2022年OCC:シェイラ・アビレス、マヌエル・メリャスがともに終盤に強さを発揮して優勝、スペイン勢が活躍

現在開催中のUTMB Mont-Blancにおいて、8月25日水曜日は1200人のランナーが参加して55km 3500mD+のOCCが行われました。オルシエール(スイス)をスタートしてシャモニー(フランス)でフィニッシュするレースは2014年に始まり、今回が8回目の開催。中盤のトリアン(23.8km)からアルジャンティエール(44.2km)は今年からコル・デ・バルム(33.3km)を通る新コースとなりました。

男子では、マニュエル・メリャス Manuel MERILLAS (ESP) とアントニオ・ペレス Antonio MARTÍNEZ PÉREZ (ESP) の2人が圧倒的な強さを見せました。メリャスが5時間18分29秒で優勝し、チームメイトでありルームメイトでもあるペレスが2分30秒差で2位に。女子はシェイラ・アビレス Sheila AVILÉS CASTAÑO (ESP) がヌリア・ジル Núria GIL CLAPERA (ESP) の追い上げを抑えて6時間10分16秒で優勝。日本の吉住友里 Yuri YOSHIZUMIは女子18位で6時間54分2秒でした。

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OCC女子トップ3。左から2位のジル、1位のアビレス、3位のモレノ。

OCC女子トップ3。左から2位のジル、1位のアビレス、3位のモレノ。

女子のレースはアメリカのアリー・マクラフリン Allie MCLAUGHLIN (USA) がレースの終盤まで単独リードをキープしていましたが、アルジャンティエール(44.2km)からラ・フレジェール(49.1km)への登りでペースを落としてしまい、失い、シェイラ・アビレスに勝利を譲ることになりました。「この2年間、ケガをして自信をなくしていた私にとって今日優勝できたことは特別でとても大事な経験になりました」とアビレスはフィニッシュラインで話しました。「私はあまり速くスタートせず、当然他の選手が前を走ると思っていました。23キロあたり調子が良くなり、このレースで勝つんだという気持ちになりました。」と後半の快走を振り返りました。2位にはヌリア・ジル・クラペラが約6分差で、3位にはアメリカのダニ・モレノ Dani MORENO (USA) がトップから約7分差で続きました。

OCC女子優勝のシェイラ・アビレス。

OCC女子優勝のシェイラ・アビレス。

スペイン勢が優勝、準優勝を占めたのは女子のレースだけでなく、男子のレースでも同じでした。スタートからフィニッシュまで完璧な晴天に恵まれた今回のOCCでしたが、男子のレースでは序盤から3選手がリードして、その展開が最後まで続くかにみえました。

ペトロ・マム Petro MAMU (ERI) 、昨年のOCCで2位のロビー・シンプソン Robbie SIMPSON (GBR) 、今年7月のトレイルランニング欧州選手権(スペイン・エルパソ)で銀メダルのアルノー・ボナン Arnaud BONIN (FRA) の3人からなる先頭集団はトリアンまで先頭が入れ替わりながらも順調にコースを進みます。トリアンからは今大会からの新しいセクションに入り、約9kmの長い上りが続きを経て、コースの最高地点であるコル・デ・バルムへと向かいます。ここで2021年のスカイランニング世界選手権チャンピオン(スペイン)、マヌエル・メリャスが猛烈に追い上げます。リードを失った先頭集団からはペトロ・マムが脱落。さらに、アントニオ・ペレスがアルジェンティエールへと続く下りのトレイルで次第に順位を上げました。コース最終盤のラ・フレジェールへの登りでは目メリャスにペレスが追いつきました。二人をシンプソンとボナンが数分の差で追いますが、追いつくことはできませんでした。

OCC優勝のマヌエル・メリャス。

OCC優勝のマヌエル・メリャス。

シャモニーまであと7kmとなるラ・フレジェールの下りで、メリャスが再び先頭に立ったのち、抜かれたペレスは足の攣りで立ち止まる場面もありました。結局メリャスがトップでシャモニーにフィニッシュして5時間18分で今年のOCCのチャンピオンとなりました。メリャスとはチームメイトであり、ルームメイトでもあるというペレスが2分30秒差の2位、シンプソンがメリャスから5分30秒差で3位でした。

OCC男子トップ3。左から2位のペレス、1位のメリャス、3位のシンプソン。

OCC男子トップ3。左から2位のペレス、1位のメリャス、3位のシンプソン。

8月26日金曜日は午前9時(日本時間同日午後4時)にクールマイユールでCCC、午後6時(日本時間27日土曜日午前1時)にシャモニーでUTMBがスタートします。

CCCは100km 6100mD+のトレイルランニングレース。スタート地点には2人のスターが登場します。ジョナサン・アルボンJonathan ALBON (GBR) とブランディーヌ・リロンデルBlandine L’Hirondel (FRA) はともに昨年のOCCで優勝していて、今回はCCCで優勝を狙います。加えて、昨年のCCCで3位だったティボー・バロニアン Thibaut Baronian (FRA) も今年のCCCに参戦。デビッド・シンクレア David Sinclair (USA) 、今年のウェスタンステイツで2位のヘイデン・ホークス Hayden Hawks (USA) 、今年のLavaredo Ultra-Trailで3位のシェン・ジアシェン Jiasheng Shen (CHN)、昨年のCCCで4位のアンドレアス・レイテラー Andreas Reiters (ITA)、昨年のOCCで3位のペッター・エングダール Petter Engdahl (SWE)、今年のPenyagolosa Trails MiMで3位のアンネシュ・カレビック Anders Kjaerevik (NOR)の競争は熾烈を極めそうです。

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女子では2022年のフランス選手権とヨーロッパ選手権を制しているブランディーヌ・リロンデル Blandine L’Hirondel (FRA)が今回のCCCの優勝候補。昨年のCCC2位のアビー・ホール Abby Hall (USA) のほかテイラー・ノウリン Taylor Nowlin (USA)、カナダのジャズミン・ローサー Jazmine Lowther (CAN)、マルセラ・ワシノワ Marcela Vasinova(CZE) もCCCに参戦します。

夕方のシャモニーの街はUTMBのスタートに立つランナーたちを歓迎する観客であふれることでしょう。男子ではジム・ウォルムズレイ Jim Walmsley (USA) がアメリカ人男性として初めてとなるタイトル獲得に挑みます。キリアン・ジョルネKilian Jornet (ESP) はUTMBで4回目の優勝を目指します。さらに2019年UTMB優勝のパウ・カペル Pau Capell (ESP)、6月のLavaredo Ultra Trail優勝のハンネス・ナンベルガー Hannes Namberger (GER)、昨年のCCCチャンピオンのティボー・ガリビエ Thibaut Garrivier (FRA)、昨年のUTMB2位のオーレリアン・デュナン=パラス Aurélien Dunand-Pallaz (FRA)、加えてジェルマン・グランジェ Germain Grangier (FRA) 、中国のチョウ・ジアジュ Jiaju Zhaoユン・ヤンチャオ Yanqiao Yunもスタートラインに立ちます。日本からは2019年UTMBで8位の小原将寿 Masatoshi OBARA、今年のUTMF優勝の西村広和 Hirokazu NISHIMURAに注目。

UTMBの女子は2019年CCC優勝のラグナ・デバッツ Ragna DEBATS (NED)がUTMBのタイトルに挑みます。ケイティ・シード Katie Schide (USA)、ミミ・コトカ Mimmi KOTKA (SWE)、オードリー・タンギー Audrey Tanguy (FRA)、マノン・ボアール Manon Bohard (FRA) 、シャン・フージャオ Fuzhao Xiang (CHN)が上位を走るレースとなりそう。2017年UTMBで4位の丹羽薫 Kaori NIWA (JPN)、今年のUTMF優勝の宮﨑喜美乃 Kimino MIYAZAKI (JPN)の活躍にも期待です。

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26日金曜日は午前8時40分(日本時間同日午後3時40分)からUTMB LIVE (live.utmb.world) でライブ配信されます。YouTubeでも日本語チャンネルでは当サイトの岩佐が出演して実況解説を担当します。

OCC®︎リザルト

全体のリザルトはこちら

女子

  1. Sheila AVILÉS CASTAÑO 06:10:16 ESP
  2. Núria GIL CLAPERA 06:16:03 ESP
  3. Dani MORENO 06:17:05 USA
  4. Kimber MATTOX 06:22:05 USA
  5. Toni MCCANN 06:24:45 RSA
  6. Allie MCLAUGHLIN 06:28:44 USA
  7. Esther EUSTACHE 06:33:45 FRA
  8. Eleanor DAVIS 06:34:35 GBR
  9. Mireia PONS 06:35:45 ESP
  10. Lina EL KOTT HELANDER 06:43:40 SWE
    1. Yuri YOSHIZUMI 06:54:02 JPN

男子

  1. Manuel MERILLAS 05:18:29 ESP
  2. Antonio MARTÍNEZ PÉREZ 05:21:01 ESP
  3. Robbie SIMPSON 05:24:00 GBR
  4. Arnaud BONIN 05:29:05 FRA
  5. Paul MATHOU 05:31:36 FRA
  6. Nicolas MARTIN 05:34:47 FRA
  7. Antoine THIRIAT 05:36:32 FRA
  8. Martin DEMATTEIS 05:42:25 ITA
  9. Leonard MITRICA 05:42:52 ROU
  10. Andreas RIEDER 05:49:38 AUT
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