2023年 UTMB プレビュー #UTMB

2003年に「Ultra Trail Tour du Mont Blanc」として始まった大会は今年で20周年を迎えます。2023年の大会はDacia UTMB Mont-Blancとして開催されます。そして昨年から始まった「UTMBワールドシリーズ」のファイナルとしてのモンブランは今年初めてシーズンを一巡して開催されることになります。

エリート選手のUTMBインデックスの平均値から、過去最高にハイレベルなレースとなるとされる今年の100マイルのUTMBは、今年も世界が見守るトレイルランニング界のクライマックスとなります。

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今回のUTMBはフランス、イタリア、スイスの3カ国にまたがる距離171km、累積獲得高度9,963mのコースで開催。シャモニーをスタートして反時計回りにモンブランの周りを一周するコースとなります。コースのうち、コース最終盤はコル・ デ・モンテ Col des Montetsからグラン・バルコン・スッド Grand Balcon Sudを経由してフレジエール Flégèreに至るセクションは、悪天候時の代替ルートである、トレ・ル・シャン Tré-le-Champの手前からBécharを経てフレジエールへと登るコースに変更されました。距離、累積高度には大きな変更はない模様です。

今年のUTMBは9月2日金曜日午後6時(日本時間3日土曜日午前1時)にスタートします。選手の通過速報やコース上からの映像と解説のライブ配信をUTMB LIVEのウェブサイトで見ることができます。

この記事では171kmのUTMBの有力選手を紹介します。

(Photo © Paul Brenchu / UTMB)

UTMB女子・コートニーが3度目の優勝を果たすのか、それとも新しいレジェンドが誕生するのか

これまでのUTMBの女子のレースではリジー・ホーカー Lizzy HAWKER (GBR) が5回優勝しており、優勝回数ではクリッシー・メール Krissy MOEHL (USA) とローリー・ボジオ Rory BOSIO (USA) 、そしてコートニー・ドウォルター Courtney Dauwalter (USA) が2回で続きます。厳密にはコースは同じではないもののコースレコードは2021年のコートニーによる22時間30分54秒となります。そして今年のUTMBではコートニーが3度目の優勝を達成するのかどうかが注目されています。今シーズンは6月のWestern Statesで2018年に続いて2度目の優勝、そして大会記録を更新。7月のHardrock 100でも昨年に続いて優勝、大会記録を更新。UTMBを含めたこの三つのレースを同じシーズンに制した選手は未だいません。コートニーがこの挑戦に成功すれば、新しいレガシーとして長く語られることになるでしょう。

モンブランの他のレースの優勝経験者で100マイルのUTMBに初めて挑む二人の選手がコートニーを追う展開も考えられます。ブランディーヌ・リロンデル Blandine L’HIRONDEL (FRA) は2021年のOCC、2022年のCCCで優勝。ルース・クロフト Ruth CROFT (NZL) は2015年のCCC、2018年と2019年のOCCで優勝しています。リロンデルは最近では昨年11月のチェンマイでのWMTRC世界選手権ロングで金メダルののち、今年4月のIsria 100 by UTMB 69Kで優勝。クロフトはWestern Statesで2021年の2位に続いて昨年2022年は優勝しています。コートニーと合わせて3選手がレースをリードすることになるか。

香港在住のエスター・チーラグ Eszter CSILLAG (HUN) は昨年のUTMBで5位となったのち、チェンマイではWMTRCロングで4位、今年のWestern Statesで3位と活躍しています。2021年TDS優勝のマノン・ボアール Manon BOHARD (FRA) は昨年のUTMBではDNFでしたが、今年4月のMIUT 116kで優勝、6月のインスブルックでのWMTRCロングで銅メダル。今年のウルトラトレイルマウントフジのFUJIでの優勝が記憶に新しいシャン・フージャオ Fuzhao XIANG (CHN) は昨年のUTMBで7位。FUJIの直前のNinghai by UTMB 105kmでは2位でした。スカイランニングでの活躍から最近はウルトラを走る機会も増えているマイテ・マイオラ Maite MAIORA (ESP) はCCCで2017年に2位、2019年のUTMBで3位となっています。この他長距離のレースではチェンマイのWMTRCロングで8位、今年4月のIstria 100 by UTMB 110Kで4位、5月のAlsace Grand Est by UTMB 175kで優勝。

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加えて、クラウディア・トレンプス Claudia TREMPS (ESP) は2021年のUTMBでの9位に続いて昨年はTDS®︎で準優勝。今年のUTMBではさらに上位を目指します。昨年10月のUltra Pirineu 100Kで2位、今年2月のTransgrancanariaで3位でした。アリッサ・マクドナルド Alissa MACDONALD (CAN) は2019年CCCで6位で一昨年のUTMBはDNF。昨年のWestern Statesで2位でした。 昨年のTDS®︎で3位のカタリナ・ハートマス Katharina HARTMUTH (GER) はインスブルックのWMTRCロングで銀メダルののち、7月には昨年に続いてEiger by UTMB E101を連覇。100マイルのUTMBに初挑戦となります。

日本からは宮﨑喜美乃 Kimino MIYAZAKI が出場。昨年の初めてのUTMBを24位で終えたのち、100マイルのレースに集中して取り組んでおり、2月のTarawera by UTMB 100mileで2位、4月のIstria 100 by UTMB で優勝、7月のHardrock 100では4位に。当サイトとのインタビューでは今年のUTMBは来年のUTMBでの成功に向けたステップと答えていて、どんなレースとなるか注目です。 昨年9月のNice Cote d’Azur by UTMB 100mileで2位の若林綾 Aya WAKABAYASHIは今回がUTMBに初挑戦となります。

次の選手にも注目です。

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UTMB男子・ジムが初優勝を果たすか、昨年のUTMBで活躍した選手たちも頂点を目指す

昨年のUTMBチャンピオンで今年は5度目となる優勝が期待されたキリアン・ジョルネ Kilian JORNET (ESP) がリカバリーを見極めて出場を見送りました。今年のUTMBはついにジム・ウォルムズレイ Jim WALMSLEY (USA) がせいすることになるのか。アメリカ・アリゾナ州生まれの33歳。Western Statesで2018年、2019年、2021年と三連覇した大会記録保持者にとって、UTMBで優勝すればアメリカ人男性として初めてとなります。ウォルムズレイが初めてUTMBを走ったのは2017年でこの時は5位。翌年はリタイア、コロナ禍を挟んで2021年もリタイア。昨年5月からフランスに渡り、モンブラン周辺のトレイルでトレーニングしており、昨年8月のUTMBは4位でした。これまでのUTMBではスタートしてから一夜明けてからのレース後半でブレーキがかかることが多かったですが、今年はどのような展開となるでしょうか。Western Statesでも最初と2回目の挑戦で失敗したのちに、三連覇しているウォルムズレイなので、過去の経験をきっと成功に繋げることでしょう。

昨年のUTMBで活躍した選手たちも今年のUTMBの優勝候補に名前があがります。昨年のレース終盤で一時はキリアンに先行してトップを走ったマチュー・ブランシャール Mathieu BLANCHARD (FRA) は2021年に3位で昨年は2位。今年はWestern Stateで6位となっています。表彰台の頂点に最も近い一人です。足の手術からの復帰レースとなった昨年のUTMBで3位となったトム・エバンス Thomas EVANS (GBR) は今年のWestern Statesで優勝しています。こちらも有力な優勝候補です。昨年のCCCで9時間53分という大会新記録で優勝したペッター・エングダール Petter ENGDAHL (SWE) はその後も昨年10月のTransvulcania by UTMB 72kで優勝、Marathon du Mont-Blancで3位、7月のEiger by UTMB E51で優勝。100マイルのレースは初となりますが、今年の優勝争いで注目の選手です。

昨年のトップ10の選手では5位だったザック・ミラー Zach MILLER (USA) も今年のUTMBにエントリー。2月のTarawera by UTMB 100mile で優勝し、6月のインスブルックのWMTRCロングで6位でした。昨年6位のベナー・マルミソレBeñat MARMISSOLLE (FRA) は昨年のDiagonale Des Fousで優勝、最近ではHardrock 100で2位となっています。8位のジョナス・ルッシ Jonas RUSSI (SUI) は今年のLavaredo by UTMB 120kのチャンピオンです。9位の ロベルト・ハイナル Robert HAJNAL (ROU) は今年のLavaredoでルッシに次いで2位でした。ティボー・ガリビエ Thibaut GARRIVIER (FRA) は2019年、2021年にCCCを連覇していて昨年が100マイルに初挑戦でした。WMTRC世界選手権のロングではチェンマイで6位、インスブルックで4位。7月のTrail Verbier by UTMB 76kで優勝。今回のUTMBでは着実に昨年の自身の10位を上回ってくるでしょう。

加えて、2021年のUTMBで6位、昨年はDNFだったハンス・ナンベルガー Hannes NAMBERGER (GER) も優勝争いに加わります。最近では昨年11月のUltra-Trail Cape Town 100kや今年7月のEiger by UTMB E101で優勝。ベテランのミゲル・ヘラス Miguel Heras (ESP) は5月のValholl by UTMB 125kで優勝して今回のUTMBのスポットを獲得しています。2013年のUTMBで2位となったのち、2017年のUTMBでのDNFを経て、今年の表彰台に立てば大いに話題となることでしょう。中国からはユン・ヤンチャオ Yanqiao YUN、そしてチョウ・ジアジュ Jiaju ZHAO。ユンは昨年のUTMBはDNFでしたが、昨年10月のPuerto Vallarta by UTMB 100kで優勝。チョウも昨年のUTMBはDNFでしたが、12月のDoi Inthanon by UTMB 100mileで優勝、4月はFUJIで優勝しています。 ニュージーランドのダニエル・ジョーンズ Daniel JONESは今年のTarawera by UTMB 100kで優勝し、出場チケットを得たWestern Statesで5位に入る快挙。UTMBには初挑戦です。

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日本の選手ではウルトラトレイルマウントフジで2022年に3位、2023年に4位となって注目された万場大 Hajime MAMBAが昨年に続いてUTMBに挑戦します。昨年秋からはハセツネダブルで2位、Tarawera by UTMB 100 mileで2位、7月のOSJ Ontake 100Kで2位といった結果を残しています。昨年の27位を上回る結果を残せるか。このほか吉村健佑 Kensuke YOSHIMURA板垣渚 Nagisa ITAGAKI西方勇人 Hayato NISHIKATA村田諒 Ryo MURATA杉本愉 Satoshi SUGIMOTO高橋和之 Kazuyuki TAKAHASHIといった選手に注目です。

このほか、次の選手に注目します。

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