2019年 UTMB®︎・CCC®︎・TDS®︎・OCC リザルト #UTMB

UTMB-2016-logo-Columbia
天気がよければよかったで厳しいレースになるのがUTMB®︎。どのレースも上位争いは国際色豊かな世界最高峰のトレイルランニングレースとなりました。そして今年もトレイルランニングというスポーツの現在を知り、未来を見通す上で見逃せない大会となりました。

先月末にUTMB®︎が行われ、当サイトの岩佐は昨年に続いて「UTMBTV」(UTMB®︎がインターネットで配信するライブ番組)の日本語チャンネルで大会の模様をお伝えするMCとして出演しました。このため、今年のUTMB®︎についてDogsorcaravanでは現地からレポートできなかったので、改めてUTMB®︎の4つのレースについてその結果をまとめます。

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(写真・コンバル湖とUTMB®︎の選手たち。All photos courtesy of UTMB®︎)


今年のUTMB®︎はPTL®︎のスタートした月曜日から日曜日の閉会式まで、夕方に一時的な強い雨が降った日もありましたが、全般に天候には恵まれた大会となりました。レースの上位争いは水曜日のTDS®︎から男女ともに前評判の高い有力選手を中心にした見応えのあるものとなりました。170kmのUTMB®︎では今年も一夜明けた二日目の朝までに多くの有力選手をふるいにかけることとなり、リタイアする選手が続出。特にその傾向が強かった男子のレースは昨年のUTWT年間チャンピオンのパウ・カペル Pau Capell(スペイン)がUTMB®︎で初優勝。女子はウルトラディスタンスでは最近圧倒的な強さを発揮しているコートニー・ドウォルター Courtney Dawalter(アメリカ)が初挑戦で厳しいレースで勝利を手にしました。

コートニー・ドウォルター Courtney Dawalter

コートニー・ドウォルター Courtney Dawalter

パウ・カペル Pau Capell

パウ・カペル Pau Capell

水曜日のTDS®︎に始まり、木曜日のOCC、金曜日のCCC®︎とUTMB®︎までを通してみると、スペイン勢の活躍が目立つ大会となりました。昨年話題となった中国のトップ選手たちの活躍は今年も著しいものがありましたが、優勝争いに加わるシーンは少なくなりました。日本の選手では吉住友里 Yuri YoshizumiがOCCで女子3位に。日本の女子選手でUTMB®︎のレースで初めてトップ3に入る快挙となりました。そして170kmのUTMB®︎では小原将寿 Masatoshi Obaraが男子8位に。日本の男子選手がUTMB®︎でトップ10に入って表彰台に立ったのは2012年に鏑木毅 Tsuyoshi Kaburakiが10位になって以来のこと。そして、2009年のUTMB®︎で3位の鏑木毅、6位の横山峰弘 Minehiro Yokoyamaの両選手も久々にUTMB®︎に参加して完走しています。

TDS®︎: 雪辱のパブロ・ビジャ、接戦を制して二連覇のタンギー

今年で10回目の開催となるTDS®︎は昨年の約120km 7,300mD+のコースの後半にボーフォーテン山系やボーフォール Beaufortの町を経由する約40kmのセクションが新たに加わったことで、145km 9,100mD+の新コースでの開催となりました。

TDS®︎は昨年から2時間繰り上がって午前4時にクールマイユールをスタート。女子のレースは最初からオードレー・タンギー Audrey TANGUY (フランス)、ヒラリー・アレン Hillary ALLEN (アメリカ)、キャサリン・ゲッツ Kathrin GÖTZ (スイス)の3人が前後を入れ替わりながら先頭集団としてレースをリードしていく展開となりました。35km地点のCol du Petit Saint Bernardではタンギーがリード、三番手のアレンまでは1分半。50km地点のBourg Saint-Mauriceではタンギーとゲッツが並び、アレンは7分半遅れの3番手。登り返した67kmのCormet de Roselendではタンギーとゲッツの差は9分でさらに2分遅れてアレンが続き、タンギーが抜け出したように見えました。しかしダウンヒルの後の93kmのBeaufortではヒラリー、ゲッツ、タンギーがそれぞれ1分差で現れて勝負は振り出しに戻ることに。この後、114kmのCol du Joryでタンギーが再びリードしてアレンが7分半差、ゲッツはアレンから38分と差が開くことで勝負が決した形となりました。優勝したオードレー・タンギー Audrey TANGUY は21時間36分で昨年に続いてTDS®︎を連覇。16分差で続いたヒラリー・アレン Hillary ALLENは2017年のTromsø Skyraceでコースから滑落して命に関わる怪我を負いながらも、今年復帰して同じレースを完走したことで話題になりました。6月のLavaredo Ultra Trailでは2位のタンギーを制して優勝していたキャサリン・ゲッツ Kathrin GÖTZ が3位で続きました。

オードレー・タンギー Audrey TANGUY

オードレー・タンギー Audrey TANGUY

ヒラリー・アレン Hillary ALLEN

ヒラリー・アレン Hillary ALLEN

TDS®︎優勝のオードレー・タンギー Audrey TANGUY(右)と2位のヒラリー・アレン Hillary ALLEN

男子はレース中盤まで上位陣は集団状態で進んでいましたが、Cormet de Roselend(67km)で一歩抜け出したのがパブロ・ビジャ Pablo VILLA GONZÁLEZ(スペイン)でした。TDS®︎では一昨年、昨年と挑戦してトップ3を狙えるポジションを走りながらリタイアしていたビジャでしたが、今回は最後まで力強い走りに揺らぎはなく、18時間3分でフィニッシュして優勝。新コースの優勝タイムとして想定されていたタイムを約1時間上回る好タイムでの優勝でした。2番手で続いていたのは昨年のUTMB®︎で4位のハルバルド・シュンベリ Hallvard SCHJØLBERGでしたが、後半に入ってペースダウン。代わってビジャに13分差の2位でフィニッシュしたのはドミトリー・ミチャエフ Dmitry MITYAEV (ロシア)。ミチャエフは昨年の3位で、今シーズンはTransvulcaniaで2位、High Trail Vanoiseで優勝しています。3位にはルドビック・ポムレ Ludovic POMMERET (フランス)。2016年のUTMB®︎チャンピオンは123km地点のLes Contaminesでは3位のシュンベリとは30分近い差がありましたが、最後の山越えを経た

139km地点のLes Houchesではシュンベリと並ぶという猛烈な終盤の強さを発揮。ミチャエフから21分の差で3位となりました。シュンベリは続いて4位でフィニッシュしています。

パブロ・ビジャ Pablo VILLA GONZÁLEZ

パブロ・ビジャ Pablo VILLA GONZÁLEZ

TDS®︎男子優勝のパブロ・ビジャ Pablo VILLA GONZÁLEZ(中)、2位のドミトリー・ミチャエフ Dmitry MITYAEV(左)、3位のルドビック・ポムレ Ludovic POMMERET

このほか、男子で序盤をリードしたペレ・オーレル Pere Aurell(スペイン)やアルチュール・ジョワイエ・ブイヨン Arthur JOYEUX-BOUILLON(フランス)はDNF。

日本関係では星野由香理 Yukari HOSHINO が女子13位(27時間15分)。昨年女子20位の上宮逸子 Itsuko Uemiyaが女子15位(28時間12分)、黒田清美 Kiyomi KURODA が女子28位(32時間42分)。男子は昨年のTDS®︎で男子13位の杉本諭 Satoshi Sugimotoが24時間59分で男子42位。三浦裕一 Yuichi MiuraはDNFでした。

杉本諭 Satoshi Sugimoto

杉本諭 Satoshi Sugimoto

TDS®︎: リザルト

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男子 Men

  • 1 パブロ・ビジャ Pablo VILLA GONZÁLEZ(スペイン)18:03:06
  • 2 ドミトリー・ミチャエフ Dmitry MITYAEV (adidas、ロシア)18:16:16
  • 3 ルドビック・ポムレ Ludovic POMMERET (HOKA ONE ONE、フランス)18:37:13
  • 4 ハルバルド・シュンベリ Hallvard SCHJØLBERG (inov-8、ノルウェー)18:45:10
  • 5 グレゴワール・クルメール Gregoire CURMER (Compressport、フランス)18:47:27
  • 6 ユン・ヤンチャオ Yanqiao YUN (HOKA ONE ONE、中国)18:52:24
  • 7 ニコラ・ピアネ Nicolas PIANET (フランス) 19:29:26
  • 7 マキシム・グレノ Maxime GRENOT (フランス)19:29:26
  • 9 サントス・ルエダ Santos Gabriel RUEDA (COLUMBIA、アルゼンチン)19:31:55
  • 10 トフォル・カスタニェール Tofol CASTANER BERNAT (Salomon、スペイン)19:39:27

日本関係

  • 47 杉本諭 Satoshi Sugimoto (日本) 24:59:28

女子 Women

  • 1 オードレー・タンギー Audrey TANGUY (HOKA ONE ONE、フランス)21:36:15
  • 2 ヒラリー・アレン Hillary ALLEN (THE NORTH FACE、アメリカ)21:52:46
  • 3 キャサリン・ゲッツ Kathrin GÖTZ (COMPRESSPORT、スイス)23:46:37
  • 4 アンナ・カールソン Anna KARLSSON (スウェーデン)24:15:57
  • 5 マヌエラ・ビラセカ Manuela VILASECA (ブラジル)24:19:13
  • 6 エリザベス・ボーゲルセン Elisabeth BORGERSEN (スウェーデン)25:01:09
  • 7 サンドリーヌ・ベランジェ Sandrine BERANGER (フランス)25:22:48
  • 8 サブリナ・ソラナ Sabrina SOLANA (アンドラ)25:53:28
  • 9 レティシア・ピビス Laetitia PIBIS (BOA、フランス)26:08:25
  • 10 ルシンダ・サントスLucinda SANTOS SOUSA (ポルトガル)26:26:22

日本関係

  • 13 星野由香理 Yukari HOSHINO (ALTRA/ANSWER4)27:15:45
  • 15 上宮逸子 Itsuko UEMIYA (Columbia Montrail)28:12:27
  • 28 黒田清美 Kiyomi KURODA 32:42:53

OCC: ルース・クロフトが連覇、後半を制したスティアン・アンゲルムンド・ビクが優勝

木曜日に行われたのは今年で6回目のOCC。スイスのオルシエール Orsièresからシャモニーへと向かう56km 3,500mD+のコースです。

ルース・クロフト Ruth Charlotte Croft(中央)

ルース・クロフト Ruth Charlotte Croft(中央)

女子のレースはこちらも3選手がリードする展開になりました。スタートから10kmの登りを経たシャンペ Champex-Lacではルース・クロフト Ruth Charlotte Croft(ニュージーランド)とシェイラ・アビレス Sheila Avilés Castaño(スペイン)が並び、アサラ・ガルシア Azara GARCÍA DE LOS SALMONES (スペイン)が約30秒差でした。この後、昨年のOCCチャンピオンのクロフトに対して今シーズンのスカイランナー・ワールドシリーズで現在首位のアビレスは遅れを取り始め、Vallorcine(35km)でリタイアすることに。結果、ルース・クロフト Ruth Charlotte Croftが5時間50分で昨年に続いて連覇。クロフトは2015年のCCC®︎で優勝しているほか、今年はトレイル世界選手権・Abutresで2位、Marathon du Mont-Blancで優勝しており、40-50km前後のトレイルでは現在世界トップレベルの実力の持ち主です。18分差で続いた2位はアサラ・ガルシア Azara GARCÍA DE LOS SALMONES 。今年6月のトレイル世界選手権・Abutresで4位になったのを機に、プロ選手として活動を始めています。そして続く3位には日本の吉住友里 Yuri YOSHIZUMI が入りました。中盤のVallorcine(35km)への下りでアンナ・コメット Anna COMET (スペイン)を抜いた吉住はそのまま2位のガルシアの背中を追い続けで8分半差の6時間16分でフィニッシュ。2017年のこのレースで4位になったのに続く快挙で、UTMB®︎のレースでトップ3に初めて入った日本人女子選手となりました。4位にはアンナ・コメット Anna COMET が続いています。日本の選手では立石ゆう子 Yuko Tateishi が17位となっています。

OCC優勝のルース・クロフト Ruth Charlotte Croft(中)、2位のアサラ・ガルシア Azara GARCÍA DE LOS SALMONES(左)、3位の吉住友里 Yuri Yoshizumi。

OCC優勝のルース・クロフト Ruth Charlotte Croft(中)、2位のアサラ・ガルシア Azara GARCÍA DE LOS SALMONES(左)、3位の吉住友里 Yuri Yoshizumi。

男子のレースは1998年生まれの21歳、ルオ・タオ Tao LUO (中国)が序盤から先頭に立ちます。トレイルランニングに取り組み始めたのは昨年からです中国の春のビッグレース、Ultimate Tsaiguの50kmで2位になった記録を持つルオはTrient(25km)へのダウンヒルでは鮮やかなテクニックをみせ、Vallorcine(35km)までリードを守り、昨年に続いて中国の選手がOCCを制するかに思えました。しかし、その背中を追っていたのはスティアン・アンゲルムンド・ビク Stian ANGERMUND-VIK (ノルウェー)。後半の強さで定評のあるアンゲルムンド・ビクはArgentiere(44km)へと向かうトレイルでルオをとらえて先頭に立ち、5時間19分でシャモニーにフィニッシュ。UTMB®︎のレースで初めての勝利となりました。ルオはArgentiereからLa Flegere(49km)への登りで続いてきたアンドレウ・シモン Andreu SIMON AYMERICH (スペイン)に先を譲ることになり、シモンがアンゲルムンド・ビクに1分差で2位。ルオはさらに5分差の3位となっています。

スティアン・アンゲルムンド・ビク Stian ANGERMUND-VIK

スティアン・アンゲルムンド・ビク Stian ANGERMUND-VIK

ルオ・タオ Tao LUO

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OCC: リザルト

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男子 Men

  • 1 スティアン・アンゲルムンド・ビク Stian ANGERMUND-VIK (Salomon、ノルウェー) 5:19:24
  • 2 アンドレウ・シモン Andreu SIMON AYMERICH (Buff、スペイン)5:20:46
  • 3 ルオ・タオ Tao LUO (Adidas、中国) 5:25:24
  • 4 ポール・マトー Paul MATHOU (フランス) 5:31:00
  • 5 ユーヘニ・ヒル Eugeni GIL (Buff、スペイン) 5:32:09
  • 6 バプティスト・シャサーニュ Baptiste CHASSAGNE (フランス) 5:32:18
  • 7 ダリア・モイトソ Dário Moitoso (ポルトガル) 5:37:39
  • 8 コール・ワトソン Cole WATSON (HOKA ONE ONE、アメリカ) 5:38:03
  • 9 エドアルド・ヘルナンデス Eduard HERNANDEZ (スペイン) 5:39:40
  • 10 マリオ・オルメド Mario OLMEDO SANCHA (スペイン) 5:47:28

女子 Women

  • 1 ルース・クロフト Ruth Charlotte Croft (SCOTT RUNNING & GARMIN、ニュージーランド) 5:50:14
  • 2 アサラ・ガルシア Azara GARCÍA DE LOS SALMONES (HG、スペイン) 6:08:04
  • 3 吉住友里 Yuri YOSHIZUMI (MEDIFOAM、日本) 6:16:31
  • 4 アンナ・コメット Anna COMET (DYNAFIT、スペイン) 6:23:42
  • 5 エミリー・シュミッツ Emily SCHMITZ (アメリカ) 6:29:21
  • 6 ケイトリン・フィールダー Caitlin FIELDER (ニュージーランド) 6:33:43
  • 7 モニカ・コマス Monica COMAS (Buff、スペイン) 6:42:14
  • 8 ナンシー・チャン Nancy JIANG (Salomon、ニュージーランド) 6:42:37
  • 9 イングリッド・ルイス Íngrid RUIZ (スペイン) 6:43:30
  • 10 クリスティーナ・ベス Cristina BES GINESTA (スペイン) 6:50:05
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日本関係

  • 17 立石ゆう子 Yuko Tateishi 7:12:42

CCC®︎: 堂々たる王者の勝利、ルイス・アルベルト・ヘルナンドとラグナ・デバッツ

CCC®︎ (Courmayeur Champex Chamonix)はUTMB®︎のコース後半に当たる101km 6,100mD+をコースとします。レースの行われた金曜日は朝から快晴で、選手はコース前半を強い日差しの中を進むことになりました。その日の午後4時半頃からはシャモニーに強い雨が一時降りましたが、その後は持ち直しました。

女子ではアマンダ・バシャム Amanda BASHAM (アメリカ)のすぐ後ろにラグナ・デバッツ Ragna DEBATS (オランダ)が続いていましたが、Grand Col Ferretへの登りが始まるArnouvaz(26km)からデバッツが独りで先行し始めます。後半には少し疲れが見える場面もありましたが、リードを守りきったデバッツは12時間10分で優勝。今シーズンはサハラ砂漠マラソンやTransvulcaniaで優勝しているデバッツがUTMB®︎のレースで初勝利を収めました。2位には16分半の差でアマンダ・バシャム Amanda BASHAM 。3位にカミーユ・ブリュイアス Camille BRUYAS (フランス)という結果になりました。

ラグナ・デバッツ Ragna DEBATS

ラグナ・デバッツ Ragna DEBATS

CCC®︎女子優勝のラグナ・デバッツ Ragna DEBATS(中)、2位のアマンダ・バシャム Amanda BASHAM(左)、3位のカミーユ・ブリュイアス Camille BRUYAS。

男子はスタートからGrand Col Ferret(30km)までシェン・ジアシェン Jiasheng SHEN (中国)、ルイス・アルベルト・ヘルナンド Luis Alberto HERNANDO ALZAGA (スペイン)、ミシェル・ランヌ Michel Lanne (フランス)の3人がほぼ並んでレースをリード。しかし昨年の6位で優勝を狙うシェンは下りに転じてからは遅れをとるように。2016年のCCC®︎で優勝しているランヌも同じくペースを落とし、その後Trient(71km)でリタイア。結果、単独リードすることになったルイス・アルベルト・ヘルナンド Luis Alberto HERNANDO ALZAGA が王者のレース展開をみせて10時間28分で優勝。トレイル世界選手権で3連覇のトレイルランニング界のレジェンドは今シーズンは苦しいレースとなることが多かったですが、このCCC®︎では見事に勝利。2015年のUTMB®︎で2位になった経験がありますが、UTMB®︎のレースでの優勝は初めて。

ルイス・アルベルト・ヘルナンド Luis Alberto HERNANDO ALZAGA

ルイス・アルベルト・ヘルナンド Luis Alberto HERNANDO ALZAGA

レース後半、La Fouly(40km)を出てから2番手になったのはティボー・ガリビエ Thibaut GARRIVIER (フランス)。ヘルナンドに10分差の 10時間39分でフィニッシュして2位に。今年のTransvulcaniaで優勝して注目されましたが、故障で今シーズンはレースに出ていませんでしたが、焦点を合わせたこのCCC®︎で結果を出しました。3位には10時間45分でジリ・シパ Jiří ČÍPA (チェコ)が入りました。シェン・ジアシェンは5位でフィニッシュしています。

CCC®︎男子優勝のルイス・アルベルト・ヘルナンド Luis Alberto HERNANDO ALZAGA(右)、ティボー・ガリビエ Thibaut GARRIVIER(左)、ジリ・シパ Jiří ČÍPA(右)。

日本の選手では男子64位に長田豪史 Goshi OSADA 、男子102位に松永紘明 Hiroaki MATSUNAGA がそれぞれ続きました。

CCC®︎: リザルト

全体のリザルトは<a title=” href=”http://utmb.livetrail.net/classement.php”>こちらから。

男子 Men

  • 1 ルイス・アルベルト・ヘルナンド Luis Alberto HERNANDO ALZAGA (Adidas、スペイン) 10:28:49
  • 2 ティボー・ガリビエ Thibaut GARRIVIER (HOKA ONE ONE、フランス) 10:39:01
  • 3 ジリ・シパ Jiří ČÍPA (Salomon、チェコ) 10:45:37
  • 4 イバン・カンプス Ivan CAMPS (COMPRESSPORT、スペイン) 11:01:14
  • 5 シェン・ジアシェン Jiasheng SHEN (Columbia/Garmin、中国) 11:12:01
  • 6 フアン・ホセ・ソモハノ Juan Jose SOMOHANO (スペイン) 11:14:14
  • 7 サム・マカケオン Sam MCCUTCHEON (SCOTT、ニュージーランド) 11:15:20
  • 8 クリストファー・クレメンテ Cristofer CLEMENTE MORA (Salomon、スペイン) 11:16:37
  • 9 チャン・チェンロン Zhenlong ZHANG (探路者TOREAD、中国) 11:35:48
  • 10 マシュー・ブランシャール Mathieu BLANCHARD (Salomon、フランス) 11:42:07
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日本関係

  • 64 長田豪史 Goshi OSADA 13:58:15
  • 102 松永紘明 Hiroaki MATSUNAGA (The North Face) 15:08:02

女子 Women

  • 1 ラグナ・デバッツ Ragna DEBATS (MERRELL、オランダ) 12:10:33
  • 2 アマンダ・バシャム Amanda BASHAM (ALTRA、アメリカ) 12:27:06
  • 3 カミーユ・ブリュイアス Camille BRUYAS (フランス) 12:34:26
  • 4 ステファニー・ビオレ Stephanie HOWE VIOLETT (The North Face、アメリカ) 12:56:16
  • 5 マリリーヌ・ナカシェ Maryline NAKACHE (OXSITIS/ODLO、フランス) 12:57:25
  • 6 アイルサ・マクドナルド Ailsa MACDONALD (カナダ) 13:24:41
  • 7 レイチェル・ドレイク Rachel DRAKE (Nike、アメリカ) 13:26:52
  • 8 アビー・ホール Abby HALL (Adidas、アメリカ) 13:44:38
  • 9 ホーリー・ページ Holly PAGE (イギリス) 13:56:57
  • 10 イニェス・マルケス Inês MARQUES (ポルトガル) 14:06:14

UTMB®︎: パウ・カペル、コートニー・ドウォルターが男女ともに新チャンピオンに

大会の最後にスタートするのがシャモニーをスタート・フィニッシュとする171km 10,000mD+のUTMB®。大会当日の午後4時半ごろには、シャモニーでスタートを待つ選手たちの頭上に雨が降りましたが、スタートまでには上がりました。その後も上位選手たちのレースは概ね天候には恵まれました。しかし2日目の午後、多くの選手がコースを進んでいたGrand Col Ferretでは大粒のヒョウが降ることもあった模様です。

UTMB®︎のスタート

女子のレースでは昨年のCCC®︎で優勝して注目を集めたヤオ・ミャオ Miao Yao(中国)がハイペースで単独リード。Les Contamines(32km)では後続に10分以上の差をつけていました。しかし夜明け前にCourmayeur(81km)をトップで出てからはペースダウン。目が見えづらくなるトラブルから、La Fouly(113km)でリタイアすることになりました。

ヤオ・ミャオ Miao Yao

ヤオ・ミャオ Miao Yao

代わってトップに立ったのはコートニー・ドウォルター Courtney DAUWALTER(アメリカ)。昨年のUTMFで優勝したのち、ウェスタンステイツを大会新記録で制して世界の注目を集めたドウォルターは今回の優勝候補と注目されていました。しかし、Champex-Lac(127km)の手前では明らかにペースが落ち、エイドでは腰を下ろして肩を震わせる場面もありました。しかし後半も大きくペースダウンすることなく、初挑戦のUTMB®︎を24時間34分で優勝という快挙となりました。

序盤にドウォルターとともに走っていたミンミ・コトカ Mimmi Kotka(スウェーデン)はChampex-Lac(127km)で上位からは脱落、20位でフィニッシュ。Champex-Lacから始まった2位争いを制したのはクリステン・ベルグルンド Kristin BERGLUND (スウェーデン)で、ドウォルターから1時間差の2位でフィニッシュ。3番手には2017年スカイランナー・ワールドシリーズExtremeシリーズチャンピオンで、同年のZegamaで優勝しているマイテ・マイオラ Maite MAIORA ELIZONDO LIZARPE (スペイン)が続きました。日本の女子選手では高島由佳子 Yukako TAKASHIMA が26位になっています。

UTMB®︎女子優勝のコートニー・ドウォルター Courtney DAUWALTER(中)、2位のクリステン・ベルグルンド Kristin BERGLUND(左)、3位のマイテ・マイオラ Maite MAIORA ELIZONDO LIZARPE。

男子はスタート直後からパウ・カペル Pau CAPELL (スペイン)が積極的にリードしますが、意外にもカペルと肩を並べて走ろうという選手は現れません。四度目のUTMB®︎優勝がかかるグザビエ・テベナール Xavier THEVENARD (フランス)も兄で今年の90km du Mont-Blancで6位のジャン・マリ・テベナール Jean-Marie Thevenardと序盤は肩を並べて走って無理に先頭は追いませんでした。しかし、この後も結局パウ・カペルのリードを脅かす選手は現れないまま、パウ・カペルが優勝。20時間19分という好タイムで初優勝を勝ち取ることになりました。2位になったグザビエ・テベナール Xavier THEVENARDは48分差でフィニッシュ。レース後のインタビューでは、この日は事前の想定通りの通過タイムでのレースだったといい、パウ・カペルの初優勝に賞賛を送りました。

パウ・カペル Pau CAPELL

パウ・カペル Pau CAPELL

グザビエ・テベナール Xavier THEVENARD

グザビエ・テベナール Xavier THEVENARD

スコット・ホーカー Scott HAWKER

スコット・ホーカー Scott HAWKER

左からティム・トレフソン、チー・ミン、ザック・ミラー、ヘイデン・ホークス。いずれも今回の優勝候補だったがチー・ミンが35時間41分で完走、他の3人はDNFとなった。

左からティム・トレフソン、チー・ミン、ザック・ミラー、ヘイデン・ホークス。いずれも今回の優勝候補だったがチー・ミンが35時間41分で完走、他の3人はDNFとなった。

3位にはLa Fouly(113km)まで昨年2位のロバート・ハイナル Robert Hajnal(ルーマニア)が続いていましたが、その後ペースを落としてTrientでDNF。代わって3位に浮上したのはスコット・ホーカー Scott HAWKER (ニュージーランド)。今年1月のHong Kong 100で5位などアジアでも活躍するホーカーがUTMB®︎で2017年の11位から一気にトップ3に入る活躍となりました。

UTMB®︎男子優勝のパウ・カペル Pau CAPELL(中)、2位のグザビエ・テベナール Xavier THEVENARD(左)、3位のスコット・ホーカー Scott HAWKER。

このほか、4位のトム・オーウェンス Tom OWENS (イギリス)、5位のアンドリュー・サイモンズ Andrew SYMONDS (イギリス)はスカイランニングのレースでも活躍しているアスリート。6位のホアキン・ロペス Joaquin LOPEZ (エクアドル)はUshuaia by UTMB®︎の優勝者。同じ6位のウォン・ホーチュン Ho Chung WONG (中国香港)はアドベンチャーレースで活躍し、今年1月ののHong Kong 100で11位。8位には日本の小原将寿 Masatoshi OBARAが23時間0分で入りました。2016年のUTMB®︎での16位から、日本の男子選手としては2012年に鏑木毅が10位となって以来のトップ10入りです。9位には2013年3位のハビエ・ドミンゲス Javier DOMINGUEZ LEDO 、10位には昨年のCCC®︎で5位のジェルマン・グランジェ Germain GRANGIER (フランス)が続きました。
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男子 Men

  • 1 パウ・カペル Pau CAPELL (The North Face、スペイン) 20:19:07
  • 2 グザビエ・テベナール Xavier THEVENARD (Asics、フランス) 21:07:56
  • 3 スコット・ホーカー Scott HAWKER (VIBRAM、ニュージーランド) 21:48:04
  • 4 トム・オーウェンス Tom OWENS (Salomon、イギリス) 22:04:29
  • 5 アンドリュー・サイモンズ Andrew SYMONDS (SCOTT、イギリス) 22:35:15
  • 6 ホアキン・ロペス Joaquin LOPEZ (WAA、エクアドル) 22:47:47
  • 6 ウォン・ホーチュン Ho Chung WONG (THE NORTH FACE ADVENTURE TEAM、中国香港) 22:47:47
  • 8 小原将寿 Masatoshi OBARA (ANSWER4、日本) 23:00:12
  • 9 ハビエ・ドミンゲス Javier DOMINGUEZ LEDO (VIBRAM、スペイン) 23:16:03
  • 9 ジェルマン・グランジェ Germain GRANGIER (On Running、フランス) 23:16:03

日本関係

  • 44 いいのわたる Wataru IINO (さかいや) 26:46:55
  • 46 奥宮俊祐 Shunsuke OKUNOMIYA (Adidas) 27:16:20
  • 85 土井陵 Takashi DOI 29:23:16
  • 89 花岡尚賢 Naoyoshi HANAOKA 29:32:14
  • 110 鏑木毅 Tsuyoshi KABURAKI (The North Face) 30:30:21
  • 137 木幡帝珠 Teishu Kohata(Runboys!Rungirls!) 31:32:13
  • 274 横山峰弘 Minehiro YOKOYAMA (The North Face) 35:12:27

女子 Women

  • 1 コートニー・ドウォルター Courtney DAUWALTER (Salomon、アメリカ)24:34:26
  • 2 クリステン・ベルグルンド Kristin BERGLUND (Salomon、スウェーデン)25:34:12
  • 3 マイテ・マイオラ Maite MAIORA ELIZONDO LIZARPE (スペイン)25:41:30
  • 4 エカテリーナ・ミチャエワ Ekaterina MITYAEVA (Adidas、ロシア)25:53:26
  • 5 ベス・パスカル Beth PASCALL (Salomon、イギリス) 26:26:48
  • 6 ケイティ・シード Katie SCHIDE (On Running、アメリカ) 27:22:56
  • 7 エリーゼ・デラノイ Elise DELANNOY (フランス) 27:48:32
  • 8 ローリー・ボジオ Rory BOSIO (The North Face、アメリカ) 27:59:45
  • 9 イルディコ・ベルミシャー Ildiko WERMESCHER (HOKA ONE ONE、ハンガリー) 28:13:32
  • 10 デルフィーヌ・アヴェニール Delphine AVENIER (フランス) 28:35:23

日本関係

  • 26 高島由佳子 Yukako TAKASHIMA (Raidlight) 33:00:41
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