2018年 UTMB®︎・CCC®︎・TDS®︎・OCC リザルト #UTMB18

UTMB-2016-logo-Columbia今年のUTMB®︎が終わって一週間。今年も様々なストーリーに満ちた「世界最高峰のトレイルランニング・イベント」でした。当サイトは中の人が「UTMB®︎TV」(UTMB®︎がインターネットで配信するライブ番組)の日本語チャンネルに、水曜日のTDS®︎スタートから日曜日のUTMB®︎表彰式まで、解説者として出演していたため、例年のように現地からの情報をタイムリーにお伝えすることはできませんでした。読者の皆様はすでにUTMB®︎の結果はよくご存知でしょうが、改めてUTMB®︎の4つのレースについてその結果をまとめました。


今回のUTMB®︎のレポートはSalomonのご協賛によりお送りしました。

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今回のレースの中ではTDS®︎やCCC®︎の男子のレースは序盤からリードを守った選手が終盤に追い上げた選手との激しい競り合いで最後まで結果が見通せないドラマチックな展開になりました。中でもTDS®︎で2位になったディラン・ボウマン Dylan Bowmanは途中でコースをロストする不運(それも大会スタッフの誘導に従った結果)がありながらも最後までベストを尽くした姿勢が印象的でした。

また、4つのレースの上位の結果をみると、例年以上に国際的な顔ぶれとなったことも印象的です。とりわけ中国は下の記事でも紹介するOCC男子優勝のジア・エレンジャ Erenja Jia、CCC®︎女子優勝のヤオ・ミヤオ Miao Yao、CCC®︎男子2位のチー・ミン Min Qiの他にも多くの選手がトップ20圏内に入っており、今年のUTMB®︎の大きなトピックになりました。オリンピック選手養成のための強化プロジェクトに参加しているような才能あるアスリートがトレイルランニングに活躍の場を見出していること、その背後に中国におけるトレイルランニングの人気の高まりと市場としての成長があることがその理由といわれています。ただ、そうした背景のもとに取り組まれてきた様々な努力が開花した年として今年は記憶されるでしょう。ただ、中国の上位選手のレース振りを見ていると、山の悪天候に対処してウェアを変えたり、トレッキングポールを活用したりといった点ではまだ改善の余地があるようにも見えました。経験を積み、欧州のトレイルランニングのテクニックを取り入れることで、もっと中国の選手が活躍するシーンは増えるでしょう。具体的には171kmのUTMB®︎で中国のアスリートが優勝する日も遠くないかもしれません。

中国の他にも例えばUTMB®︎男子では男子トップ10にフランス、ルーマニア、スペイン、ノルウェー、イギリス、ラトビア、イタリア、オーストリアの8カ国の選手が入るという具合に国際色豊かな大会となりました。

(写真・今年のUTMB®︎のコースより。All photos courtesy of UTMB®︎, unless mentioned)

TDS®︎: 接戦を制したスビレチ、後半のリードを守ったタンギー

イタリア側のクールマイユール CourmayeurをスタートするTDS® (Sur les Traces des Ducs de Savoie)は今回で9回目。Ultra-Trail®︎ World Tourの”Pro”レーベルのレースでした。大会当日の夜に雨や強風などの厳しい天候が見込まれたため、スタートが2時間繰り下げられて8月29日水曜日午前8時(日本時間同日午後3時)となった他、コースが一部変更に。51km地点のBourg Saint-Mauriceから67km地点のCormet de Roselendまでの区間が谷間の林道や舗装路の区間に、終盤のBellvueから111km地点のLes Houchesまでの下り区間がよりリスクの少ないコースに変更に。これによりコース全体のプロファイルは予定されていた121km 7,300mD+から123km 6,800mD+へと変わりました。

レースはLac Combal(16km地点)を経てCol du Petit Saint Bernard(36km地点)までにはドミトリー・ミチャエフ Dmitry Mityaev(ロシア)、ディラン・ボウマン Dylan Bowman(アメリカ)、トフォル・カスタニェール Tofol Castaner Bernat(スペイン)、パブロ・ビジャ Pablo Villa González (スペイン)、ヘイデン・ホークス Hayden Hawks(アメリカ)の五人が30秒ほどの差で続く先頭集団を形成。

しかし、次の大きなエイドとなるBourg Saint Maurice(51km地点)でヘイデン・ホークス Hayden Hawks(アメリカ)が脚のトラブルでリタイア。Col du Joly(90km地点)までには先頭にディラン・ボウマンとパブロ・ビジャ、5分差でドミトリー・ミチャエフ、さらに3分でマルチン・スビレチ Mercin Świerc(ポーランド)が続くという展開になりました。しかし、ここからの下りをバイクで誘導していた大会スタッフ(ライブ配信のための撮影スタッフか)がコースを誤誘導。ボウマンとビジャの二人はコースに戻るために登り返すこととなり、この間にミチャエフが二人に追いつくことになります。Contamines(100km)ではビジャとミチャエフが一緒に到着、ボウマンはその1分半後に到着。さらにビジャは失意のためかここでリタイア。ここからのレースはミチャエフとボウマン、さらに続いて4番手でやってきたスビレチの3人の間で争われることとなりました。

この日は夕方に入り、予報通りの雷雨に。雨が降る中で急傾斜の難所、Col de Tricotを登りきったところ(107km)ではミチャエフがリード、4分弱でボウマンとスビレチが続いていましたが、下ったLes Houches(115km)ではミチャエフとスビレチが2分差、スビレチとボウマンが30秒差で、給水するスビレチを横目にボウマンが何も補給せずにエイドを出るという激しい展開になります。そしてフィニッシュまでの残り8kmでスビレチが先行していた二人を抜き去って13時間24分で優勝。1分差でボウマンが2位、さらに40秒差でミチャエフが続いて3位という劇的な展開となりました。スビレチは昨年のCCC®︎での2位から今回のTDS®︎で見事に優勝を勝ち取りました。ポーランドのアスリートがUTMB®︎のレースで優勝するのは初めてです。ボウマンはコース後半でのロストにも関わらず、4月のUTMFに続いて最終盤まで諦めないガッツを見せました。

日本の選手では大瀬和文 Kazufumi Ose杉本諭 Satoshi Sugimotoがトップ20圏内を走り、Col du Joly(90km)には一緒に15位で到着。その後は杉本が先行して13位、15時間30分でフィニッシュ。大瀬は16時間4分で22位になりました。

女子のレースはBourg Saint Maurice(51km)までローリー・ボジオ Rory Bosio(アメリカ)がリードして、互いに数分をおいて2番手にオードレー・タンギー Audrey Tanguy (フランス)、3番手にメーガン・キンメル Megan Kimmel(アメリカ)が続いていました。しかしここからタンギーが前に出てCormet de Roselend(70km)ではすでにボジオに10分近い差をつけます。ここでの差をタンギーが守って16時間5分で優勝。今年の90km du Mont-Blancで2位となっていたタンギーはUTMB®︎のレース初出場で栄冠を獲得しました。2位にはボジオが14分差で続き、3位はカロリーヌ・ベノワ Caroline Benoit(フランス)。キンメルは順位を落としながらも12位でフィニッシュしました。

TDS®︎: リザルト

全体のリザルトはこちらから。

男子 Men

  • 1 マルチン・スビレチ Marcin Świerc (BUFF ポーランド) 13:24:00
  • 2 ディラン・ボウマン Dylan Bowman (THE NORTH FACE / RED BULL アメリカ) 13:25:02
  • 3 ドミトリ・ミチャエフ Dmitry Mityaev (ADIDAS TERREX  ロシア) 13:25:43
  • 4 トフォル・カスタニエール Tofol Castaner Bernat (スペイン) 13:58:25
  • 5 ディエゴ・パゾス Diego Pazos (COMPRESSPORT スイス) 14:39:18
  • 6 ジェローム・ミラス Jérôme Mirassou (フランス) 14:41:28
  • 7 ニコラ・デュエ Nicolas Duhail (フランス) 14:50:49
  • 8 レジ・デュラン Regis Durand (フランス) 14:53:17
  • 9 ジュリアン・ショリエ Julien Chorier (フランス) 15:02:11
  • 10 ユン・ヤンチャオ Yanqiao Yun (HOKA ONE ONE 中国) 15:04:10
  • 10 モイセス・ヒメネス Moises Jimenez (THE NORTH FACE  ベネズエラ) 15:04:10
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日本関係

  • 13 杉本諭 Satoshi Sugimoto (日本) 15:30:12
  • 22 大瀬和文 Kazufumi Ose (SALOMON  日本) 16:04:14
  • 31 松永紘明 Hiroaki Matsunaga (THE NORTH FACE 日本) 17:01:30
  • 488 小川壮太 Sota Ogawa (HOKA ONE ONE 日本) 2:42:59

女子 Women

  • 1 オードレー・タンギー Audrey Tanguy (フランス) 16:05:22
  • 2 ローリー・ボジオ Rory Bosio (THE NORTH FACE アメリカ) 16:19:36
  • 3 カロリーヌ・ベノワ Caroline Benoit (OXSITIS / ODLO フランス) 17:18:02
  • 4 コリーン・マルコム Corrine Malcolm (SALOMON アメリカ) 17:55:19
  • 5 アリッサ・サンローラン Alissa St Laurent (カナダ) 18:34:06
  • 6 ソニア・ロカテリ Sonia Locatelli (SALOMON イタリア) 18:56:08
  • 7 エリザベス・ボーゲルセン Elisabeth Borgersen (スウェーデン) 19:00:13
  • 8 シルベーヌ・キュソ Sylvaine Cussot (ASICS フランス) 19:18:13
  • 9 マー・ヤンシン Yanxing Ma (中国) 19:24:12
  • 10 ソフィー・ムーロ Sophie Mourot (フランス) 19:53:06

日本関係

  • 20 上宮逸子 Itsuko Uemiya (Columbia Montrail 日本) 21:32:53

OCC: 中国から初のチャンピオン、ジア・エレンジャと2015年のCCC®︎優勝のルース・クロフトが優勝

5回目の開催となったOCC (Orsières Champex Chamonix)は56km 3,500mD+で、スイスのオルシエール Orsièresをスタートして、約10kmはシャンペ Champex-Lacへの登り。以降のコースは概ねUTMB®︎と同じですが、コル・デ・モンテ(37.5km)から先の49km地点・フレジエール FlégèreまではUTMB®︎とは異なるコースです。今回で5回目の開催でUTMB®︎のレースの中ではもっともプレエントリー数の多いレースとなっています。スタートは8月30日木曜日午前8時15分(日本時間同日午後3時15分)でした。

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レースをリードしたのはティボー・バロニアン Thibaut Baronian(フランス)とジア・エレンジャ Erenjia Jia (中国)。昨年のOCCで2位となるなど経験豊富なバロニアンに対してジアは中国国内での大会で優勝経験を持つものの、国際的な大会では昨年のHong Kong 100で17位、今年のMaxi-Race 42kmで12位といった成績を残しているのみ。スピードで勝るジアがフラットな区間で引き離すと山の区間でバロニアンが抜き返すことを繰り返します。しかしArgentiere(44km)を前にバロニアンが失速してリタイア。独りでレースをリードすることになったジアはFregere(49km)へ向かうスキー場の登りの足取りは重く、しきりに後ろを振り返って後続との間隔を確かめます。しかし最後までリードを守りきって5時間28分で優勝。中国の選手として初めてUTMB®︎で優勝を勝ち取りました。

2位争いはさらに激しいレースになりました。Argentiere(44km)でジアの後ろにはパブロ・ビジャロボス Pablo Villalobos(スペイン)、シェン・ジアシェン Jiasheng Shen(中国)が続いていましたが、Fregere(49km)ではサンティアゴ・メスキータ Santiago Mezquita(スペイン)がジアから9分差の2位で到着。そのまま2位でフィニッシュし、ジアとのタイム差は5分半という猛烈な追い上げを見せました。3位には同様に最終盤に一気に先行する選手を捉えたケビン・ベルミューレン Kevin Vermeulen(フランス)が続きました。

女子はルース・クロフト Ruth Charlotte Croft(ニュージーランド)が先行し、エリ・ゴードン Eli Gordon Rodriguez(スペイン)が追うという展開が最後まで続きました。クロフトは2015年のCCC®︎優勝に続いてOCCでも優勝、女子で初めて6時間を切る5時間53分という記録を残しました。ゴードンは昨年のOCC優勝者でした。女子の3位は二人から差が開きましたが、Fregere(49km)からの下りで前の選手を捉えたモニカ・ビーブス Mónica Vives Vila(スペイン)が勝ち取りました。

OCCで優勝したルース・クロフト(左)とジア・エレンジャ。

OCC: リザルト

全体のリザルトはこちらから。

男子 Men

  • 1 ジア・エレンジャ Erenjia Jia (中国) 5:28:44
  • 2 サンティアゴ・メスキータ Santiago Mezquita (スペイン) 5:34:11
  • 3 ケビン・ベルミューレン Kevin Vermeulen (フランス) 5:35:54
  • 4 パブロ・ビジャロボス Pablo Villalobos (スペイン) 5:36:51
  • 5 ノエル・ブルゴス Noel Burgos (スペイン) 5:39:48
  • 6 シェン・ジアシェン Jiasheng Shen (COLUMBIA 中国) 5:42:27
  • 7 ニコラ・マルタン Nicolas Martin (HOKA ONE ONE フランス) 5:43:41
  • 8 セルジオ・ペレイラ Sergio Gustavo Pereyra (アルゼンチン) 5:43:42
  • 9 ダリア・モイトソ Dário Moitoso (ポルトガル) 5:44:20
  • 10 ゴーティエ・アイリオ Gautier Airiau (フランス) 5:47:04

日本関係

  • 127 名取将大 Masahiro Natori (日本) 7:41:03

女子 Women

  • 1 ルース・クロフト Ruth Charlotte Croft (SCOTT RUNNING & GARMIN  ニュージーランド) 5:53:09
  • 2 エリ・ゴードン Eli Gordon Rodriguez (SALOMON スペイン) 6:00:40
  • 3 モニカ・ビーブス Mónica Vives Vila (HG-AMLSPORT スペイン) 6:40:30
  • 4 ルーシー・ジャムシン Lucie Jamsin (フランス) 6:41:05
  • 5 ナンシー・ジャン Nancy Jiang (ニュージーランド) 6:51:25
  • 6 モルガン・クレットン Morgane Cretton (フランス) 6:52:16
  • 7 ローレン・コーリー Lauren Coury (アメリカ) 6:53:58
  • 8 ステファニー・マニボ Stéphanie Manivoz (DYNAFIT  フランス) 6:56:07
  • 9 イングリッド・ルイス Íngrid Ruiz (スペイン) 7:00:07
  • 10 ソフィー・ストームベリ Sofie Strömberg (スウェーデン) 7:01:46
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CCC®︎: 終盤に逆転のエバンス、終始リードを広げたヤオ・ミヤオ

UTMB®︎の第4回大会、2006年に始まったCCC®︎ (Courmayeur Champex Chamonix)は今回で13回目。171kmのUTMB®︎のスタートに先立って、8月31日金曜日午前9時(日本時間同日午後4時)にスタートしました。コース最終盤のCol des Montets(87km)からTetes aux Ventsへと登るパートで最近崩落事故があったことからコースが変更に。Tre-le-Champs(87.7km)を経由してFlegere(94km)へと登るコースに変更されました。元の101km 6,100mD+のコースプロファイルに比べて変化はわずかですが、変更箇所は一旦登って下ってまた登ることになるので、体感では選手は厳しく感じるようです。なお、昨年2017年にも同じ変更がありました。CCC®︎はUltra-Trail®︎ World Tourの”Serie”レーベルとなっています。

クールマイユールをスタートして思い切りよく先頭に飛び出したのはチー・ミン Min Qi(中国)でした。今年1月のHong Kong 100でフランソワ・デンヌの大会記録を上回って優勝したチー・ミンが今回のCCC®︎でどんなパフォーマンスを見せるかは注目されていましたが、Bonatti(22km)では昨年優勝したヘイデン・ホークスのペースを7分も上回るハイペースで後続集団のトーマス・エバンス Thomas Evans(イギリス)、オーレリアン・コレ Aurélien Collet (フランス)コディ・リード Cody Reed (アメリカ)、マイク・アイグロス Mike Aigroz(スイス)、マルコ・デ・ガスペリ Marco De Gasperi(イタリア)との差は9分半も開いていました。

CCC®︎をリードしたチー・ミン。

前半はあえて先頭を走らなかったトーマス・エバンス(左)が今回のCCC®︎で優勝。右はオーレリアン・コレ。

晴れのイタリア側から一転して雨の荒天となったGrand Col Ferretを越えた頃から、先頭のチー・ミンの後続へのリードは小さくなり始めます。Champex Lac(55km)では4分半の差でガスペリ、ガスペリの12分差にエバンスが続きました。さらにこの日の前半は先頭集団についていかなかったパウ・カペル Pau Capell(スペイン)がエバンスの3分後に4番手まで順位を上げています。

上位4人の差は少しずつ縮まったり広がったりしながらもVallorcine(83km)まであまり変わりませんでしたが、最後の登りが始まるTre-le-Champs(87.7km)までの区間でエバンスがチー・ミンに3分半の2位に浮上。一方ガスペリはカペルに抜かれて4番手に後退。ここからFlegere(94km)への登りでエバンスがチー・ミンを抜き去ってトップで通過、昨年のCCC®︎で4位のエバンスがそのままシャモニーにフィニッシュして10時間44分で優勝を勝ち取りました。最後にリードを奪われたものの、チー・ミンはその5分半後に2位でフィニッシュ。中国からやってきたトップ選手に大きな歓声が上がりました。3番手にはパウ・カペル。2016年TDS®︎優勝、昨年UTMB®︎6位の実績にふさわしい粘り強い走りでトップ3に入りました。

CCC男子トップ3。左から2位のチー・ミン、優勝のトーマス・エバンス、3位のパウ・カペル。

女子のレースはヤオ・ミヤオ Miao Yao(中国)の一人舞台となりました。1996年生まれの22歳のヤオ・ミヤオも今年1月のHong Kong 100で大会記録を更新して話題になったばかりでしたが、この日は後ろに続いたケイティ・シード Katie Schide(アメリカ)との差は一貫して拡がるばかりで、このレースで抜きん出た実力を発揮しました。11時間57分という優勝タイムはCCC®︎が101kmのコースとなった2013年以降でもっとも速い女子のタイムで、今回は男女総合で11位になりました。2位には31分差でケイティ・シード。3位になったのはイーダ・ニルソン Ida Nilsson(スウェーデン)で、Champex Lac(55km)で今回4位になったアナリス・ルセ Anne Lise Rousset(フランス)を捉えて、トップ3に入りました。

この日のCCC®︎を圧倒的なペースで終始リードしたヤオ・ミヤオ。

CCC®︎の女子トップ3。左から2位のケイティ・シード、優勝のヤオ・ミヤオ、3位のイーダ・ニルソン。

CCC®︎: リザルト

全体のリザルトはこちらから。

男子 Men

  • 1 トーマス・エバンス Thomas Evans (HOKA ONE ONE イギリス) 10:44:32
  • 2 チー・ミン Min Qi (THE NORTH FACE/GARMIN 中国) 10:50:07
  • 3 パウ・カペル Pau Capell (THE NORTH FACE スペイン) 10:52:26
  • 4 マルコ・デ・ガスペリ Marco De Gasperi (HOKA ONE ONE イタリア) 11:21:15
  • 5 ゲルマン・グランジェ Germain Grangier (INOV-8 フランス) 11:22:18
  • 6 アンドリス・ロニモイス Andris Ronimoiss (INOV-8 ラトビア) 11:25:37
  • 7 イバン・カンプス Ivan Camps  (スペイン) 11:28:48
  • 8 ハリー・ジョーンズ Harry Jones (イギリス) 11:43:21
  • 9 アルトゥー・ジョイエブイロン Arthur Joyeux-Bouillon (フランス) 11:51:52
  • 10 アイザック・リエラ Isaac Riera (COMPRESSPORT スペイン) 11:52:26
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女子 Women

  • 1 ヤオ・ミヤオ Miao Yao (THE NORTH FACE 中国) 11:57:46
  • 2 ケイティ・シード Katie Schide (アメリカ) 12:28:42
  • 3 イーダ・ニルソン Ida Nilsson (SALOMON スウェーデン) 12:41:37
  • 4 アナリス・ルセ Anne Lise Rousset (フランス) 12:47:52
  • 5 マイア・オラバマキ Maija Oravamäki (SALOMON フィンランド) 14:14:05
  • 6 ルシール・オック Lucile Ochs (フランス) 14:34:42
  • 7 リズ・グレーソン Liz Gleason (アメリカ) 14:37:18
  • 8 アイダ・ラディニア Ajda Radinja (スロベニア) 14:37:19
  • 9 エイミー・リーダム Amy Leedham (アメリカ) 14:52:07
  • 10 セシラ・フロリ Cecilia Flori (イタリア) 14:56:56

UTMB®︎: グザビエ・テベナールが3度目の優勝、女子はフランチェスカ・カネパが制す

大会の盛り上がりが頂点を迎えるのはシャモニーをスタート・フィニッシュとして仏伊瑞三ヶ国をめぐる171km 10,000mD+のUTMB®です。CCC®︎と同じく、コース最終盤のCol des Montets(153km)からFlegere(161km)へのコースが一部変更されました。スタートは予定通り、8月31日金曜日午後6時(日本時間9月1日土曜日午前1時)でした。この日はスタート時から雨となり、大会はコース序盤の山岳パートに備えて必携装備に予め指定された低気温時のキット追加を求めました。

UTMB®︎のスタートラインに揃った選手たち。この後最前列の選手の多くはレースから離脱することに。

スタート直後、先頭を走るジム・ウォルムズレイ、ザック・ミラー、キリアン・ジョネット(左から右)。

小雨の中、スタートしたレースは昨年と同じようにジム・ウォルムズレイ Jim Walmsley(アメリカ)がリードし、そこにキリアン・ジョネット Kilian Jornet Burgada(スペイン)やザック・ミラー Zach Miller(アメリカ)などの上位集団がついていく、という展開でしたが厳しいコンディション、あるいは不運が有力選手を襲います。まずキリアンはスタート数時間前に蜂に刺されるというアクシデント。蜂にアレルギーを持つというキリアンは応急処置をしてスタートラインに立ちましたが、次第に症状が現れてリタイア(Bonatti、90km)。そしてクールマイユール(78km)までにゲディミナス・グリニウス Gediminas Grinius(リトアニア)、ライアン・サンデス Ryan Sandes(南アフリカ)、アレックス・ニコルス Alex Nichols(アメリカ)、ルイス・アルベルト・ヘルナンド Luis Alberto Hernando Alzaga(スペイン)などが続々とリタイア。後半に入ると先頭を走っていたウォルムズレイがGrand Col Ferretからの下りで遅れはじめてリタイア(Champex Lac、123km)、ティム・トレフソン Tim Tollefson(アメリカ)がコース前半で負った外傷でリタイア(La Giete、約133km)、ミシェル・ランヌ Michel Lanne(フランス)もリタイア(La Fouly、109km)とリタイアが続きます。

こうした中、一夜明けてLa Fouly(109km)にはザック・ミラーとグザビエ・テベナール Xavier Thevenard(フランス)が並ぶようにトップで到着。その後、緩やかな下りでChampex Lac(123km)に向かうセクションで二人は互いに先を譲りませんが、いつものように表情を変えないテベナールに比べ、ミラーは時折厳しい表情。それでもChampex Lacには並んで到着しますが、テベナールが手早くエイドを出たのに対し、ミラーは着替えをしても寒さに肩を震わせてエイドをなかなか出られません。一度はエイドを出たものの引き返してDNFを選ぶことになりました。ライバルがレースから去った後、テベナールは順調にコースを進んで20時間44分で今年のUTMB®︎のチャンピオンに。2013年、2015年に続いて3度目の優勝を果たし、3度優勝でキリアン、フランソワ・デンヌと並ぶことになりました。

3度目のUTMB®︎優勝となったグザビエ・テベナール。

Champex Lacにミラーとテベナールの約30分後に1分半の差でやってきたのはジョルディ・ガミト Jordi Gamito (スペイン)とロベルト・ハイナル Robert Hajnal(ルーマニア)。その後のコース後半でハイナルが先行して2位でフィニッシュ。2015年のCCC®︎で9位、昨年のLavaredoで5位、今年のトレイル世界選手権(スペイン)で15位といった結果を残していますが、今回はUTMB®︎で2位という金星を上げました。3位にはガミト。UTMB®︎では昨年初めて10位になって表彰台に立ちましたが、今回はトップ3へと順位を上げる快挙でした。

Grand Col Ferretへと登るロベルト・ハイナル。

同じくGrand Col Ferretでのジョルディ・ガミト。

女子のレースも男子と同じく上位が期待された有力選手が次々にリタイアする波乱の展開でした。まず、当サイトが優勝候補とみていたミンミ・コトカ Mimmi Kotka(スウェーデン)はContamines(31km)に2位で到着しながらもそこでリタイア。トップでやってきたマグダレナ・ブーレ Magdalena Boulet(アメリカ)もその後、カロリーヌ・シャヴェロ Caroline Chaverot(フランス)に先頭を譲って、その後Lac Combal(65km)でリタイア。そのシャヴェロはクールマイユール(78km)を経てArnouvaz(95km)までリードしたものの、Grand Col Ferretに登ったところでリタイアすることに。このほか、アメリカのクレア・ギャラハー Clare Gallagherステファニー・ビオレ Stephanie Howe ViolettもDNFとなります。

UTMB®︎で前半をリードしていたカティア・フォリ。

こうした中でLa Fouly(109km)にはカティア・フォリ Katia Fori(イタリア)が単独リード、ついで9分でウシュエ・フライエ Uxue Fraile Azpeitia(スペイン)、フェルナンダ・マシェール Fernanda Maciel(ブラジル)が続き、その2分後に4番手でフランチェスカ・カネパ Francesca Canepa (イタリア)がやってきました。この上位4人の中でその後勢いがあったのはカネパとフライエ。Champex Lac(123km)からの登りでカネパはフォリを抜いて首位に。フライエもVallorcine(150km)までにフォリを抜いてカネパから13分差の2位となります。二人の順位はそのまま変わらず、フランチェスカ・カネパは26時間3分で優勝。2012年、2013年のトル・デ・ジアン優勝者が171kmのUTMB®︎で初めての完走を初優勝で飾りました。2位のウシュエ・フライエはカネパに4分19秒差まで迫ってフィニッシュ。3位にはジョセリン・ポーリー Jocelyne Pauly(フランス)が続きました。女子トップ10は優勝したカネパから1時間半の間に相次いでフィニッシュしており、厳しいコンディションの中でタイトなレースになりました。

フランチェスカ・カネパが今年のUTMB®︎で優勝。

今年のUTMB®︎女子トップ3。左から2位のウシュエ・フライエ、優勝のフランチェスカ・カネパ、3位のジョセリン・ポーリー。

こうした中、2016年に8位、2017年に4位となった丹羽薫 Kaori Niwaはスタート直後から身体が思うように動かなかった、と振り返ります。しかし、粘り強く前に進むことでLa Fouly(109km)には23位で到着。その後も苦しいレースとなったものの、着実に順位を上げて16位でフィニッシュ。三年連続のトップ10入りはならなかったものの、日本の長距離山岳レースの第一人者として存在感を示しました。

丹羽薫が16位でフィニッシュ。Photo by DogsorCaravan

UTMB®︎: リザルト

全体のリザルトはこちらから。

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男子 Men

  • 1 グザビエ・テベナール Xavier Thevenard (フランス) 20:44:16
  • 2 ロベルト・ハイナル Robert Hajnal (ルーマニア) 21:31:37
  • 3 ジョルディ・ガミト Jordi Gamito  (COMPRESSPORT スペイン) 21:57:01
  • 4 ハルベルト・ショルベリ Hallvard Schjølberg (ノルウェー) 22:06:59
  • 5 ダミアン・ホール Damian Hall (INOV-8 イギリス) 22:35:13
  • 6 ロマン・エバーツ Roman Evarts (ラトビア) 22:38:29
  • 7 ステファノ・ルッツァ Stefano Ruzza (VIBRAM イタリア) 23:02:19
  • 8 エリク・クラバリー Erik Clavery (フランス) 23:07:53
  • 9 フロリアン・グラーゼル Florian Grasel (BOA オーストリア) 23:12:03
  • 10 ハビエ・ドミンゲス Javier Dominguez Ledo (VIBRAM スペイン) 23:27:08

女子 Women

  • 1 フランチェスカ・カネパ Francesca Canepa (イタリア) 26:03:48
  • 2 ウシュエ・フライエ Uxue Fraile Azpeitia (VIBRAM スペイン) 26:08:07
  • 3 ジョセリン・ポーリー Jocelyne Pauly (フランス) 26:15:11
  • 4 ベス・パスカル Beth Pascall (RAIDLIGHT イギリス) 26:26:40
  • 5 カティア・フォリ Katia Fori (COLUMBIA  イタリア) 26:40:43
  • 6 ジュリエット・ブランシェ Juliette Blanchet (VIBRAM フランス) 26:48:44
  • 7 イルディコ・ベルミシャー Ildiko Wermescher (ハンガリー) 27:19:36
  • 8 キャト・ブラドレー Catherine Bradley (アメリカ) 27:22:11
  • 9 マリア・ニコロワ Maria Nikolova (ブルガリア) 27:23:20
  • 10 ケイシー・リックタイ Kaci Lickteig (アメリカ) 27:31:39

日本関係

  • 16 丹羽薫 Kaori Niwa (SALOMON 日本) 28:52:10
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