ハセツネCUP・日本山岳耐久レース 2022 プレビュー #ハセツネ

1993年に始まった日本のトレイルランニング・レースの草分けであり、多くの挑戦者が目標としてきた高い壁。壁を乗り越えたトレイルランナーはその自信を胸に次の目標へと進んできました。

東京・あきる野、奥多摩で開催される日本山岳耐久レース(ハセツネCUP)は、2019年大会が直前の台風接近により中止、2020年と2021年は新型コロナウィルスの感染拡大により中止に。今年は4年ぶりの開催となります。

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そして30回目の開催となることを記念して、大会史上初となる「ハセツネダブル」が開催されます。その名の通り、一周71.5kmのハセツネCUPのコースを2周するというレース。「ハセツネダブル」の制限時間はハセツネCUPと同じ24時間で、歴代の優勝経験者やハセツネCUPで10時間未満での完走経験といった厳しい条件を満たした男性33人、女性2人の選手がエントリーしています。

当サイト・DogsorCaravanでは今年のハセツネCUPについてTwitterでライブ速報をお送りします。この機会にTwitterのアカウント、@DogsorCaravan をフォローしてお楽しみ下さい。大会会場の五日市会館のほか、コース上の主なポイントから上位選手のレースの様子をライブ速報でお伝えする予定です(当サイトの事情により、これまでのハセツネCUPでお送りしてきたライブ速報に比べ、通過状況をお伝えする地点が少なくなる見込みです)。

(写真・2018年ハセツネCUPのスタート。Photo by DogsorCaravan)

【この記事では、大会当日まで有力選手の追加や出場見送りなどの情報を随時追記しています。】

ハセツネCUPのコースやフォーマットは次の通りです。

  • コースは五日市中学校をスタートしてあきる野・奥多摩の山岳コースを一周して五日市会館へと戻る71.5km(GPSによる実測は65.4km程度、累積獲得高度 3,850mD+)。「ハセツネCUP」は一周、「ハセツネダブル」は二周。制限時間はどちらも24時間。
  • コース上での補給は第二関門(月夜見第二駐車場、42km地点)の1.5リットルの給水所とコース後半の三ヶ所(大岳山荘、綾広の滝、御岳神社)の天然水の水場のみ。「ハセツネダブル」は1周目を終えた後の五日市会館で、事前に預けたドロップバッグによる補給が可能。
  • 参加定員は2,000名。
  • 「ハセツネCUP」にスタート時刻が15分早い「エリートの部」を新設。トレランJAPAN登録のほか、大会優勝経験、既定タイム(男子11時間、女子13時間)未満での完走経験、ITRAパフォーマンスインデックスで男子550および女子500以上のいずれかを満たすのが条件。
  • 「ハセツネダブル」はハセツネCUPでの優勝経験、ハセツネCUPを10時間未満での完走経験、ITRAパフォーマンスインデックスで男子750および女子600以上のいずれかを満たすのが出場資格。
  • 10月9日日曜日にあきる野市の五日市中学校をスタート。エリートの部は12時45分、一般の部とハセツネダブルは13時。表彰の順位についてはエリートの部と一般の部を合わせた所要時間順となります。

現在のハセツネCUPの大会記録は男子が7時間1分13秒(上田瑠偉 Ruy Ueda、2014年)、女子が8時間54分07秒(櫻井教美 Norimi Sakurai、2008年)です。

ハセツネCUPの有力選手

女子

高村貴子 Takako TAKAMURA

今回のハセツネCUPでは三連覇中の高村貴子 Takako TAKAMURAに加え、同世代の有力選手が優勝候補に揃います。高村は4年間の大会中止を経た今年のレースでも女子のレースをリードする存在です。3位となった2015年も含めればハセツネCUPは4度完走し、2017年には歴代女子3位となる9時間17分30秒を記録しています。2019年に北丹沢で2位、上州武尊山スカイビュートレイル30kで優勝したのち、コロナ禍の間はケガに苦しむこともありましたが、今シーズンは粟ケ岳スカイレース43kで優勝、フェアリートレイル高島朽木40kで2位、スカイランナーワールドシリーズのSchlegeis 3000 Skyrace 34kで7位と、自らの走りを取り戻しつつあります。

秋山穂乃果 Honoka AKIYAMA Photo by © 計測工房

高村とならんで優勝候補と注目されるのが秋山穂乃果 Honoka AKIYAMAです。2020年のITJ70kで優勝、翌年は2位のほか、2021年後半は志賀高原エクストリーム32k、烏帽子とびわ湖でのバーティカルとスカイレースとスカイランニングのレースで勝利を重ねました。今年も5月の上田スカイレース、6月の嬬恋スカイラン・SKYRIDGEで優勝したのち、マウンテンランニング・トレイルランニング世界選手権の日本代表選考レースとなった今年の霧島えびの高原33kmでも優勝しています。さらに楠田涼葉 Suzuha KUSUDAにも注目です。今年は5月に上田スカイレースで秋山に続いて2位、6月のフェアリートレイル高島朽木40kで優勝、7月の富士登山競走は吉住友里に続く2位。枝元香菜孑 Kanako EDAMOTOは昨年、奥信濃100の75kmで秋山に続いて2位ののち、FTR秩父&奥武蔵100kで優勝、スカイランニング日本選手権の志賀高原エクストリーム54kで優勝。今年は春にケガの治療で手術を受けてリカバリーの時間が続きましたが、7月には美ヶ原50kで優勝、先月はイタリアでのスカイランニング世界選手権・SKYULTRAで16位となり、順調な回復ぶりです。以上、高村、秋山、楠田、枝元は同世代でこれまで多くのレースで競い合った仲です。レース後半まで先頭争いが続く展開となれば、タイムは例年より押し上げられることも考えられます。

太田美紀子 Mikiko OTA

100kmウルトラマラソンで活躍するウルトラランナーで、今年も8月のドイツ・ベルリンでの世界選手権で12位となっている太田美紀子 Mikiko OTAはハセツネCUPを2009年から2016年を除いて前回まで毎年完走していて、前回は自己ベストの10時間38分7秒を記録して4位でフィニッシュしています。今年も4月の奥三河70kで3位、OSJ Ontake 100kmで2位となっており、今回のハセツネCUPでも上位を狙います。星野由香理 Yukari HOSHINOはハセツネCUPには2012年から15年まで完走を続けており、2014年、2015年は続けての準優勝で自己ベストは2015年の9時間34分11秒。今年4月のUTMFで3位となったのも記憶に新しいところです。若林綾 Aya WAKABAYASHIは23歳で今回のハセツネCUPでは女子最年少の選手です。スカイランニングでユース世界選手権を経験し、2020年には志賀高原エクストリーム56kで2位に。今年9月のイタリアでのスカイランニング世界選手権・SKYULTRAでは日本代表選手で最上位の13位に。その直後にはNice Côte D’azur by UTMBの100マイルで2位となりました。新世代の若林のハセツネCUP初挑戦は話題となりそうですが、ニースで100マイルを終えてから2週間しか経っておらずベストのパフォーマンスにはリカバリーが足りないかもしれません。さらに2018年、2017年のハセツネ30k女子チャンピオンの吉田香織 Kaori YOSHIDAが今年のハセツネCUPにエントリーしています。42kmを超えるトレイルのレースでは2019年の美ヶ原45kで優勝した経験を持っています。

加えて、当サイトの注目する女子選手は次のとおりです。

  • 相原千尋 Chihiro AIBARA:2020年ITJ70kで3位、2022年三原白竜湖23kで3位、ZAO SKYRUN 24kで優勝。
  • 谷口三佳 Mika TANIGUCHI:2019年大雪山トレイルジャーニー 72kで優勝、2021年LAKE BIWA 100で4位、2022年彩の国100マイルで3位。
  • 河西智映子 Chieko KASAI:2019年比叡山インターナショナル50kmで優勝、2022年比叡山50マイルで優勝。
  • 長野安那 Anna NAGANO:4100D野沢温泉で2021年は65kで2位、2022年は37kで2位。OTARI Trail Open 29kで2位。GTNS – Japan年間ランキング2位。
  • 中野沙知 Sachi NAKANO:2021年FTR秩父&奥武蔵 100kで5位、2022年は彩の国100kmで優勝、FTR皆野50kで優勝。
  • 鈴木未都 Misato SUZUKI:2022年比叡山インターナショナル50kで4位、中央アルプススカイライン38kで4位。
  • 松尾和美 Kazumi MATSUO:2019年スパトレイル72kで優勝、2020年スカイライントレイル菅平43kで2位。
  • 大松知恵 Chie OMATSU:2020年FTR秩父&奥武蔵 25kで6位、2022年FTR皆野30kで優勝。
  • 松井一葉 Kazuha MATSUI:ハセツネCUPで2012年4位、2015年5位(自己ベスト9時間58分55秒)、2022年UTMFで10位。
  • 久津間紗希 Saki KUTSUMA:ハセツネCUPで2017年9位、2018年8位。
  • 福田恵里佳 Erika FUKUDA:2018年道志村44kで2位、北丹沢44kで3位、2022年信越五岳110kmで優勝。
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男子

川崎雄哉 Kawasaki Yuya

ハセツネCUPの男子では2016年に7時間27分51秒で優勝している川崎雄哉 Yuya KAWASAKIが優勝に最も近いというのが当サイトの見方。ハセツネCUPではその後も2017年に4位、2018年に7位。その後は2019年のトレイル世界選手権で23位に。ITJ70kで2020年優勝、2021年3位、2022年球磨川リバイバルトレイル164kで優勝。今回のハセツネCUPの3週前に信越語学110kmで優勝したばかりです。

今回がハセツネCUP初挑戦ながら、優勝争いに加わりそうなのが吉野大和 Yamato YOSHINO。国内のスカイランニングでそのスピードは知られていましたが、2021年のITJ70kではウルトラディスタンスのトレイルに初挑戦で4位に。今シーズンはGTNS – Japanの4つのレース(湯沢、中央アルプス、小谷栂池、白馬)で優勝、年間チャンピオンを獲得しています。

森本幸司 Koji MORIMOTOは30-40kmのトレイルレースを得意とするアスリートですが、来年の世界選手権日本代表選考レースとなった今年7月の霧島えびの高原33kでは終盤に一気にリードを奪って差を広げる鮮やかな展開で優勝。今シーズンの好調な走りが発揮できれば今回のハセツネCUPでも上位が期待されます。2014年のハセツネCUPで14位となった経験があります。

横内佑太朗 Yutaro Yokouchi

横内佑太朗 Yutaro Yokouchi

森本が優勝した霧島えびの高原33kで2位となった横内佑太朗 Yutaro YOKOUCHIは今年がハセツネCUPへの初挑戦。今年はUTMFのレース、KAI69kで2位、フェアリートレイル高島朽木40kで3位、九州脊梁ピストン63kで2位、白馬国際クラシック50kでは2位に約40分差で圧勝しています。

須賀暁 Satoru Sugaはコロナ禍の間も2020年の志賀高原エクストリーム56kで2位、世界選手権代表選考レースのITJ70kで3位。今年の夏はOSJ真昼山地50k、OSJ安達太良山50kで共に優勝。ハセツネCUPは2012年から14年に3度完走、2014年は自己ベストの7時間51分57秒で9位でした。

牛田美樹 Miki Ushida

ハセツネCUPで良い結果を残すには経験がものをいうなら、牛田美樹 Miki USHIDAは上位入賞の可能性が高いといえます。最近では2014年に10位(自己ベスト8時間0分4秒)、2015年に8位、2016年に8位、2018年に10位。今シーズンはKAI69kで3位のほか、GTNS – Japanの4つのレース(湯沢、野沢温泉、小谷栂池、白馬)に出場して、年間第4位となりました。

このほかにも、以下のように経験豊富な選手から初挑戦のルーキーまで、今年のハセツネCUPは日本のトップ選手を集めるレースとなります。

  • 上正原真人 Masato KAMISHOHARA:2020年OSJ安達太良50kで2位、2022年Hochkönig Skyrace(オーストリア)で16位。
  • 大瀬和文 Kazufumi OSE :2021年4100D野沢温泉62kで2位、2022年の同レース37kで3位。今年の信越五岳100マイル優勝。ハセツネCUPでは2013年12位、2014年15位(自己ベスト8時間4分28秒)。
  • 町田知宏 Tomohiro MACHIDA :2021年FTR秩父&奥武蔵100Kで3位、龍馬脱藩トレイル71kで優勝。2022年球磨川リバイバル107kで3位、OSJ奥久慈30kで2位。
  • 喜多村久 Hisashi KITAMURA :マレーシア在住で東南アジア各地のトレイルランニングレースで活躍。最近では7月のCameron Ultra 100k(マレーシア)、The Punisher 50(フィリピン)で優勝。今年5月、6月には帰国して比叡山50マイルで6位、OSJ奥久慈50kで2位、越後カントリートレイル63kで優勝。
  • 小林海仁 Kaito KOBAYASHI :2021FTR秩父&奥武蔵30kで優勝、今年の4100D野沢温泉37kで4位、信州戸隠トレイルラン36kで優勝。
  • 小田切将真 Shoma OTAGIRI :2022年上田スカイレース優勝、スカイランニング世界選手権・SKYULTRAで16位。
  • 宮川朋史 Tomofumi MIYAGAWA :2021年烏帽子VK、びわ湖VK優勝、2022年上田スカイレース3位、2022年スカイランニング世界選手権日本代表選手。2022年フェアリートレイル高島朽木40Kで2位。
  • 田村健人 Kento TAMURA :2022年奥信濃100-50kで優勝、中央アルプススカイライン38Kで2位、白馬国際クラシック28kで9位。
  • 岩井竜太 Ryuta IWAI :2022年OSJ新城32kで3位、湯沢スタンディング56kで4位、4100D野沢温泉37kで10位。
  • 荒木宏太 Kota ARAKI :2017年ITJ優勝、2022年霧島えびの高原33kで4位。ハセツネCUPでは2016年に3位(8時間1分45秒)。
  • 牧野公則 Masanori MAKINO :OSJ奄美50kでは2017年優勝、2019年2位、2020年優勝。2020年にはOSJ安達太良50kで4位、OSJ Koumi 100で2位。ハセツネCUPでは2017年に9位(自己ベスト8時間47分47秒)。【追記・牧野公則はハセツネダブルにエントリーしています。2022.10.03】
  • 青木純 Jun AOKI :2020年OSJ安達太良50kで7位、FTR飯能25kで優勝、2022年奥久慈30kで優勝。
  • 伊藤康 Ko ITO :2018年ITJ優勝、2021年中央アルプススカイライン38kで3位、甲州アルプスオートルート68kで優勝。
  • 名取将大 Masahiro NATORI :2019年道志村ロング44kで2位、2022年Mt. Awa Skyrace 6位、DEEP JAPAN ULTRA 70Kで2位。
  • 反中祐介 Yusuke TANNAKA :2019年NACトレイルランinニセコ 28k優勝、2019年甲州アルプスオートルート32k優勝、2022年中央アルプススカイライン38kで5位。
  • 堀江謙一 Kenichi HORIE :2017年ハセツネCUPで7位(8時間45分28秒)、千羽海崖35kで2019年2位、2021年優勝、2022年2位。
  • 丸山将真 Shouma MARUYAMA :2021年中央アルプススカイライン38kで4位。
  • 山田琢也 Takuya YAMADA :ハセツネCUPでは2012年5位、2013年7位(PR 7時間50分40秒)、2017年6位。2021年FTR秩父&奥武蔵30kで3位。
  • 木村大志 Hiroshi KIMURA :2016年信越五岳110kで3位、2019年AKITA Trail Run Festival in まんたらめ 32k優勝、2021年甲州アルプスオートルート68kで3位。
  • 宗石和久 Kazuhisa MUNEISHI :2022年KAI69kで5位、彩の国100k優勝、FTR皆野50kで優勝。
  • 平沢晋太郎 Shintaro HIRASAWA :2021年奥信濃100 35kで2位、FTR秩父&奥武蔵4位。2022年奥信濃100 50kで2位、白馬国際クラシック50kで2位。
  • 山谷良登 Yoshito YAMATANI :2016年ハセツネCUPで9位(8時間32分56秒)、2022年奥信濃100 50kで3位、白馬国際クラシック50kで6位。
  • 柴田幸生 Yukio SHIBATA :ハセツネCUPでは2015年12位(PB 8時間29分9秒)、2016年15位、2018年19位。2021年4100D野沢温泉62kで5位、2022年奥三河70kで8位。
  • 東徹 Toru HIGASHI :2013年ハセツネCUP優勝(PB 7時間19分13秒)、2014年同4位。2021年広島恐羅漢トレイル81kで優勝。
  • 栗原健誌 Kenshi KURIHARA :2022年霧島えびの高原33kで8位、2018年ハセツネCUPで21位。
  • 土屋克則 Katsunori TSUCHIYA :2016年ハセツネCUPで12位(8時間50分11秒)、2019年北丹沢31kで8位。
  • 小林彰人 Akihito KOBAYASHI :2019年北丹沢31kで7位。
  • 菊嶋啓 Kei KIKUSHIMA :2016年ハセツネCUP2位(7時間48分46秒)、2018年5位。2021年OSJ新城64kで2位。
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ハセツネダブルの有力選手

30回大会を記念して特別に開催されるハセツネダブルは、71.5kmのコースを二周するというもの。制限時間はハセツネCUPと同じ24時間。140kmのトレイルランニングレースは今日では国内でも珍しくはありませんが、補給を受けられる場所が限られるハセツネCUPのコースでの140kmは未知の領域です。厳しい出場資格のもとで、これまでのハセツネCUPで活躍してきたレジェンドたちに、冒険心旺盛なウルトラトレイルランナーが加わって35人がエントリーリストに名前を連ねています。

大石由美子 Yumiko Oishi

女子では星野緑 Midori HOSHINO大石由美子 Yumiko OISHIの二人がハセツネダブルにエントリー。星野緑は2009年のハセツネCUPチャンピオンで他にも2008年4位、2013年16位、2014年2位、2017年3位とハセツネCUPを知り尽くています。最近ではAndorra Ultra TrailのEuforia 233kを2018年、2019年に完走。今年はUTMFで6位となりました。大石由美子は2011年と2013年のハセツネCUPチャンピオン。近年では2019年上州武尊山スカイビュートレイル143kで優勝。

小原将寿 Masatoshi Obara

男子選手についてあえて優勝候補を挙げるならば、まずは小原将寿 Masatoshi OBARA。2019年UTMBで8位となり、日本のウルトラトレイルランナーで最も世界の頂点に近いアスリートはハセツネCUPで2013年と2018年にどちらも4位となった経験もあります。大会のFacebookページに寄せたコメントでは2020年にハセツネのコース二周に挑戦した20時間30分で完走した経験があるといいます。

続いて今年のUTMFで3位に入り、無名の存在から一気に注目を集める存在となった万場大 Hajime MAMBA。UTMFの後もOSJ Ontake 100kで優勝、初の海外レースとなったUTMBでは日本から参加の選手としては首位となる27位でデビュー。ハセツネCUPは2014年に11時間2分、2015年に11時間18分で完走した経験がありますが、アスリートとして成長を遂げた今年、どんなレースを見せるか。

三浦裕一 Yuichi MIURA

2018年ハセツネCUP優勝の三浦裕一 Yuichi MIURAは4年ぶりの今回はハセツネダブルに挑戦。最近では今年7月の4100D野沢温泉70kで優勝していますが、100kmを超えるレースを完走したのは2017年の上州武尊山スカイビュートレイル127km以来となります。

矢嶋信 Makoto YAJIMAは2018年ハセツネCUPで3位で表彰台に上っています。最近も2021年のFTR秩父&奥武蔵100kで優勝、今年の彩の国100マイル優勝、奥信濃100 100Kで2位とウルトラディスタンスで結果を残しており、今回のハセツネダブルの優勝候補の一人です。

小川壮太 Sota Ogawa

小川壮太 Sota OGAWAもハセツネCUPでは2013年に8位、2014年に5位、2017年に3位と好記録を残しています。100kmを超えるウルトラディスタンスのトレイルレースではそのスピードが存分に発揮できないレースもありましたが、今年は奥信濃100 100kを10位、DEEP JAPAN ULTRA 171kを4位でフィニッシュ。先月の信越五岳100マイルを完走したばかり。今回は慣れ親しんだハセツネのコースで自らに挑戦です。

100マイルを100回走ることをライフワークとする井原知一 Tomokazu IHARAも今回のハセツネダブルにエントリーしています。ハセツネとは縁が遠いように思いきや、2010年にハセツネCUPを完走した経験があります。今シーズンは彩の国100マイルで2位、そして先月の信越五岳100マイルでは後半に順位を上げて3位に。2周目のトモさんの走りに注目です。

望月将悟 Shogo Mochizuki

今回のハセツネダブルにはこれまでのハセツネCUPの歴史に名を残してきたレジェンドたちも参戦します。横山峰弘 Minehiro YOKOYAMAは2004年のハセツネCUPチャンピオンで、翌年以降も鏑木毅やシン・ジェドクとの熱い優勝争いが日本のトレイルランニングのホットなエピソードとなりました。その横山と入れ替わるかのように山本健一 Kenichi YAMAMOTOが2008年のハセツネCUPで優勝。その頃、ハセツネCUPで2位、3位に入りながらもなかなか頂点に立てなかったものの弛まぬ努力で2015年についに優勝を勝ち取った奥宮俊祐 Shunsuke OKUNOMIYA。同じ時期にハセツネCUPの表彰台で肩を並べたのちにトル・デ・ジアン Tor des GeantsやTJARといったさらにもっと長距離の山岳レースの世界で活躍することになった望月将悟 Shogo MOCHIZUKI。往年のハセツネファンにとってハセツネダブルはあの頃の興奮が蘇ることでしょう。

このほか、次の選手にも注目です。

  • 牧野公則 Masanori MAKINO :OSJ奄美50kでは2017年優勝、2019年2位、2020年優勝。2020年にはOSJ安達太良50kで4位、OSJ Koumi 100で2位。ハセツネCUPでは2017年に9位(自己ベスト8時間47分47秒)。【追記・当初、ハセツネCUPの有力選手として紹介しましたが、ハセツネダブルにエントリーしています。2022.10.03】
  • 長田豪史 Goshi OSADA:2021年4100D野沢温泉62kで優勝、2021年奥信濃100 75kで5位、2022年OSJ新城64kで優勝。
  • 荒川純 Jun ARAKAWA:2021年TAMBA100で4位、2022年UTMFで13位、OSJ Ontake 100kmで4位。
  • 西方勇人 Hayato NISHIKATA:2021年LAKE BIWA 100で5位、2022年UTMFで10位、彩の国100マイルで3位、OSJ山中温泉 75kで優勝。
  • 細山雄一 Yuichi HOSOYAMA:2018年ハセツネCUPで8位、FTR100で優勝。2019年彩の国100km優勝、2021年FTR秩父&奥武蔵100kで4位、2022年彩の国100kmで3位。
  • 山本諒馬 Ryoma YAMAMOTO: 2022年UTMFで18位・ニューヒーロー賞、那岐ピークス58kで4位、大阪夏の陣くろんど輪舞曲120Kで優勝、広島湾岸トレイル105kで4位。
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