[DC] ダイジェスト Day 8・15選手が完走してトランスジャパンアルプスレースが閉幕 #TJAR2014

最終日の17日日曜日を迎えたトランスジャパンアルプスレース/Trans Japan Alps Race 2014。八日目となったこの日は、朝7時に井川オートキャンプ場(残り69km)の関門締切となり、各ランナーは残る長いロード区間を進みます。この日、9人の選手が静岡市・大浜海岸にフィニッシュ。金曜日にトップでフィニッシュした望月将悟から数えて15人のランナーが2014年のを完走しました。八日目17日日曜日のダイジェストと当サイトの観戦記をお送りします。

【追記・小関伸平さんの写真を記事に追加、写真集にも加えました。】

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【再追記・後藤武久さんの写真を記事に追加、写真集にも加えました。】

八日目、井川からの長い舗装路を走り抜いて8人がフィニッシュ、完走は30人中15人に

TJAR-logo八日目は午前7時に井川オートキャンプ場(残り69km)の関門締切時刻を迎えました。夜のうちに井川オートキャンプ場に到着していなかったランナーのうち、西田由香里雨宮浩樹佐幸直也米田英昭仙波憲人柏木寛之が夜明け前から朝にかけて次々に関門を通過します。しかし、田中尚樹が締切時刻の午前7時に間に合わず、失格となりました。

一方、フィニッシュ地点となる大浜海岸では、深夜の2:36に朽見太朗がフィニッシュ。終盤のロード区間も快調に走っていた朽見はフィニッシュを目前にペースを落とす等しながらも、8位に入りました。

八日目の早朝にフィニッシュした朽見太朗。Photo by Koichi Iwasa of DogsorCaravan.com

八日目の早朝にフィニッシュした朽見太朗。Photo by Shimpei Koseki

15:18には9位で大原倫がフィニッシュ。明るい時間にフィニッシュした大原を仲間だけでなく多くの観客の皆さんが大浜海岸で出迎えました。

9位でフィニッシュした大原倫。7日15時間18分。Photo by Shimpei Koseki

9位でフィニッシュした大原倫。7日15時間18分。Photo by Shimpei Koseki

フィニッシュゲートへ向かう大原倫。Photo by Shimpei Koseki

フィニッシュゲートへ向かう大原倫。Photo by Shimpei Koseki

南アルプスの後半から足の故障でペースを大幅に落とした紺野裕一は、ロードでは苦悶の表情を浮かべながら歩くのがやっと。しかし今回2位の飴本義一から声援を受けるなど、多くの仲間の励ましを受けて前に進むことを止めませんでした。10位で19:20にフィニッシュしました。

10位でフィニッシュした紺野裕一。 7日19時間20分。Photo by Shimpei Koseki

10位でフィニッシュした紺野裕一。 7日19時間20分。Photo by Shimpei Koseki

終盤は痛みに耐えながら進んだ紺野裕一をフィニッシュで迎えた望月将悟。Photo by Takehisa Goto

終盤は痛みに耐えながら進んだ紺野裕一をフィニッシュで迎えた望月将悟。Photo by Takehisa Goto

しかし、この頃、井川を出てから歩みがめっきり遅くなり最後尾を進んでいた仙波憲人が富士見峠で無念のリタイアを申告しました。

22:12には11位で西田由香里がフィニッシュ。選手仲間と支え合うことでフィニッシュできたという西田は今回大会でただ独りの女性完走者。大会の歴史を通じても間瀬ちがや、に続いて3人目の女性完走者となりました。

フィニッシュした西田由香里を多くの観客や仲間が出迎えた。Photo by Takehisa Goto

フィニッシュした西田由香里を多くの観客や仲間が出迎えた。Photo by Takehisa Goto

大会史上三人目の女性フィニッシャーとなった西田由香里。Photo by Koichi Iwasa of DogsorCaravan.com

大会史上三人目の女性フィニッシャーとなった西田由香里。Photo by Koichi Iwasa of DogsorCaravan.com

その西田と後半一緒に行動していた雨宮浩樹米田英昭も23:06と23:14に相次いで大浜海岸に到着。深夜にもかかわらず、多くの人が二人を迎えました。雨宮は12位、米田は13位。

12位の雨宮浩樹。7日23時間6分。Photo by Shimpei Koseki

12位の雨宮浩樹。7日23時間6分。Photo by Shimpei Koseki

ロードを進む米田英昭。Photo by Shimpei Koseki

ロードを進む米田英昭。Photo by Shimpei Koseki

米田英昭のフィニッシュ。Photo by Koichi Iwasa of DogsorCaravan.com

米田英昭のフィニッシュ。Photo by Koichi Iwasa of DogsorCaravan.com

そして、日付が変わって九日目の18日月曜日に入ってから14位で佐幸直也 が2:04に、15位に柏木寛之 が2:32にフィニッシュ。関門締切時刻の午前3時までに15人のランナーが2014年のトランスジャパンアルプスレース/Trans Japan Alps Raceを完走しました。

フィニッシュした佐幸直也。Photo by Koichi Iwasa of DogsorCaravan.com

フィニッシュした佐幸直也。Photo by Koichi Iwasa of DogsorCaravan.com

最後の完走者となった柏木寛之。Photo by Koichi Iwasa of DogsorCaravan.com

最後の完走者となった柏木寛之。Photo by Koichi Iwasa of DogsorCaravan.com

フィニッシュ地点の関門締切時刻を迎えた8月18日月曜日午前3時時点の通過状況は次の通りです(タイム等は大会実行委員会の情報を当方が集約したものです。公式タイムについては大会ウェブサイトなどをご参照ください)。

  •  フィニッシュ(大浜海岸)
  1. 望月将悟 5日12時間57分
  2. 飴本義一 6日5時間6分
  3. 船橋智 6日6時間54分
  4. 阪田啓一郎 6日16時間47分
  5. 石田賢生 6日16時間47分
  6. 松浦和弘 6日21時間4分
  7. 大西靖之 6日21時間4分
  8. 朽見太朗 7日2時間36分
  9. 大原倫 7日15時間18分
  10. 紺野裕一 7日19時間20分
  11. 西田由香里 7日22時間12分
  12. 雨宮浩樹 7日23時間6分
  13. 米田英昭 7日23時間14分
  14. 佐幸直也 8日2時間4分
  15. 柏木寛之 8日2時間32分
  • リタイア町田吉広(一ノ越<65km>・強風は危険と自ら判断)、石川晃(一ノ越<65km>・強風に加え腸脛靭帯に故障)、笹岡誠(雷鳥沢<62km>腸脛靭帯の痛み)、福山智之(双六小屋<100km>、関門締切が延長されたことを知らない中で関門まで行動時間が足りないと判断)、岩崎勉(上高地の関門締切に間に合わず)、飯島浩 (双六小屋<100km>、胃腸不良)、千原昇湯川朋彦(上高地出発後の沢渡、体調不良)、中村雅美(空木岳から池山尾根、故障)、山本寛人(両俣小屋、低体温症の症状)平井小夜子(塩見岳、濃霧で行動難しくビバークするため三伏峠の関門締切に間に合わず)、江口航平(三伏峠、幻覚現れるなど体力消耗)、阿部岳史(大日影山<三伏峠と荒川岳の間>、寒さに耐えかねて)、田中尚樹 (井川オートキャンプ場の関門締切時刻に間に合わず失格)、仙波憲人(富士見峠、身体のダメージ大きく進めない状態)
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八日目から日付が変わった8月18日月曜日の午前2時32分。最後までコース上で進み続けた柏木寛之が静岡市・大浜海岸に到着して、2014年のトランスジャパンアルプスレースが幕を閉じました。深夜にもかかわらず、十数人の観客やスタッフが集まり、一週間を越える大きなイベントの終了を迎えました。

日曜の深夜となっても多くの観客がランナーのフィニッシュを迎えた。Photo by Koichi Iwasa of DogsorCaravan.com

日曜の深夜となっても多くの観客がランナーのフィニッシュを迎えた。Photo by Koichi Iwasa of DogsorCaravan.com

初日の台風11号による暴風雨から始まり、大会期間中は13日水曜日を除いては連日の雨。初日の劒岳を回避したコースは距離では20キロ程度の延び、序盤に長いロードを走ったことのダメージを受けたランナーもいたようです。初日は薬師岳山荘やスゴ乗越などで集団でビバークすることとなった時には、レースをするよりも安全に行動することをランナー全員が優先することにしたといいます。結果として、30人の出場選手のうち、制限時間(当初よりも3時間延長されました)以内にフィニッシュしたのは15人にとどまるハードなレースとなりました。

しかし、コース上からFacebookやで発信されるランナーの表情は、強い雨に打たれているはずなのに明るい笑顔であふれていました。日程が進むにつれて、体の痛みに苦しんだランナーもいました。しかし、一葉に周囲からの応援には明るく応え、フィニッシュ地点では晴れやかな笑顔に包まれました。日本海から太平洋まで、日本アルプスを一気に縦走するという途方もないチャレンジは大変な苦行であるに違いないにもかかわらず、です。

また、このトランスジャパンアルプスレースへの注目がますます高まっていることも間違いありません。スタートの魚津市でも、フィニッシュの静岡市でも、TJARというイベントは地元の誇りとして受け入れられつつあるように思われました。特に地元の望月将悟を迎える金曜日の静岡市はトレイルランニングのファンだけではなく、地元の市民の皆さんがコースの沿道や大浜海岸に大勢集まりました。それ以外のコース上でも例年に増して選手を応援しようとする人が集まったようです。今や、30人の参加選手は全員がヒーロー・ヒロインです。

山岳での能力を厳しく見極められたわずか30人の選手が繰り広げる、常人には想像ができないレースに集まる熱い視線。そこにはレースのあり方への様々な要望、開催される日本アルプスというフィールドが受け入れ得る許容範囲、広く集まる社会からの関心、などこのレースのあり方にとって無視できない課題や展望が広がっているように思えます。

ただ、このTJARを魅力あるものにしている一点、自分の力で大きな山に挑戦することで自らの可能性や限界を知ること、この一点が揺らがなければ、トランスジャパンアルプスレースはこれからも日本における憧れの山岳レースとして、輝かしい存在であり続けるだろう。今回の一連の取材を通じてそう感じました。

写真集

最終日も写真家の藤巻翔 / Sho Fujimaki、後藤武久 / Takehisa Goto、小関信平 / Shimpei Koseki、宮上晃一 / Koichi Miyagamiの皆さんの写真をご紹介します。
また、新しい写真をご提供いただいたら追記して紹介します。

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今年のTJARについては当サイトのダイジェスト記事へ

八日間におよぶトランスジャパンアルプスレースについて、当サイトは本日までダイジェスト記事を毎日まとめてきました。今年のレースの振り返りにご活用ください。

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参考

今後関連するレポート等の記事のリンクを追加します。

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