2022年 Doi Inthanon Thailand by UTMB プレビュー

今、トレイルランニングの人気が高まっているアジア。その中でもタイは多数の熱心なトレイルランニングファンのコミュニティがあるのに加えて、政府の推進するスポーツツーリズムの柱としてトレイルランニングが重視されていて、国際的なイベントが相次いで開催されています。

今週末の12月8日から11日にかけて、タイ北部のドイ・インタノン国立公園で開催される、Doi Inthanon Thailand by UTMBは、タイを代表する国際的なトレイルランニングイベントとして注目を集める大会です。2020年2月に “Ultra Trail Thailand” として開催されたのち、新型コロナの逆風の中で昨年2021年12月には “Thailand by UTMB” としてリニューアル。今回は大会名を新たにして「UTMBワールドシリーズ」のイベントにラインナップ。アジア・パシフィックの「メジャー」との位置付けに加え、上位入賞選手にウェスタン・ステイツへの出場権が認められる “Golden Ticket Race” にアジアから初めて加わるなど、話題が豊富な大会となります。

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by Doi Inthanon Thailand by UTMB)

今年の大会には64カ国から5400人が参加。参加者の3割は外国からの参加で、アジア各国ではまだ国境を跨いで参加できるトレイルランニングイベントが少ない中で際立って国際的なイベントとなります。ちなみに外国からの参加者の中で日本は全体の4.50%で最多。中国(香港、台湾を含む)が4.23%、シンガポールが3.96%、マレーシアが2.89%と続きます。

レースは170kmの “SUMMIT 160”、104kmの “CLIFFS 100”、55kmの “PAGODA 50”、24kmの “TERRACE 20”、14kmの “TRIBES 10”の五つが開催されます。Summit 160、Cliffs 100とPagoda 50は男女それぞれのトップ10がUTMB Mont-BlancのそれぞれUTMB、、OCCの出場権を獲得、Summit 160の男女それぞれ上位2人はウェスタン・ステイツの出場権も獲得します。

レースは12月9日金曜日午前10時(日本時間同日正午)に SUMMIT 160がスタートし、トップの選手は10日土曜日午前8時(日本時間同日午前10時)にフィニッシュの見込み。CLIFF 100は10日土曜日午前5時(日本時間同日午前7時)、PAGODA 50は同日午前6時(日本時間午前8時)にそれぞれスタートします。レースの模様はLIVE.UTMB.WORLDで現地からのライブ配信が行われ、日本語チャンネルは当サイトの岩佐が案内役を務める予定です。

以下ではSUMMIT 160、CLIFF 100、PAGODA 50の三つのレースの有力選手を紹介します。

SUMMIT 160・新コースでインタノン山のピークを踏むコースに

大会のフラッグシップ、距離170kmで累積獲得高度10,045mD+のSUMMIT 160は、新たに設定されたタイの最高峰・インタノン山の山頂を通るコースで開催されます。西暦2022年の今年はタイ太陽暦で2565年となりますが、その年に標高2565mの山頂に登ることになります。

女子選手

女子選手では2019年UTMFでの優勝で日本のトレイルランニングファンにもおなじみのシャン・フージャオ Fuzhao XIANG (CHN) が昨年のこの大会の100マイルに続いて連覇を目指します。今夏は欧州に遠征してEiger Ultra-Trail E101で4位、Montreaux Trail Festival 72kmで2位、Val Tho Summit Games 42kmで優勝したのち、UTMBで7位に。先月中国で開催のTsaigu Trail 115kではヤオ・ミャオ Miao YAOに次いで2位でした。

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ジェニー・キルティ Jenny Quilty (CAN)は昨年のUltra-Trail Harricana du Canada 125kで総合2位で優勝。今シーズンもCanadian Death Race 44kで2位、Squamish 50 – 50kmで優勝。100マイル、北米以外のレースともに初挑戦となります。 オアナ・ミハルセア Oana Mihalcea(ROU、フランス在住)は今シーズンに実力を発揮したアスリートで今年10月のTempliers 80kでは女子4位に入って注目されています。シー・ウェンフェイ Wenfei Xie (CHN) は2020年のPanda Trail by UTMBの100マイルで女子3位をはじめ中国のレースで入賞多数、今年はStranda Fjord 100kで2位、TDSで7位と欧州のレースで記録を残しています。

日本からは今年のUTMFのチャンピオン、宮﨑喜美乃 Kimino MIYAZAKI (JPN)がエントリー。昨年のこの大会の100マイルではシャン・フージャオに続いて2位。今年はUTMBで24位、Pirin Ultra 160kで優勝と100マイルレースの経験を積んでいます。そして日本のウルトラトレイルの第一人者で2017年UTMB7位の丹羽薫 Kaori NIWA (JPN)も参戦。昨年のこの大会では宮﨑に続いて3位。今年夏は欧州遠征でEiger Ultra-Trailの新レース、E250でいいのわたるとのペアで2位、UTMBでは13位となっています。さらに今年のUTMFで2位の矢野淳子 Junko YANOも加わって、今回のSUMMIT 160女子のレースは日本の選手の活躍を伝える機会が多くなりそうです。

男子選手

男子のレースも昨年のThailand by UTMBの100マイルのチャンピオン、チョウ・ジアジュ Jiaju ZHAO (CHN)がリードする展開となりそう。コロナ前は中国で毎週のようにトレイルレースで優勝や準優勝を重ね、2019年のCCCで11位、2020年のHong Kong 100で7位。2020年11月のPanda Trail by UTMBの100マイルでは当時のチームメイト、リャン・ジンに続いて2位。今年の夏のヨーロッパではEiger Ultra-Trail E101で5位、Montreaux Trail Festival 108kmで2位、Val Tho Summit Games 42kmで5位、UTMBではDNF。その後中国のTsaigu Trail 115kでは優勝。昨年の大会を経験していることは有利に違いありません。

中国からは2018年Gaoligong by UTMB 100マイルで2位、2019年UTMBで11位のロー・カンファ Canhua LOU (CHN) もエントリー。ローもこの夏は欧州を転戦していてEiger Ultra-Trail E101で6位、Montreaux Trail Festival 72kmで2位、Val Tho Summit Games 42kmで8位。UTMBは29時間半と振いませんでしたが完走。その後のTsaigu Trail 85kで6位。夏の連戦からのリカバリーが十分であればチョウ・ジアジュとともにレースをリードすることになるでしょう。

2016年UTMBで2位のゲディミナス・グリニウス Gediminas GRINIUS (LTU)、2018年UTMBで3位のジョルディ・ガミト Jordi GAMITO (ESP)とこれまでのUTMB Mont-Blancで活躍でおなじみの選手も顔をそろえます。セドリック・シャベ Cedric CHAVET (FRA)は2021年のDiagonale des Fousで4位。サンゲ・シェルパ Sange SHERPA (NEP)は今年九月のWildstrubel by UTMBの108kmで3位。世界各地で100マイルを走ってきた選手たちがタイでどんな走りを見せるか。ロッド・ファーバード Rod Farvard (USA)は今年のBandera 100kで4位、Canyons by UTMB 100kmで4位となった経験を持ちますが、アジアのレースは初体験です。フランチェスコ・クッコ Francesco Cucco(ITA)は2021年Transgrancanariaで4位。

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アジア各国からもトップ選手が集まります。日本の土井陵 Takashi DOIは2015年のUTMBで11位となった経験を持ち、今シーズンはUTMFで2位、TJARで優勝しています。ウォン・ホーチュン Ho Chung Wong(中国香港)は2019年のUTMBで6位、今年はは10位に。マレーシアのミルトン・アマット Milton AMATは今シーズンにBorneo Ultra-Trail Marathonの106kmやTMBT 109kmで優勝しているマレーシアのトップ選手です。このほか日本から出場するいいのわたる Wataru IINO板垣渚 Nagisa ITAGAKI井原知一 Tomokazu IHARAの各選手にも注目です。

CLIFFS 100・そそり立つ岩壁に臨むビューポイントがコースに

距離104km、累積獲得高度6,107mD+のCLIFFS 100のコースは、100マイルのSUMMIT 160の後半(東側)が重なります。スタート地点から北へ向かう約30kmはSUMMIT 160とは別のトレイルとなりますが、ここにはこのエリアの名所ともなっている巨大な岩の壁があり、コースから眺めることができると言います。

女子選手

昨年のThailand by UTMBの100kmのレースで優勝したスンマヤ・ブッダ Sunmaya BUDHA (NEP) が今年も100kmのCLIFFS 100に登場します。香港のトレイルランニングレースでの活躍で知られていましたが、今年はCCCで2位、チェンマイでの世界選手権・ロングトレイルで10位と目覚ましい活躍を見せました。

アメリカのハンナ・オールグッド Hannah ALLGOODは昨年から頭角を表したアスリートで今年はGorge Waterfalls 100K、San Juan Solstice 50 mileでいずれも優勝。今年はCCCに参戦していて14位でフィニッシュしています。中国のタン・ジンヤン Jingyan TANGは昨年のUltra Trail Chongyi Challenge 100kで優勝。今年のCCCはDNFでしたが、先月のTsaigu Trail 85kで優勝。日本からは吉住友里 Yuri YOSHIZUMIがエントリーしています。UTMBでは2019年のOCCで3位となった経験を持ち、今年9月のNice Cote d’Azurの50kで3位に。シーズン最後の海外レースで頂点を狙います。加えて、昨年のFTR秩父&奥武蔵 100kチャンピオンで今年のスカイランニング世界選手権日本代表の枝元香菜子 Kanako EDAMOTOも出場します。

男子選手

男子ではスコット・ホーカー Scott HAWKER (NZL) とジェイソン・シュラーブ Jason SCHLARB (USA)がリードするレースとなりそう。スコット・ホーカーは2019年のUTMB®︎で3位、2021年CCCで2位。今年秋のUltra-Trail by UTMBのUTA100で2位。一方のジェイソン・シュラーブ は2014年にUTMBで4位となった経験を持ち、その後はGaoligong、Oman、Ushuaiaなどby UTMBのレースに参加してその魅力を伝えています。最近では2020年のIMTUF 100mileで優勝。

2人に続く注目選手としては、まずリチャード・ロックウッド Richard LOCKWOOD (USA) 。シュラーブが優勝した2019年のIMTUF 100で4位ののち、今年はGorge Waterfalls 100kで2位、コロラドのRun Rabbit Run 100で優勝しています。中国のチャン・ホウフア Huo hua ZHANG (CHN)は先月の先月のTsaigu Trail 85kで2位。今年のUTMFで8位の吉村健佑 Kensuke YOSHIMURA (JPN)、話題となったハセツネダブルを3位で完走した三浦裕一 Yuichi MIURA (JPN)が登場します。

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開催国のタイを代表するトレイルランナーで昨年のこの大会の100kmのチャンピオン、ジェイ Jantaraboon “Jay” KIANGCHAIPAIPHANA (THA)は今年も100kmのレースにエントリーしています。2018年のUTMFで5位となって日本のドレイルランニングファンにも知られます。タイからは昨年の100kmのレースで3位のタナポン・チャンクラチャン Tanapong CHANKRACHANGも再び100kmに挑みます。

PAGODA 50・二つの仏塔を眺めながら走るコース

距離55km、累積獲得高度3,186mD+のPAGODA 50はその名前にあるパゴダ=仏塔がコースから眺めることができます。敬虔な仏教の国、タイの文化と歴史に触れるコースは、スタートから46キロ付近までは100マイルのSUMMIT 160の序盤と重なっています。

女子では今年のTrail 100 Andorra by UTMB 50Kで優勝したアンヘルス・リョベラ Angels LLOBERA (ESP)、今年のVietnam Mountain Marathon 100k優勝のハウ・ハー Hau HA THI (VNM)がエントリー。

男子は2018年トレイル世界選手権銀メダルのクリストファー・クレメンテ Cristofer CLEMENTE (ESP)が出場します。今シーズンはTrail 100 Andorra by UTMB 105kで4位、Transvulcania by UTMB 73kmで3位。

クレメンテの力は一歩抜き出ていますが、上位争いは接戦となりそう。ロシアからは昨年のDagestan Wild Trail 52kで2位のユーリ・シャンコフ Yury SHANKOV。2020年Panda Trail by UTMBの55kmで2位、先月のTsaigu Trail 85kで2位のメン・ガンフ Guangfu MENG (CHN)、2018年STYで5位で昨年のThailand by UTMB 100マイルで2位のジョン・レイ・オニファ John Ray ONIFA (PHI)。ここに日本から今年7月の霧島えびの高原エクストリーム33kmで鮮やかな勝利を勝ち取った森本幸司 Koji MORIMOTO、今年春のKAI69kチャンピオンで9月のスカイランニング世界選手権・ウルトラで11位の「くれいじーかろ」こと甲斐大貴 Hiroki KAIが加わり、日本のファンにも見どころの多いレースとなります。

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