:インポートしたルートをリアルタイムで表示し、ナビゲートする。
T-Rex 2のファームウェアバージョン「9.22.7.2」からこれらの機能が追加された模様。ファームウェアのアップデートはスマホのZeppアプリの「プロフィール」→「マイデバイス」からAmazfit T-Rex 2を選び、「システムアップデート」から。スマホからT-Rex 2に新しいファームウェアが転送されて再起動するまでの流れは戸惑うことなく、スムーズでした。
GPXファイルのインポートから、T-Rexでナビゲーションの設定をするまでの流れはスムーズ
当サイトが試したのはiPhone / iOS上のZeppアプリとT-Rex 2を組み合わせた場合。実際にナビゲーションを始めるまでの操作は、iOSの他のアプリと同様なので迷う点はありませんでした。
まずは、トレイルランニングレースの大会のウェブサイトからダウンロードしたコースのGPSデータをT-Rex 2にインポートして、レース本番でナビゲーションするというパターンを試してみます。
用意するGPSデータはGPX形式のほか、TCX形式、KML形式でもOK。大会が直接これらの形式でダウンロードできるようにしている場合もあるでしょうが、YAMAPやIBUKI、Strava、Garmin Connectなどからダウンロードできる場合もあるでしょう。これらのサードバーティのサービスからダウンロードするには会員登録が必要な場合もあるようです。
ダウンロードしたGPSデータのファイルをMacBookやiPadも含めて他の端末からAirDropで転送すると、受ける側のiPhoneでどのアプリで開くかを聞かれます。この時「Zepp」が候補に含まれていればそのままZeppアプリに取り込むことができます。当サイトの場合は候補となるアプリが多すぎるせいか「Zepp」が表示されませんでした。この場合は候補となっている他の地図アプリかiOS純正の「ファイル」アプリに一旦取り込みます。そして取り込んだアプリからコースのGPSデータをエクスポートやシェアする機能を使って、Zeppアプリに取り込むことができます。
Zeppアプリに取り込むとZeppアプリが開いてコースの概要が 表示されるので右上の「保存」を押します。コースは「ルート」としてZeppアプリの中に保存され、複数のルートを保存できるほか、ルート名の変更も可能です。保存したルートはZeppアプリから開いて「デバイスに送信」をタップすることで、T-Rex 2にインポートすることができます。T-Rex 2には複数のルートをインポートしておくことができるので、レースであれば前もって余裕を持ってコースをT-Rex 2にインポートしておくことができます。
ナビゲーションではコースを外れるとアラートが出るのでロストを心配せずに走れる
さらにレース本番を想定してT-Rex 2のナビゲーション機能を試します。
いつものようにT-Rex 2の右上ボタンを押してアクティビティを呼び出し、スタートする前に画面をスクロール。下から「ナビゲーション」を見つけて選択。「マイルート」を選択すると、先ほどスマホのZeppアプリからインポートしたルートの名前が表示されているので選択。「ルートの詳細」からルートの距離とコースの形が確認できます。「ルートの使用」を選ぶと、スタートしてからのナビゲーションが可能に。「ナビゲーションの設定」からはコースの向きを反転させたり、ナビゲーションの表示を常に北を上にする代わりに前方を上にする設定が可能。「コース逸脱アラート」はこの後紹介するコースから外れた場合のアラートの精度を20m、50m、100m、アラートオフから選ぶことができます。
ルートの設定を終えたらアクティビティをスタート。ディフォルトの設定では、いつものようにタイムや距離などを表示しているディスプレイの最後のページにナビゲーションのページが追加されています(アクティビティ中はウォッチ左上の「UP」ボタンで呼び出せます)。
ナビゲーションのページはシンプルで、緑色の線がGPSデータによるルート、走り始めると実際に走ったルートがグレーの線で表示されます。このほかは方向とルートの残りの距離が画面上部に表示されています。コースを進むにつれてルートの残りの距離が減っていくのがわかります。
ここでナビゲーション用に設定したルートから外れると、緑色の線からグレーの線が外れていき、自分がいるところと緑色の線上の最短距離の線が点線で表示されます。そして画面上部には「逸脱距離」としてこの点線の距離が表示されます。
「逸脱距離」が大きくなるとウォッチが振動し、画面に赤く大きく逸脱していることを示すアラートが表示されます。こうなったら、立ち止まって走ってきたルートを引き返しながら、ウォッチ上で緑色の線と重なるところまで戻ることでロストをしないで済む、というわけです。最初の設定でこのコース逸脱アラートの精度を4種類で設定できる、というわけです。
ナビゲーションの画面でウォッチ右上のセレクトボタンを押すと画面の左側上下に「+」「−」が表示されます。ウォッチ左側の「UP」「DOWN」ボタンを押すとルートの拡大、縮尺が可能に。もう一度セレクトボタンを押すと「<」「>」が表示されてルートを左右に移動、さらにもう一度押すと「△」「▽」が表示されてルートを上下に移動することができます。
シンプルなナビゲーションだが、レースやグループランで道迷いを防ぐには力強い味方
以上、T-Rex 2に新たに追加されたナビゲーション機能はシンプルでわかりやすい機能です。トレイルランニングでは比較的トレイルが入り組んだところを走ることも多く、道迷いしやすいものです。
最近のトレイルランニングレースではGPX形式でコースデータが事前に公開されることが多いのでより安全に走るために活用できます。また、小規模なグループでトレイルを走る場合にはメンバーで走力に差があったりして前後で距離が開いてしまうことも多く、これも道迷いにつながりがち。あらかじめ決めたコースを共有しておけば安心できそう。
競合するメーカーのハイエンド製品にはウォッチの画面上にルートを等高線を含む地形図上に重ねて表示できるものもありますが、トレイルランニングで使うことを考えれば地形図のないシンプルな表示の方がわかりやすいかもしれません。地形図が必要であればより大きくて見易いスマートフォンの地図アプリを併用した方が実用的でしょう。
このナビゲーション機能の追加で、Amazfitの「T-Rex 2」はトレイルランニングのためのGPSスポーツウォッチの新しい選択肢となったといえます。
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