プレビュー・Vibram® Hong Kong 100 Ultra Trail® Race 2018

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今年も世界のトレイルランニング・シーズンのスタートは香港から。今週末の1月27日土曜日に開催されるビブラム・ホンコン100ウルトラトレイルレース/Vibram® Hong Kong 100 Ultra Trail® Race(HK100)は今年もUltra Trail World Tourの開幕戦として世界の注目を集める100kmのトレイルランニング・レースです。日本からの85人を含む世界各国からの約2000人が30時間以内での完走を目指します。当サイトでは今年(2015年以来、今年で4回目)も大会の模様を現地からライブ速報でお届けします。【有力選手の出場に関する情報は随時更新します。】


(写真・2017年のHK100より。Photo by Koichi Iwasa, DogsorCaravan.com)

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コースは例年通りに後半に大きなアップダウンが配された100km / 4,500mD+

2011年に始まり今年が8回目の開催となるHK100はトレイルランニングの人気の高い香港の中でもっとも世界に知られている大会であり、近年では同じくトレイルランニングの人気が高まっている中国本土からも多くの参加者を集めるようになってきた大会です。そのコースは香港の代表的なロング・トレイルであるマクレホーズ・トレイルをたどる100km。香港の超高層ビル群の間近にありながら豊かな自然に恵まれたSai Kung 西貢にあるPak Tam Chung 北潭涌をスタートすると、樹林帯のシングルトラックだけでなく、砂浜や見晴らしの開けた稜線、そして段差が大きくて長く続く階段といったバラエティに富んだコースがランナーを待ち受けます。

HK100のコース概要図。大会ウェブサイトより。

スタートは3つのグループによるウェーブ形式のスタートとなります。上位をねらうエリート選手は1月27日土曜日の午前8時(日本時間同日午前9時)にスタートし、それぞれ5分ずつはさんで続く二つのグループもスタートします。Rotary Club Park/大帽山扶輪公園のフィニッシュゲートに最初の選手が到着するのは同日午後5時半(日本時間午後6時半)頃の見込み。大会記録は男子がフランソワ・デンヌ François D’Haeneの9時間32分26秒(2016年)、女子はヌリア・ピカス Nuria Picasの11時間18分57秒(2017年)です。過去のリザルトはこちらから一覧できます。

現地からライブ速報でHK100の模様をお届けします

当サイトでは今年もUltra Trail World Tourの開幕戦であるHK100の模様を現地からお届けします。レース中の上位選手や日本からの参加選手の状況を写真を交えてお送りする予定です。

2018年のHK100を走る有力選手紹介

今年のHK100も例年どおり、トレイルランニングで世界的に活躍するアスリートによるハイレベルなレースが見込まれます。日本の丹羽薫 Kaori Niwa、原良和 Yoshikazu Hara、大瀬和文 Kazufumi Ose、土井陵 Takashi Doiには上位入賞が期待されます。昨年は男女ともに上位に中国本土の選手が目立ちましたが、今回もこのHK100で中国から世界のトップアスリートとしてデビューする選手が現れるかもしれません。

Women 女性

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アンドレア・ヒューザー Andrea Huser

昨年2017年のUTWT年間ランキング・チャンピオンのアンドレア・ヒューザー Andrea Huser(スイス)が今回のHK100に出場します。昨年はレユニオン・Diagonale des Fousやアイガー Eiger Ultra Trail E101で優勝、UTMBで2位などの成績を残しているトップ選手ですが、年間を通じて非常に多くの大会に出ていることでも有名です。昨年はUTWTのシリーズ戦である7つを含め16のレースに出場、そのうち12は100kmを超える長距離の大会でした。夏のシーズン中には月に2、3のレースに出続けるというスタイルは昨年まで3年間続いています。今回のHK100では45歳の今年もヒューザーの快進撃が続くのか、注目です。ちなみにヒューザーは香港では昨年年末のUltra-Trail Tai Mo Shan 167kで二連覇したばかりです。

ミラ・ライ Mira Rai, Photo courtesy of Action Asia Events

ミラ・ライ Mira Rai(ネパール)は今年初めてHK100にエントリーしています。2014年の秋からトレイルランニングのレースに出るようになったライは2015年に80km du Mont Blancで優勝、Tromso SkyraceやUltra Pirineuで2位など欧州のレースでもその実力を発揮。昨年2017年はナショナル・ジオグラフィック誌のAdventurer of the Yearに選出されて話題となりました。その後はケガのためにレースからは離れていましたが、昨年9月にはスコットランドでのBen Navis Ultra 118kで優勝、当サイトも取材した12月のMSIG Lantau 50kで優勝と調子を取り戻しつつあります。今回のヒューザーとのレースで完全復活が見られるのか、楽しみなところです。

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アメリカからはニコール・カロゲロプロス Nicole Kalogeropoulosが上位を狙います。昨年はアリゾナのBlack Canyon 100kで優勝して、これにより出場権を得たWestern Statesでは6位になっています。アメリカ以外では2015年のUTMBで13位、Templiers 76kでは2015年に10位、2016年に13位という記録も残していて今回が初めての香港でのレースとなります。

トップ3候補を紹介するには、フランスのナタリー・マクレア Nathalie Mauclairの名前も挙げなければなりませんが、今回はケガのために出場を見送ります。

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丹羽薫 Kaori Niwa

昨年のUTWT年間ランキング6位で当サイトの日本トレイルランナー・オブ・ザ・イヤーになった丹羽薫 Kaori Niwaも初めて参戦するHK100で今シーズンをスタートです。ヒューザーとは昨年のUTMBやレユニオンで、ライとはMSIG Lantau 50kで同じレースを走っています。UTWT年間4位のメラニー・ルセ Melanie Rousset(フランス)も今回がHK100初挑戦。昨年はTransgrancanariaで3位、Marathon des Sablesで5位、TDSで6位、レユニオンでは11位といった結果を残しています。そしてHK100では2015年に3位、2016年に2位のリサ・ボルザニ Lisa Borzani(イタリア)も昨年は18と多数のレースに参加する女性ランナーです。UTWT年間女子9位となった昨年はLavaredo Ultra Trail 119kで3位のほか、丹羽が2位となったAndorra Ultra Trail 170kで優勝、Tor des Geantsで優勝しています。

香港在住で世界のトレイルレースで活躍しているマリー・マクノートン Marie McNaughton(ニュージーランド)はHK100では2015年に4位、2016年に7位、2017年に3位。UTWTのレースではEiger Ultra Trail E101で5位でした。また、同じく香港のランナーのインスエ・レオン Ying Suet Leung 梁影雪は昨年11月のOxfam Trailwalker Hong Kongで男女混合チームながらネパールの精鋭チームに続いて2位となる快挙が話題になりました。昨年のHK100では6位です。このほか、中国のUltra Trail Wulong 50kで女子優勝、男女総合5位で22歳のミャオ・ヤオ Miao Yao(中国)、昨年のHK100で4位の27歳、フーザオ・シャン Fuzhao Xiang(中国)も上位が期待されます。

このほか、次の選手も上位が見込まれています。

  • ニコール・ラウ Nicole Lau(香港):2015年HK100で5位。
  • ニコール・レオン Wing Yan Nicole Leung(香港):HK100で2016年、2017年ともに10位。
  • ヤンシン・マー Yanxing Ma(中国):昨年のHK100で8位、UTMBで12位。
  • エミリー・ウッドランド Emily Woodland(イギリス、香港在住):2017年Translantau 50kで3位、Ultra-Trail Australia 100kで17位。
  • ワン・チョウ Wyan Chow(香港):2015年HK100で優勝。2017年TNF 100 Korea 100kで優勝、神流50kソロで4位。

Men 男性

今年の男子のレースはアメリカ人の二人のランナー、アレックス・ニコルス Alex Nicholsザック・ビター Zach Bitterがリードする展開となりそうです。コロラドをベースとするニコルスは33歳。地元で開催のPikes Peak Marathonで2015年、2016年に優勝、2013年には宮原徹と競り合って2位となっています。2013年からはスカイランニングなどで欧州のレースにも参戦し、2015年の80km du Mont-Blancでの優勝をはじめとする実績を挙げています。そして2016年には初めての100マイルとなるRun Rabbit Runで優勝、昨年のWestern Statesで2位となっています。今回がアジアのレースへのデビューとなります。

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一方のザック・ビター Zach Bitterは32歳。トレイルからトラックの24時間走やロードの100kmウルトラマラソンまで幅広く活躍していて、2014年のIAU100km世界選手権では6時間48分で6位に。トレイルではJavelina Jundred 100で2016年優勝、2017年に2位、2017年のAmerican River 50で2位といった成績を最近残しています。どちらかといえばいわゆる走れるコースに強いランナーといえるでしょう。

中国のミン・キー Min Qi 祁敏についてはまだ世界で知られる実績というのは多くありません。しかし昨年、中国で開催されたスカイランナー・ワールドシリーズのレースであるYadin Skyrun 50k、Devil’s Ridge 60kではいずれも欧州から有力選手が集まる中で見事に優勝。Yadinでは2位のフランソワ・デンヌに8分半の差をつけての優勝でした。今回のHK100を機にさらに国際的な大会での活躍の機会が増えるかもしれません。

日本からは大瀬和文 Kazufumi Ose、原良和 Yoshikazu Hara、土井陵 Takashi Doiがエントリーしており、トップ10入りに期待したいところ。大瀬和文 Kazufumi Oseは2015年からこの大会に出場して今回が4回目。2016年には10時間47分で7位になっています。相性のいいホームともいえる香港で今シーズンもスタートです。原良和 Yoshikazu Haraはご存知のとおり2013年のUTMF優勝者でロードのウルトラマラソンの実績豊富なアスリート。昨年は1月の台湾での110kmで優勝、2月の香港での9 Dragons Ultraで6位、UTMBで41位といった結果で国際的なビッグレースでの表彰台からは離れていましたが、今回のHK100ではどんな走りを見せるか。土井陵 Takashi Doiは2015年のUTMBで11位、昨年のUTMBでは25位ながら自身のベストタイムとなる23時間36分でフィニッシュ。HK100は今回が初挑戦となります。

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大瀬和文 Kazufumi Ose

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原良和 Yoshikazu Hara

UTMBを12位でフィニッシュした土井陵 / Takashi Doi。

土井陵 Takashi Doi

さらにこれまでのHK100で上位に入った経験を持つ選手もエントリーしています。タイのジェイ Jantaraboon Kiangchaipaiphanaは前回7位。昨年12月のTNF 100 Hong Kong 100kでは8位。サンゲ・シェルパ Sange Sherpa(ネパール、フランス在住)は前回12位。信越五岳100マイル(短縮されて102km)で優勝したことも話題になりました。ハリー・ジョーンズ Harry Jones(イギリス、タイ在住)は前回の8位で、昨年はCCCに出て23位、TNF 100 Hong Kong 100kで2位。ジアゲン・ヤン Jiagen Yang 杨家根(中国)は前回9位で昨年は初挑戦のUTMBを26時間27分(49位)で完走しています。ジャスティン・アンドリュース Justin Andrews(アメリカ、香港在住)は前回14位で昨年はUltra-Trail Australia 100kで5位、CCCで17位でした。このほか2016年、2017年にOxfam Trailwalker Hong Kongで優勝したチームのメンバーであるプルナ・タマン Purna Tamang(ネパール)もトップ10入りの可能性は高そうです。

このほか、次の選手も上位が見込まれています。

  • マヘール・バクハウゼン Majell Backhausen(オーストラリア):2016年TDSで6位、2017年Tarawera 60kで優勝。
  • ジン・リアン Jing Liang(中国):Yading Skyrun 50kで昨年3位。
  • グオミン・デン Guo Min Deng 邓国敏(中国):2017年HK100で19位、Ultimate Tsaigu 95kで3位。
  • ゼンガン・ジ Zhengquan Ji 吉正权(中国):2016年Wulong Trail Run 100kで2位。
  • チン・チョウ Ching Chou 周青(台湾):2017年MSIG HK 50で2位。
  • ジョン・エリス John Ellis(オーストラリア、香港在住):2017年の9 Dragons Ultraで2位、TNF Hong Kong 100kで4位。
  • ストン・ツアン Siu Keung Tsang 曾小強(香港):HK100で2013年2位、2016年8位。
  • スマン・クルン Suman Kulung(ネパール):2017年Annapurna 100で2位。
  • ブライアン・マクフリン Brian McFlynn(アイルランド、香港在住):2017年TNF 100 Hong Kong 50kで4位、今年1月のTransNT 57kで優勝。
  • ダニエル・フェルナンデス Daniel Perez Fernandez(スペイン、香港在住):2017年Maxi-Race China Yangshuo 25k優勝。
  • ジェレミー・リッチー Jeremy Ritcey(カナダ、香港在住):2017年Translantau 100kで3位。
  • ファイラット・バラシン Phairat Varasin(タイ):2017年HK100で22位。
  • 富塚翔亮 Shosuke Tomizuka(日本):2017年ハセツネCUPで16位。
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