世界有数の山岳トレイルランニング・レースの模様を、今回当サイトが現地からライブ速報でお伝えします。ピレネー山脈のアンドラで開催されるアンドラ・ウルトラトレイル / Andorra Ultra Trail Vallnordは来週末の7月15日金曜日〜17日日曜日に開催されます。なかでも170km / 13,500mD+の世界有数の本格的な山岳コースで行われるレース、ロンダ・デル・シム/Ronda dels Cimsには日本から山本健一、原良和が参戦。上位入賞が期待される注目のイベントです。
当サイトはUltrAspireのご協賛で今回のアンドラ・ウルトラトレイルを現地からレポートします。来週初めにバルセロナを経由してアンドラに入り、大会前のアンドラの様子や有力選手のインタビューをお送りしていきます。当サイトの記事のほか、Twitterやインスタグラム、Facebookページのアップデートもどうぞお見逃しなく(アカウントはそれぞれこちら。Twitter、インスタグラム、Facebookページ)。
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当サイトのライブ速報は7月15日金曜日午前7時(日本時間同日午後2時)にスタートする170kmのロンダ・デル・シム/Ronda dels Cimsを中心にお届けします。このロンダ・デル・シム/Ronda dels Cimsの最初のフィニッシュは16日土曜日午後1時(日本時間同日午後8時)ごろの見込みです。この間、相次いでスタートするMític(112km)、Celestrail(83km)、Marató dels Cims(42km)についてもご紹介します。
この記事ではアンドラ・ウルトラトレイルの概要と注目の有力選手をご紹介します。
男子の優勝タイムが30時間を超えるビッグマウンテン・スタイルの100マイル
5つのレースが開催されるアンドラ・ウルトラトレイルでメインイベントとなるのは、最もコースが長いロンダ・デル・シム/Ronda dels Cims。スタート・フィニッシュ地点となるオルディノ / Ordinoの町をスタートして反時計回りにアンドラ公国(人工7万9千人、面積468㎢<参考・横浜市の面積437㎢>)をぐるりと一周するコースは170km、累積獲得高度は13,500mD+に達します。UTMBの168km / 9,600mD+、ハードロック(アメリカ)の160km / 10,360mD+、昨年のUTMFの168.6km / 8,337mD+と比べてもアップダウンが大きく、コースの大半が標高2,000m以上の高所となり、雪渓やガレ場も含まれる難度の高いコースです。制限時間は62時間、男子の優勝タイムが30時間を超える年が多いという過酷さです(参考・当サイトの紹介記事)。
しかし鋭く切り立った稜線からの山の眺め、雪解け水が注ぐ山上の澄んだ池、高山植物の花々の美しさが、トレイルランナーの間で評判を呼んでおり、今回日本からは18人のランナーがロンダ・デル・シム/Ronda dels Cimsにエントリーしています(その他のレースも合わせると計28人)。
あわせて開催されるレースのうち、ミティック / Mític(112km / 9,700mD+)、マラト・デル・シム / Marató dels Cims(42km / 3,000mD+)はそれぞれスペイン・アンドラ・ポルトガルのスカイランナー・ナショナルシリーズのレースとなっています。
山本健一、原良和が出場するロンダ・デル・シム/Ronda dels Cims
今年の170kmのロンダ・デル・シムには2013年にこの大会で2位となっている山本健一 / Kenichi Yamamoto、そして2014年のUTMF優勝の原良和 / Yoshikazu Haraが出場します。日本のファンにとって注目の二人を含めた、今年の有力選手を見てみましょう。
まず女子では2012年と2015年にこの大会で優勝しているネレア・マルチネス / Nerea Martínez(スペイン)が優勝候補の最右翼となります。日本では2012年の第一回UTMFで優勝、2014年のUTMFで4位となっていますが、この他には2013年のTor des Geantsで2位、2014年TDSで3位など欧州の長距離山岳レースで活躍しています。そのマルチネスと優勝を競うことになりそうなのはイタリアの長距離トレイルのエキスパート、リサ・ボルザニ / Lisa Borzani。レースがトレーニングというスタイルで数多くのレースに出ているボルザニは2014年にはTDS、Tor des Geantsでそれぞれ2位。アジアでもHong Kong 100で2015年に3位、今年は2位となっています。アンドラは今回が初出場ですが、女子のレースをリードする可能性は高いでしょう。
一方アメリカ・コロラドから参加するのがミッシー・ゴスニー / Missy Gosneyです。ゴスニーの名前は昨年、アンナ・フロスト / Anna Frostとともにコロラドのサンフアン山脈の高峰をめぐるNolan’s 14のFKT(最速記録)を達成したことで話題になりました(関連記事 1 2 3 4)。ゴスニーは2014年のBighorn 100優勝、昨年2015年はHardrock 100で4位でした。日本からはUTMFで2012、2013年に6位、2014年10位の伴明美 / Akemi Banが参加します。
最近の大会での実績からみて、今回のロンダ・デル・シムの男子のレースをリードする可能性が最も高いのはジョルディ・ガミト / Jordi Gamito(スペイン)でしょう。UTWTのシリーズ戦に積極的に参加しているガミトは昨年のUTMBで13位、レユニオン6位、HK100で5位。今年もHK100は6位、Transgrancanariaで10位、5月のUltra Trail Australiaで9位。レース経験の豊富さがアンドラでも吉と出るかどうか。一昨年昨年のこの大会で連覇しているフランセスク・ソレ / Francesc Solé、昨年2位のジェローム・ルカス / Jerome Lucasは今年は出場しませんが、昨年3位のナフエル・パセラ / Nahuel Passerat(フランス)は昨年8月のGrand Raid Pyreneesで2位など、フランスの大会では上位の常連。昨年のロンダ・デル・シムのタイムは33時間2分でした。ここで日本のファンに気になるのは山本健一 / Kenichi Yamamotoがこれら欧州のランナーとどんなレースを繰り広げるか、でしょう。山本は2013年のこの大会でジュリアン・ショリエについで31時間12分で2位。2014年のレユニオンでは29時間4分で8位。この年のレユニオンで前述のパセラは34時間30分で29位。こうしたことを考えれば、山本は今回のアンドラで優勝に手が届く立場にあるといっていいでしょう。2009年のUTMBで8位となって以来、レースへの出場はシーズンごとに一本に絞り込んでいる山本は昨年はフランスのL’Echappee Belleで2位となっています。
このほか、この大会で昨年4位(34時間32分)のエリック・ルセンコー / Eric Ressencourt(フランス)、昨年5位(35時間2分)のルイス・サンバサンテ / Lluis Sanvicente Rocha(アンドラ)が今年も出場します。またエド・バルセロ / Eduardo Barcelo-Mendoza(アンドラ)は112kmのミティックで2014年3位、昨年優勝しており、今年はロンダ・デル・シムに参戦です。
そして、日本からはもう一人注目のウルトラランナー、原良和 / Yoshikazu Haraがロンダ・デル・シムに参加します。100kmのウルトラマラソンで世界選手権日本代表などの実績を持っていた原がUTMFで世界のトップトレイルランナーを抑えて見事な優勝を勝ち取ったのは2013年。それ以降もサロマ湖、野辺山、四万十などの国内ロード100kmウルトラマラソンで勝利を重ね、2014年の台湾・東呉大学24時間走では世界歴代2位(285.366km)。信越五岳の大会記録保持者(2014年、10:17:17)でもあります。海外のトレイルランニングレースにも積極的に挑戦しており、Tarawera(ニュージーランド)では2015年3位、今年4位、今年3月のTrans Lantau 100k(香港)で優勝。こうした実績は上に挙げた優勝候補のどの選手をも凌ぐ実力を原が持つことを示しています。ただ、原の強みはフラットな走りやすいパートで発揮されるスピードにあり、今回のアンドラのようなビッグ・マウンテンは必ずしも得意としないはず。とはいうもの、原は波に乗るように圧倒的な勝利を収めるレースとそうでないレースに比較的はっきり分かれるタイプ。いい方に転べば今回のアンドラでもファンを驚かせる結果を叩き出す可能性もあります。
このほか、日本からは横山峰弘 / Minehiro Yokoyama、仁科昌憲 / Soken Nishinaなど、男女合わせて18人がロンダ・デル・シムにエントリーしています。ロンダ・デル・シムには全体で421人が参加予定です。
このほか、42.5kmのマラト・デル・シム / Marató dels Cimsは女子のレースに2014年UTWT年間チャンピオンで同年のUTMF優勝で日本でも知られるヌリア・ピカス / Núria Picas(スペイン)、スカイランニングで上位常連でゼガマ・マラソンで2度優勝して今年3位のオイハナ・コルタザー / Oihana Kortazar(スペイン)がエントリーしています。この二人はアンドラの翌週に開催されるBuff Epic Trail・スカイランニング世界選手権にもエントリー(それぞれULTRAとSKY)しています。
112kmのミティック / Míticでは昨年の香港でのスカイランニングアジア選手権・MSIG Sai Kung 50kで3位、今年のUltra Skymarathon Medeiraで優勝のクリストファー・クレメンテ / Cristofer Clemente(スペイン)が出場します。クレメンテもBuff Epic Trail・スカイランニング世界選手権(ULTRA)にもエントリーしています。
アンドラ・ウルトラトレイル / Andorra Ultra Trail Vallnord 2016観戦に役立つリンク
- Andorra Ultra Trail Vallnord 大会ウェブサイト
- 170kmのロンダ・デル・シム / Ronda dels Cimsの概要、コース詳細図、高低図、エイドステーション・チェックポイントの一覧と通過予定時刻の目安が示されたロードブック
- 大会当時、各レースに参加する全ランナーの通過状況などが一覧できるライブ・トラッキングのウェブサイト。
- 大会の公式Twitterアカウント @andorraultra, 今大会のオフィシャルハッシュタグ #AUTV
- 大会の公式Facebookページ