シャン・フージャオ、イウ・ペイチャンがともに好記録で優勝・2020 Vibram Hong Kong 100 Ultra Trail Race リザルト

年始早々にHong Kong 100で中国の選手たちの活躍に目を見張るのは恒例のことになりました。それにしても今回のHong Kong 100でシャン・フージャオ Xiang Fuzhaoはますます強い選手として成長していることを示しました。男子ではイウ・ペイチャン You Peiquanが、世界に伍する力の持ち主として新たに世界のトレイルランニング・ファンに知られることとなりました。コースは距離・累積高度がともに昨年から増えましたが、男女ともに優勝タイムは昨年を上回ることになりました。

(写真・女子優勝のシャン・フージャオ Xiang Fuzhao。Photo by DogsorCaravan.com)

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女子のレースでは昨年のこの大会で2位のシャン・フージャオ Xiang Fuzhao(中国)とアジアのトレイルレースでその才能を発揮するようになったベロニカ・バドビチョワ Veronika Vadovicova (スロバキア)、そしてトレイルランニング、スカイランニングの世界タイトルを手にして昨年はCCC®︎優勝のラグナ・デバッツ Ragna Debats (オランダ、スペイン在住)の3人がレースをリードしました。3人のペースを引っ張ったシャン・フージャオ Xiang Fuzhaoは後半に入って一気に2人の追走を振り切り、11時間28分でフィニッシュ。これは昨年の女子の優勝タイム(11時間43分、ルー・ヤンチュン Yangchun Lu)を15分上回り、2位だったシャン自身のタイムからは49分も縮めたことになります。2位には19分差でバドビチョワ、3位にはデバッツ が続きました。

男子では序盤からイウ・ペイチャン You Peiquan 游培泉が積極的にレースをリード。スタートから50kmを過ぎる頃には単独リードで後続との差をみるみる広げる快走ぶりをみせ、10時間0分でフィニッシュ。こちらも昨年の優勝タイム(10時間22分、シェン・ジアシェン Shen Jiasheng)を22分も上回る圧倒的なパワーを見せつけました。最近トレイルに再び取り組むようになったイウは中国国内のレースでは勝利を重ねていましたが、海外のトップ選手が集まる大会でそのレベルの高さを印象付けました。昨年2位だったリャン・ジン Liang Jing 梁晶が11分差で今回も2位でフィニッシュ。昨年4位のデン・ゴーミン Deng Guomin 邓国敏がトップ3に食い込みました。

男子優勝のイウ・ペイチャン You Peiquan 游培泉

レースの展開

1年を通じて温暖な香港の冬はトレイルランニングには最適な季節。今年も大会当日の1月18日土曜日の日中は曇り空で気温が上がりすぎることはなく、朝晩も冷え込みは穏やか。この恵まれたコンディションが、上位選手の好タイムと約80%という高い完走率につながりました。

今年のHK100のスタート

女子のレースはラグナ・デバッツ Ragna Debats シャン・フージャオ Xiang Fuzhaoベロニカ・バドビチョワ Veronika Vadovicova の3人がリード。51km地点のCP4(Yung Shue O 榕樹澳)では新コースとなった昨年、総合8位で女子優勝のルー・ヤンチュンが通過したタイムからわずか20秒ほど遅れてシャンとバドビチョワが通過、30秒差でデバッツが追います。しかしその後の山越えでシャンはバドビチョワを置いて単独リードへ。大勢のサポートクルーや応援の人たちで賑わうCP5 57km(Kei Ling Ha 企嶺下)で二人の差は5分半まで広がっていました。この時のシャンの通過タイムは昨年のルーを4分近く上回り、昨年の自身のタイムを23分も上回っていました。2位で続いたバドビチョワの背後、20秒差で3番手のデバッツが迫ります。

12km地点のラグナ・デバッツ Ragna Debatsとシャン・フージャオ Xiang Fuzhao。

コース後半はMa On Shan 馬鞍山をはじめとして急な階段での登り下りが次々に現れるタフなセクションが連続しますが、シャンのペースが落ちることはありません。そのままトップでフィニッシュして、2017年にHK100に初挑戦で4位となってから毎年一つずつ順位を上げてついに今回女子優勝。11時間28分というタイムは昨年のルーの優勝タイムを15分上回り、2位だった自身のタイムからは49分も縮めています。男女総合では8位という大記録。レース前には昨年以上に調子はいい、と話していたシャンですが、その言葉通りの見事なレースをみせました。

34km地点のシャン・フージャオ Xiang Fuzhaoとベロニカ・バドビチョワ Veronica Vadovicova。

2位争いはバドビチョワがデバッツの猛迫を退けました。優勝したシャンに19分差となる11時間47分でフィニッシュ。昨年からアジアのレースで活躍し、12月には日本のIzu Trail Journeyで優勝しているバドビチョワですが、UTWTのレースには初参戦。その力の高さを世界に示すことになりました。3位にはデバッツがシャンから25分半の差で続きました。

2位でフィニッシュしたベロニカ・バドビチョワ Veronica Vadovicova

3位のラグナ・デバッツ Ragna Debats。

スタートから最初の計測ポイントとなる12km地点(East Dam)までのほとんどは舗装路で、最近は100kmのトレイルレースとは思えない猛烈なスピードで選手がやってきます。今年ここへスタートから47分でやってきたのはリュウ・チャオイン Liu Zhaoying 刘照迎。昨年の上位集団よりもさらに1分速いハイペースでした。2分の差でイウ・ペイチャン You Peiquanリャン・ジン Liang Jingチャオ・ジァジィ Zhao Jiajuといった選手が続きます。リュウ・チャオインはその後も積極的にリードしますが、CP5 57kmに2番手で到着するとそこでリタリア。そのCP5にトップでやってきたのはイウ・ペイチャンでした。CP5への到着タイムは昨年、シャン・ジアシェンが優勝した際のトップ通過タイムを15分上回るハイペース。必死に追うリャン・ジンとの差は実に12分まで広がっていました。コース後半に入ってもイウ・ペイチャンの勢いが失せることはなく、着実に後続との差を広げて10時間0分17秒で優勝。同じコースでのシャン・ジアシェンの優勝タイムを21分以上上回り、距離で約7km、累積高度で500m弱が加わる前のコースで2018年にミン・チーが出した9時間28分36秒に劣らない好記録で勝利を手にしました。ウルトラマラソンの12時間走では141.038km(2014年Fuzhou)という自己ベストを持つイウ・ペイチャンですが、トレイルの国際的な大会を走るのは今回が初めて。33歳で世界にその名を轟かせることになりました。

この日男子優勝のイウ・ペイチャン You Peiquan。

2位になったのはリャン・ジン。イウ・ペイチャンとは33分差の10時間33分ですが、昨年2位となった時の自身のタイムを2分上回りました。一昨年はミン・チーを上回るタイムでフィニッシュしたものの痛恨の失格、昨年はコースをロストしながらの2位。昨年のUTMFでもグザビエ・テベナールと優勝争いの末に2位となって話題となったリャン・ジンが今回も2位となりました。3位には昨年4位だったデン・ゴーミン Deng Guominが10時間38分で続きました。4位は地元香港のウォン・ホーチュン Wong Ho Chung。昨年のUTMB®︎では後半に順位を上げる粘り強いレースで6位となりましたが、今回も後半に順位を上げるスマートなレースでした。5位にはアメリカのジャレド・ヘイズン Jared Hazen が入りました。昨年のウェスタンステイツで2位となった24歳が中国のトップ選手たち相手にどんな走りを見せるか注目されていました。途中で3番手まで順位を上げた場面もありましたが、胃腸の具合がよくなかった場面もあって5位に止まりました。6位にはこちらも後半に順位を上げたペター・レストープ Petter Restorp (スウェーデン)が続きました。

2位になったリャン・ジン Liang Jing。

3位のデン・ゴーミン Deng Guomin。

5位でフィニッシュしたジャレド・ヘイズン Jared Hazen。

日本勢では野本浩礼 Hironori Nomotoが男子13位、木村隼人 Hayato Kimuraが男子32位、奥宮俊祐 Shunsuke Okunomiyaが男子33位に。これまで三度、HK100に参加しながらもまだ完走していなかった、2013年UTMFチャンピオンの原良和 Yoshikazu Haraは男子43位で完走を果たしました。

日本勢でトップの野本浩礼 Hironori Nomoto。

男子33位の奥宮俊祐 Shunsuke Okunomiya。

今回、HK100を初めて完走した原良和 Yoshikazu Hara。

リザルト

リザルトはこちらから。

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DC Weekly 2022年5月9日 滋賀一周、軽井沢、おんじゅく、Cocodona、Matheysins

女子 Women

  1. シャン・フージャオ Xiang Fuzhao 向付召(TOREAD、中国) 11:28:21
  2. ベロニカ・バドビチョワ Veronika Vadovicova (スロバキア) 11:47:40
  3. ラグナ・デバッツ Ragna Debats (オランダ、スペイン在住) 12:03:52
  4. ランディ・グレイリング Landie Greyling (南アフリカ) 13:05:52
  5. チィ・シャンウェイ Qu Shangwei 瞿尚薇(Kailas、中国) 13:18:36
  6. エスター・チーラグ Eszter Csillag (ハンガリー、香港在住) 13:34:23
  7. マリー・マクノートン Marie McNaughton (ニュージーランド、香港在住)
  8. フー・フアロン Fu Huarong 华荣(中国) 13:42:39
  9. クレア・バンワート Claire Bannwarth (フランス) 13:46:17
  10. バレリー・ラガルド Valerie Lagarde (フランス、香港在住) 14:39:15

表彰式に勢揃いした女子トップ10の選手の皆さん

男子 Men

  1. イウ・ペイチャン You Peiquan 游培泉(Kailas、中国) 10:00:17
  2. リャン・ジン Liang Jing 梁晶(TOREAD、中国) 10:33:39
  3. デン・ゴーミン Deng Guomin 邓国敏(Salomon、中国) 10:38:24
  4. ウォン・ホーチュン Wong Ho Chung 黃浩聰(The North Face、中国香港) 10:48:25
  5. ジャレド・ヘイズン Jared Hazen (HOKA ONE ONE、アメリカ) 11:04:33
  6. ペター・レストープ Petter Restorp (La Sportiva、スウェーデン) 11:09:21
  7. チャオ・ジァジィ Zhao Jiaju 赵家驹(TOREAD、中国) 11:23:28
  8. チャン・ジャオ Zhang Jiao 张交(中国) 11:34:31
  9. カール・ヨハン・ソーマン Carl Johan Sörman (スウェーデン、イタリア在住) 11:39:50
  10. ギヨーム・ペロー Guillaume Perrot (フランス、香港在住) 11:46:04
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(日本関係)

13野本浩礼 Hironori Nomoto 12:05:40
32木村隼人 Hayato Kimura 13:18:16
33奥宮俊祐 Shunsuke Okunomiya (adidas)13:27:29
43原良和 Yoshikazu Hara 13:52:51
101福井哲也 Tetsuya Fukui 15:30:53

男子トップ10の選手の皆さん

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