2022年UTMB:キリアンが20時間切りで4度目の男子優勝、ケイティ・シャイドが女子優勝

【追記・この記事の中で、丹羽薫選手のリザルトについて誤って女子14位と表記していました。正しくは女子13位でしたので訂正いたします。誤記について丹羽選手および読者の皆様にお詫びいたします。2022.09.20】

UTMB Mont-Blancの170km 10,000mD+のレース、UTMBは今年で19回目の開催。世界の頂点を決めるレースは男子ではキリアン・ジョルネ Kilian JORNET BURGADA (ESP) が19時間49分で優勝。大会史上初となる20時間の壁を破るとともに4度目の優勝となりました。続いて2位でフィニッシュしたのは昨年のUTMBで3位のマチュー・ブランシャール Mathieu BLANCHARD (FRA) で、こちらも19時間54分で20時間以内のフィニッシュとなりました。3位にはトム・エバンス Thomas EVANS (GBR) が20時間34分でした。女子はケイティ・シャイド Katie SCHIDE (USA) 23時間15分で優勝しました。2位にマリアン・ホーガン Marianne HOGAN (CAN) が24時間13分、3位にケイトリン・ガービン Kaytlyn GERBIN (USA) が25時間7分で続きました。

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UTMB優勝のケイティ・シャイド Katie SCHIDE Photo by UTMB Mont-Blanc

UTMB優勝のケイティ・シャイド Katie SCHIDE Photo by UTMB Mont-Blanc

小雨が降る中、午後6時に2300人以上のランナーがトリアングル・デ・ラミティエ広場からスタート。レース序盤のペースは速く、パウ・カペル Pau Capell (ESP) がリードする先頭集団はレース前半のチェックポイントで大会の予想タイムを大きく上回りました。

今回、4回目のUTMBのスタートとなったジム・ウォルムスレイ Jim WALMSLEY (USA) は夜の寒さに備えてか長袖シャツに長いランニングパンツでコースを進み、クールマイユール(81km)にトップで到着。その5分後、すでにウォルムスレイが出発したエイドにキリアン・ジョルネが到着します。しかしウォルムスレイによる単独リードは、シャンペ(126km)を出てボビーヌへの登りの途中で終わることになります。今年5月にフランスに拠点を移してUTMBに焦点を合わせてきたウォルムスレイでしたが、ラ・ジエット(138km)への登りで食べ物が喉を通らなくなったといいます。ラ・ジエットでは、キリアン・ジョルネとマシュー・ブランシャールの二人が一緒に首位で通過し、3位のウォルムスレイは18分差、その差はトリアン(143km)で20分と広がります。

ノートルダム・デ・ラ・ゴージュにはこれまでの焚き火に代わってHOKAによる光の回廊が設けられた。

ノートルダム・デ・ラ・ゴージュにはこれまでの焚き火に代わってHOKAによる光の回廊が設けられた。

トリアンのエイドステーションを出るとまもなく、マチュー・ブランシャールが先に出て、それをキリアン・ジョルネが追いかけます、そのまま二人が追い追われる展開が30kmに渡って続くことになります。ヴァロルシーヌ(153km)をほぼ同時に出たのちに、キリアンが前に出てペースを上げます。最後の登りが始まるコル・デ・モンテ(155km)で2分差、テット・オ・ヴァン(161km)で8分差と差を広げたキリアンが今年のUTMBのチャンピオンとなりました。キリアンは20歳で初めてUTMBに挑戦した2008年に優勝して以来、2009年、2011年に続いて、今回が4度目の優勝。フランソワ・デンヌと優勝回数で並ぶことになりました。

マチュー・ブランシャールはレースを振り返って、「コースを走っていたら遠くにキリアンが見えました。彼はもう先を争うように見えなかったので、一言謝ってからペースを上げて追い抜いたのですが、キリアンは付いてきたんです」とゴールで笑顔で話しました。「そこからは一緒に前にいるジムを追いかけることになりました。スタート前の目標は21時間で完走することだったので、20時間を切るなんて想像もしていませんでした。一人では不可能なことでも二人で競い合えば可能になる。競り合っている間は時計のこともすっかり忘れてしまいます。こんなにいい結果が出るとは思ってもいませんでした」。

3位でフィニッシュしたトム・エバンスはザック・ミラー Zach Miller (USA) と並んで走るうちに朝となり、低血糖気味だったというザック・ミラーの前を走るようになると、3番手だったウォルムスレイを抜いて20時間34分でシャモニーにフィニッシュして3位に。4位にウォルムスレイ、5位にザック・ミラーという結果になりました。

男子のレースではアメリカ人選手が優勝できないというジンクスは今年も破られませんでしたが、女子のレースでは2019年、2021年のコートニー・ドウォルターに続いて、今年はケイティ・シャイドへとアメリカ人選手の優勝が引き継がれました。この日のレースはジェットコースターのようなレースだったと振り返ります。「スタートからペースが速くて、先頭を走ることになりました。クールマイユールでは15分以上リードしていました。予想外でしたが、今まではちょっとペースが遅かったのです。」その後、グランコルフェレ(103km)では補給食が喉を通らず、ジャケットを着て不調をやり過ごすしかありませんでした。この間にマリアン・ホーガン Marianne Hogan (CAN) に追いつかれ、先を譲ることになります。しかし、その後リードを奪い返します。「シャンペの登りでまた調子を取り戻すことができました。ここから新しいレースが始まる、まだ大きな登りが三つ残っている。だからまだ大丈夫だと思ったのです。」ボビーヌへの登りでホーガンを追い越したケイティ・シャイドが、2019年のUTMBでの6位、2021年の8位に続いて今回、優勝を勝ち取りました。

日本の選手では、丹羽薫 Kaori NIWAが後半に入って持ち前の粘り強さを発揮して女子13位(28時間54分)でフィニッシュ【追記・記事公開時に誤って14位と表記していましたので訂正しました。2022.09.20】。UTMB初挑戦の宮﨑喜美乃 Kimino MIYAZAKIが女子24位(32時間12分)。男子ではこちらもUTMB初挑戦の万場大 Hajime MAMBAが23時間44分、男子27位でシャモニーにフィニッシュ。西村広和 Hirokazu NISHIMURAが男子33位(24時間5分)、澤柳匠 Takumi SAWAYANAGIが男子50位(25時間27分)、中谷亮太 Ryota NAKATANIが男子59位(26時間33分)。2019年UTMBで8位の小原将寿 Masatoshi OBARAは28時間44分で男子103位でした。

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UTMBリザルト

全体のリザルトはこちら

女子

  1. Katie SCHIDE 23:15:12 USA
  2. Marianne HOGAN 24:31:22 CAN
  3. Kaytlyn GERBIN 25:07:44 USA
  4. Jocelyne PAULY 26:13:58 FRA
  5. Eszter CSILLAG 26:32:39 HUN
  6. Emily HAWGOOD 26:37:08 ZIM
  7. Fuzhao XIANG 27:14:21 CHN
  8. Aroa SIO SEIJO 27:17:49 ESP
  9. Francesca PRETTO 27:31:46 ITA
  10. Eva-Maria SPERGER 28:15:29

男子

  1. Kilian JORNET BURGADA 19:49:30 ESP
  2. Mathieu BLANCHARD 19:54:50 FRA
  3. Thomas EVANS 20:34:35 GBR
  4. Jim WALMSLEY 21:12:12 USA
  5. Zach MILLER 21:27:50 USA
  6. Beñat MARMISSOLLE 21:28:14 FRA
  7. Arthur JOYEUX-BOUILLON 21:35:45 FRA
  8. Jonas RUSSI 21:46:16 SUI
  9. Robert HAJNAL ALTRA 22:07:58 ROU
  10. Thibaut GARRIVIER 22:09:19 FRA
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