[DC] 2014 ウルトラトレイル・デュ・モンブラン The North Face® Ultra-Trail du Mont Blanc® プレビュー #UTMB14

世界中で盛り上がりをみせるトレイルランニングというスポーツにおいて、世界最高のイベントといえるウルトラトレイル・デュ・モンブラン / The North Face® Ultra-Trail du Mont Blanc® が今年も例年通り、シャモニーをはじめフランス、イタリア、スイスにまたがるモンブラン山麓で開催されます。既に一部のレースはスタートしており、8月29日金曜日17:30(日本時間30日土曜日0:30)には最も注目の168kmのレース、UTMBがスタートします。

このウルトラトレイル・デュ・モンブラン / The North Face® Ultra-Trail du Mont Blanc®について、今年の概要、応援や観戦のための情報源、当サイトの予想する入賞選手をご紹介します。

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The North Face® Ultra-Trail du Mont Blanc®の五つのレース

  • UTWT-Ultra Trail World Tour logoUTMB®:距離168km、累積獲得高度9600mD+、制限時間46時間。2003年に始まったこのイベントの中心となるレースであり、近年では欧州だけでなく北米やアジア、オセアニアからも多くの有力選手が出場し、このレースをきっかけに世界に向けて活躍する選手も少なくありません。今年から始まったUltra-Trail World Tourのメインシリーズ4戦の最終戦でもあります。2300人が参加し、日本からも185人が参加見込み。日本からの参加者は昨年の2倍。
  • CCC® :距離101km、累積獲得高度6100mD+、制限時間26時間30分。2006年から始まったレースでUTMBのコースの後半に当たるクールマイユールからシャモニーをコースとしています。1900人が参加し、日本からも43人が参加見込み。
  • TDS® :距離119km、累積獲得高度7250mD+、制限時間33時間。2009年から始まったレースでクールマイユールからシャモニーをCCC®とは反対の時計回りに進みますが、コースの多くはUTMB®とは異なり、より難易度の高いテクニカルなコースとなっています。こちらも年を追うにつれて、グラン・レイド・レユニオンなど、シーズン終盤のレースに向けた調整レースとして参加する有力選手が増えて注目されています。1600人が参加し、日本からも42人が参加見込みです。レース名は「sur les Traces des Ducs de Savoie」(サヴォワ公の散歩道)。
  • PTL® :距離300km、累積獲得高度28000mD+、制限時間141時間(5日と21時間)。他のレースとは異なり、コースマークがないコースを地図で確認しながら進むエクスペディション型のイベント。UTMBを完走した経験を持つメンバーを含む2-3人のグループ100組が参加。日本からは3チーム8人が参加。
  • OCC :距離53km、累積獲得高度3300mD+、制限時間14時間。今年から開催される新しいレースで、スイスの街、オルシエールをスタートし、シャンペからUTMBやCCCと同じコースでシャモニーにフィニッシュ。出場に必要な資格となるポイントなどが設定されない、多くの人に開かれたレースとなります。1200人が参加し、日本からも12人が参加見込みです。

The North Face® Ultra-Trail du Mont Blanc®のイベントスケジュール

UTMB-Logoなお、UTMB® が開催される金曜日以降の天気予報は、時おり雨が見込まれるものの多くの一般ランナーがフィニッシュする日曜日は概ね晴れ、といった内容です(現地時間27日水曜日深夜の予報より)。

  • 8月25日月曜日17:30(日本時間26日火曜日0:30)PTL®がシャモニーをスタート
  • 8月27日水曜日7:00(日本時間27日水曜日14:00)TDS®がクールマイユールをスタート
  • 8月27日水曜日22:00頃(日本時間28日木曜日5:00頃)TDS®の優勝選手がフィニッシュの見込み
  • 8月28日木曜日8:00(日本時間同日15:00)OCCがクールマイユールをスタート
  • 8月28日木曜日14:00(日本時間同日21:00)OCCの優勝選手がフィニッシュの見込み
  • 8月28日木曜日16:00(日本時間同日23:00)TDS®とOCCの表彰式
  • 8月29日金曜日9:00(日本時間29日金曜日16:00)CCC®がクールマイユールをスタート
  • 8月29日金曜日17:30(日本時間30日土曜日0:30)UTMB®がシャモニーをスタート
  • 8月29日金曜日20:30頃(日本時間30日土曜日3:30頃)CCC®の優勝選手がフィニッシュの見込み
  • 8月30日土曜日7:00頃(日本時間同日14:00頃)PTL®の最初のチームがシャモニーにフィニッシュ
  • 8月30日土曜日11:00(日本時間同日18:00)CCC®の表彰式
  • 8月30日土曜日14:00頃(日本時間同日21:00頃)UTMB®の優勝選手がフィニッシュの見込み
  • 8月31日日曜日15:00(日本時間31日日曜日22:00)UTMB®の表彰式
  • 8月31日日曜日15:30(日本時間同日22:30)UTMB®とPTL®の最終完走者がフィニッシュ
  • 8月31日日曜日16:15(日本時間同日23:15)PTL®の表彰式

当サイトが予想するUTMBの入賞選手

女子

ヌリア・ピカス/Nuria Picas

ヌリア・ピカス/Nuria Picas

昨年のUTMBで総合7位、22時間37分で大会記録を大幅に更新したローリー・ボジオ/Rory Bosio当サイトのインタビュー)と今年は日本でUTMF優勝など目覚ましい成績を残しているヌリア・ピカス/Núria Picas当サイトのインタビュー)の勝負になると考えるのが自然でしょう。昨年のUTMBはヌリアの100マイルデビューでローリーに2時間差の2位。ローリーは今シーズンは6月にLavaredo Ultra Trailで優勝した他は大きなレースは控えているようにみえます。一方ヌリアは6月にZegama-AizkorriとMont Blanc 80kをリタイア。二人について敢えて選ぶなら、この辺りの調整の差をみてローリーを本命に挙げます。

Fernanda Maciel in UTMF

フェルナンダ・マシェール/Fernanda Maciel。

さらに、上位に入りそうなのは春のUTMFで来日していたフランスのナタリー・マクレア/Nathalie Mauclairとスペイン在住のフェルナンダ・マシェール/Fernanda Maciel当サイトのインタビュー)。ナタリーはUTMFではリタイアでしたが最近では6月のWestern Statesで3位。当サイトとしては昨年のレユニオンでの力強い走りを思い出すと、序盤から積極的にリードすることをためらわない彼女のスタイルがうまくはまればUTMBでも大きな結果を残すような気がします。フェルナンダはUTMFで2位となるなど今シーズンは序盤から活躍しましたが、その後は6月のMont Blanc 80kでレース途中でペースダウンするなど、疲れがみえる印象です。

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その他、欧州からは昨年5位でスペインのSilvia Trigueros、同じくスペインで今年UTMB初挑戦のUxue Fraile。アメリカからはジョエル・ヴォート/Joelle Vaughtメーガン・アルボガスト/Meghan Arbogast、香港からは昨年のTDSで2位のクレア・プライス/Claire Price、オーストラリアからはUTMFで今年6位のショーナ・ステファンソン/Shona Stephensonが参加します。

男子

François D'Haene (FRA, Salomon)

フランソワ・デンヌ/François D’Haene

今年春のUTMFで圧倒的な強さをみせたフランソワ・デンヌ/François D’Haene当サイトのインタビュー)。昨年のグラン・レイド・レユニオンでの圧勝とあわせてみれば、現在100マイルの山岳レースで世界最強のランナーといっていいでしょう。2012年の悪天候で100kmに短縮されたUTMBで優勝したフランソワがオリジナルの168kmのUTMBで初優勝を果たす可能性は濃厚です。

マイク・フート/MIke Foote

マイク・フート/Mike Foote

さらにUTMFで3位だったアメリカのマイク・フート/Mike Foote当サイトのインタビュー)。UTMFでも後半の天子山地で上位選手が崩れていく中で次第に順位を上げていったように、タフなレースとなったら強みを発揮する粘り強いタイプです。今回のUTMBでもレースが荒れれば最後にトップを手にする可能性は大でしょう。2012年短縮版UTMBで3位、昨年のUTMBで5位。

Anton Krupicka

アントン・クルピチカ/Anton Krupicka

アメリカからはトレイルランニング界のロックスター、アントン・クルピチカ/Anton Krupickaも参戦(当サイトのインタビュー)。昨年のUTMBでは中盤にトップに立ちこのまま優勝か、とギャラリーを沸かせたものの、120kmのシャンペを出たところで脚の故障を起こしてリタイア。今年春のUTMFも故障で出場見送り、と足のコンディションの不安がつきまといます。今年は6月にLavaredo Ultratrailで優勝したほか、本人の最近のブログ記事をみても調整は順調な様子。フランソワに勝負を挑む展開は十分ありそうです。

100マイルの距離はおそらく初めてとなるものの、上記の3人に絡む展開が予想されるのはスペインのルイス・アルベルト・ヘルナンド/ Luis Alberto Hernando。ISFのシリーズ戦等で欧州の山岳レースで活躍しているランナーですが、今年は5月のTransvulcaniaでついにキリアン・ジョルネ/Kilian Jornetを制して優勝。6月のスカイランニング世界選手権として開催されたMont Blanc 80kではフランソワの追随を許さず優勝。新しいヒーローが世界へのデビューを果たすことは十分考えられます。

イケル・カレラ/Iker Karrera

イケル・カレラ/Iker Karrera

また、イケル・カレラ/Iker Karrera(スペイン)も見逃せない存在です(当サイトのインタビュー)。2011年UTMBを後半までキリアンと一緒に走り2位、昨年のトル・デ・ジアンで優勝などの実力派ですが、今年春のUTMFはフランソワに続く2位につけながらも膝の故障で中盤で惜しくもリタイア。その後は8月初めにBuff EPIC Trail(96km)で優勝しており、回復は順調な様子。

さらにトップ10で表彰台が狙えそうなランナーとして次のような名前が続きます。

  • 原良和/Yoshikazu Hara

    原良和/Yoshikazu Hara

    原良和/Yoshikazu Hara(日本):昨年の2013年UTMFの優勝で世界に知られた原は年初の当サイトとのインタビューではUTMBは難しいレースだと話していましたが、はたしてどのような走りを今年みせるか。昨年のUTMBは故障でリタイア、今年春のUTMFは体調不良でリタイア、6月のWestern Statesは38位。

  • ジョン・ティッド/John Tidd(ウルグアイ):UTMFで2013年に6位、今年2014年は12位。決して目立つ存在ではない50歳ですが、表彰台に立つ可能性は今回もありそうです。UTMBでも昨年は10位で表彰台に登っています。
  • ティモシー・オルソン/Timothy Olson(アメリカ):2012年、2013年のWestern Statesの連覇でトップランナーとしての地位を不動にしたティモシーは今年はTransgrancanariaで3位、Transvulcaniaで8位。中盤に大きく崩れた7月のHardrock 100では諦めずに30時間台でフィニッシュした粘りをみせました。昨年のUTMBでは4位。
  • ダコタ・ジョーンズ/Dakota Jones(アメリカ):日本では2012年のハセツネ優勝が印象に残るダコタも今年のUTMBに参戦します。7月のHardrock 100を捻挫でリタイアしていますがどのくらい回復しているか。
  • ハル・コナー/Hal Koerner(アメリカ):こちらもWestern Statesでの連覇、2012年のHardrock 100優勝などの実績を誇るトップランナーですが、7月のSpeedgoat 50kをケガでリタイアしており、現時点でのコンディションが気になるところ。
  • ハビエ・ドミンゲス/Javier Dominguez(スペイン):地元バスクのレースで活躍していたハビエは昨年のUTMBで3位に入って驚かせました(当サイトのインタビュー)。今年もサプライズをみせるか。
  • ジェズ・ブラッグ/Jez Bragg(イギリス):UTMBのトップ10の常連(2010年のやり直しUTMBでは優勝もしています)ですが、昨年春のニュージーランド縦断のテ・アラロアトレイル完走以後はリカバリーモードが続いているようにも思えます。昨年UTMBで10位、今年のWestern Statesで11位。
  • アイテ・タマン/Aite Tamang(ネパール):アジアからの参加で上位を狙います。昨年のUTMBで13位。
  • ティルサ・タマン/Tirtha Tamang(ネパール):今年春のVibram® HK 100で優勝。ネパール勢の実力が世界でどう発揮されるかに注目です。
  • ストン・ツアン/Siu-Keung “Stone” Tsang(香港):香港のトレイルランニング界で活躍するストンも今年のUTMBで期待されるアジア勢です。昨年のUTMBで18位。春のUTMFでは11位でした。
  • スコット・ホーカー/Scott Hawker(ニュージーランド):オーストラリア・ニュージーランドからはUTWTのシリーズ戦を中心に出場しているスコットに注目したいところ。最近世界的なレースではオーストラリア・ニュージーランド勢の活躍を目にする機会は増えているので、今年のUTMBにも期待です。

その他、今年のUTMBに出場しない主なランナーには次のような名前が挙がります。グザビエ・テベナール/Xavier Thevenard(フランス)は昨年のUTMBで優勝して注目を集めましたが、今年はTDSに出場して優勝。今年は10月に開催されるグラン・レイド・レユニオンに勝負を賭けるようです。昨年のUTMBで2位だったミゲル・ヘラス/Miguel Heras(スペイン)はエントリーしていたものの出場見送りを決めました。鏑木毅/Tsuyoshi Kaburaki(日本)、セバスチャン・セニョー/Sebasien Chaigneau(フランス)も今年はUTMBを見送っています。

日本の注目選手

野本哲晃/Tetsuaki Nomoto

野本哲晃/Tetsuaki Nomoto

今年も日本から多くのランナーがUTMBに参加します。当サイトとしては次の皆さんに注目しています。

まずは野本哲晃。ロードのマラソンでの活躍でも知られ、過去にもUTMBに出場していますが、今年のUTMF7位の勢いに期待したいところ。今年のUTMFで17位の小原将寿、19位の大瀬和文(TEAM TARZAN)(2位となったハセツネ30kの後でのインタビューはこちら)など最近伸びの著しい若手の活躍にも期待。

また、UTMBについては経験豊富な松永紘明は今年はどんな結果を残すか。さらに日本のレースで活躍する、大島拓郎新名健太郎山屋光司横内宣明も今年のUTMBに登場します。

応援・観戦のための速報・情報源

当サイトではウルトラトレイル・デュ・モンブラン/The North Face® Ultra-Trail du Mont-Blanc®の各レースの結果について紹介記事を随時掲載する他、進捗状況について、TwitterFacebookページでご紹介します。その他の情報やライブ速報については次のような情報源があります。

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