【追記あり】[DC] グザビエ・テベナールとナタリー・マクレアが優勝、土井陵が11位に・UTMB 2015リザルト ウルトラトレイル・デュ・モンブラン Ultra-Trail du Mont Blanc® 2015

163km地点から始まる最後の大きな登りを進む土井陵 / Takashi Doi。

【追記・2016年7月19日、UTMBは2015年大会5位のゴンザーロ・カリスト / Gonzalo Calisto(エクアドル)をドーピング違反で失格とし、完走ベスト、入賞トロフィー剥奪を決定しました。完走後の検査結果がクロとIAAFから発表されたのを受けたものです。当サイトの以下の記事もこの決定を受けて順位を修正しました。2016.07.19】今年のUTMBウィークは現地では連日、鮮やかな青空に恵まれました。しかしそれはUTMBを走るランナーにとっては強い日差しで体温は上昇、水分をどんどん失うという過酷なコンディションとなりました。

13回目となるウルトラトレイル・デュ・モンブラン / Ultra-Trail du Mont Blanc®の170km / 6,100mD+のUTMB®では、多くの有力選手が途中でリタイアしていく中で優勝を勝ち取ったのはフランスのグザビエ・テベナール / Xavier Thevenardナタリー・マクレア / Nathalie Mauclairでした。日本からの参加では土井陵 / Takashi Doiが後半に着実に順位を上げる手堅いレース展開を見せて24時間21分でフィニッシュし、12位11位に入る健闘をみせました。

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MHW-montrail - logo当サイトでは今年から新たに大会パートナーとなったMountainHardwearmontrailのご協賛によりUTMBの現地レポートをお送りしました。

2013年に続いて2回目の優勝となったグザビエ・テベナール / Xavier Thevenardはまだ20代。しかしウルトラトレイル・デュ・モンブランでは、2010年のCCC、2014年のTDSでも優勝しています。今回のUTMBでも、中盤まで先頭集団で走った後に単独でレースをリードし、後続に48分の大差をつけて優勝。フランスのジュラ県出身でスキー選手として鍛えた身体は、UTMBのような大きなアップダウンを走る山岳コースで圧倒的な力を誇ることを示しました。2位にはルイス・アルベルト・ヘルナンド / Luis Alberto Hernando Alzaga。今回の優勝候補の一人で、初のUTMB参戦だった昨年にリタイアとなった雪辱を果たしました。3位、4位に入ったのはアメリカのデイビッド・レニー / David Laneyセス・スワンソン / Seth Swanson。UTMBではアメリカのトレイルランナーが苦戦することが少なくありませんが、この日はこの二人はスマートなレース展開で上位に入りました。特にデイビッド・レニーは序盤は40位台を走る慎重なレースでしたが、レース中盤のクールマイユールを過ぎるとエイドステーションを通過するたびに順位をどんどん上げていき、ついにフレジエールからの最終盤で先行していたセス・スワンソンを捉えて3位に入りそのままフィニッシュ。痛快なレース展開に観戦するファンは大いに盛り上がりました。

UTMB男子優勝のグザビエ・テベナール / Xavier Thevenard (Asics)。

UTMB男子優勝のグザビエ・テベナール / Xavier Thevenard (Asics)。

後半に鮮やかな追い上げでUTMB男子3位のデイビッド・レニー / David Laney (Nike)。

後半に鮮やかな追い上げでUTMB男子3位のデイビッド・レニー / David Laney (Nike)。

UTMB-Logo女子のレースでも優勝候補のヌリア・ピカス / Núria Picasをはじめ、これまでのUTMBで活躍してきた有力選手がレースから脱落するなかで、終始リードを保ったのはナタリー・マクレア / Nathalie Mauclair。Grand Raid Reunionで二連覇中のベテランはこの日は終始表情に余裕が感じられました。2位には74分差でウシュエ・フライエ / Uxue Fraile Azpeitia。こちらもベテランらしい安定した走りでした。3位のデニス・ジンマーマン / Denise Zimmermannも含めて、長距離の山岳レースの経験が豊富なベテランが上位を占めることになりました。

UTMB女子優勝のナタリー・マクレア / Nathalie Maclair (Mizuno)。

UTMB女子優勝のナタリー・マクレア / Nathalie Maclair (Mizuno)。

UTMB女子2位のウシュエ・フライエ / Uxue Fraile (Vibram)。

UTMB女子2位のウシュエ・フライエ / Uxue Fraile (Vibram)。

日本から参加の有力アスリートも今年のUTMBの暑さと強い日差しという過酷な天候に苦しみましたが。その中で出色な結果を残したのが12位11位でフィニッシュした土井陵 / Takashi Doiです。土井も自分のペースを守って前半に慎重に走り、後半に先行するランナーを捉えるという展開で徐々に順位を上げていきました。小さな捻挫などはありながらも終始安定した走りで堂々の12位。バスケットボールで鍛えられた土井がランニングを始めたのはわずかに数年前。ランニングの実力アップのために始めたトレイルランニングでレースに出たのは2013年の夏。以来、トレイルランニングのレースで上位を占めるようになり、昨年のUTMFで15位、今年は比叡山50kで優勝、上州武尊山120kで優勝と上り調子。世界中から有力選手を集めるUTMBでのトップ20は国際的なトップアスリートと認められる一つのステータスといえます。今後の土井の活躍に注目が集まります。

163km地点から始まる最後の大きな登りを進む土井陵 / Takashi Doi。

163km地点から始まる最後の大きな登りを進む土井陵 / Takashi Doi。

UTMBを12位でフィニッシュした土井陵 / Takashi Doi。

UTMBを12位11位でフィニッシュした土井陵 / Takashi Doi。

このほかの日本から参加のランナーでは、大島拓郎 / Takuro Ohshimaが28時間7分で50位49位。昨年のUTMF7位の野本哲晃 / Tetsuaki Nomotoと昨年のUTMB22位の大瀬和文 / Kazufumi Ooseは途中から一緒になり、揃って29時間54分でフィニッシュ。アメリカ在住の藤岡正純 / Masazumi Fujiokaが30時間51分で続きました。一方、30km地点のコンタミンでは石川弘樹 / Hiroki Ishikawaはふくらはぎの故障、小原将寿 / Masatoshi Obaraは胃のトラブルでそれぞれリタイア。78.8km地点のクールマイユールでは小林慶太 / Keita Kobayashi、奥宮俊佑 / Shunsuke Okunomiya、96.2km地点のアニューバで小川壮太 / Sota Ogawaがそれぞれリタイアしました。

中盤以降は励ましあいながらUTMBを完走した野本哲晃 / Tetsuaki Nomoto(右)と大瀬和文 / Kazufumi Oose (Salomon)。

中盤以降は励ましあいながらUTMBを完走した野本哲晃 / Tetsuaki Nomoto(右)と大瀬和文 / Kazufumi Oose (Salomon)。

クリストフ・ガイガー / Christoph Geigerさんは73歳。46時間24分34秒でUTMBを完走し、今大会の最高齢完走者に。

クリストフ・ガイガー / Christoph Geigerさんは73歳。46時間24分34秒でUTMBを完走し、今大会の最高齢完走者に。

レース結果の上位の顔ぶれを見ると、ここ数年続いている傾向が今年はより明確になった印象です。一つは世代交代。2010–12年の悪天候のUTMB以前はトップ10の常連といえるランナーがいましたが、トレイルランニングの人気の高まりとともに、着実に世代交代が進んでいます。そして選手の地域的な広がり。フランスやスペインといった欧州でトレイルランニングが盛んな国から多くの有力選手が現れていることは変わりませんが、今年5位のエクアドルのゴンザーロ・カリスト / Gonzalo Calistoをはじめとする欧州以外から参加するランナーがUTMBで活躍することが確実に増えています。そして、選手の競技領域の広がり。スカイランニングのレースやアメリカの走りやすいスピーディなトレイルランニングで活躍するランナーにとっては170kmの山岳コースで結果を出すには高いハードルがありました。しかし様々な経験や知見が蓄積されてきたためか、そのハードルを乗り越えるアスリートは増えています。今年でいえば2位のルイス・アルベルト・ヘルナンド / Luis Alberto Hernando Alzagaは80kmくらいまでのスカイランニングのレースの上位常連。アメリカからはUTMBで3位となったデイビッド・レニー / David Laney、CCC優勝のザック・ミラー / Zach Millerを擁するNike Trailチームのアスリートの活躍がその例に挙げられます。今後、新しい傾向とともにUTMBのレースの展開も見応えあるものになっていきそうな予感がします。

2015 UTMB Podium

表彰台に立った‎UTMB‬ の上位選手の皆さん。RDのカトリーヌさんから女子の表彰について、来年から現在の上位5人から男子と同じ上位10人とすることが発表されました。

UTMB 2015リザルト

大会全体のリザルトはこちらから。

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プロローグ男子はエルハウジン・エラザウィが僅差を制す。リザルト・Golden Trail World Series Grand Final 第二日

男子

  1. グザビエ・テベナール / Xavier Thevenard 21:09:15 (Asics, FRA)
  2. ルイス・アルベルト / Luis Alberto Hernando Alzaga 21:57:17 (adidas, ESP)
  3. デイビッド・レニー / David Laney 21:59:42 (Nike, USA)
  4. セス・スワンソン / Seth Swanson 22:00:10 (The North Face, USA)
  5. ファビアン・アントリーノス / Fabien Antolinos 22:28:26 (Mizuno, FRA)
  6. エリック・クレバリー / Erik Clavery 22:45:28 (adidas, FRA)
  7. フランセスク・ソレ / Francesc Sole Duocastella 22:53:23 (ESP)
  8. ライアン・スミス / Ryan Smith 23:10:07 (La Sportiva, GBR)
  9. アレクサンドル・マイヤー / Alexandre Mayer 23:44:53 (Isostar, FRA)
  10. ピョートル・ヘルコック / Piotr Hercog 24:10:54 (Salomon, POL)
  • 11. 土井陵 / Takashi Doi 24:21:11
  • 49. 大島拓郎 / Takuro Ohshima 28:07:57
  • 90. 野本哲晃 / Tetsuaki Nomoto 29:54:29
  • 91. 大瀬和文 / Kazufumi Oose 29:54:37 (Salomon)
  • 116. 藤岡正純 / Masazumi Fujioka 30:51:44

女子

  1. ナタリー・マクレア / Nathalie Mauclair 25:15:33 (Mizuno, FRA)
  2. ウシュエ・フライエ / Uxue Fraile Azpeitia 26:29:35 (Vibram, ESP)
  3. デニス・ジンマーマン / Denise Zimmermann 27:33:51 (Salomon, SUI)
  4. シルビア・トリゲロス / Silvia Ainhoa Trigueros Garrote 27:39:36 (ESP)
  5. ダーシー・ピセウ / Darcy Piceu Africa 28:38:30 (HOKA, USA)
  6. ルチアーナ・モレッティ / Luciana Moretti 28:40:47 (ARG)
  7. ベルナデット・ベンソン / Bernadette Benson 29:40:11 (AUS)
  8. ステファニー・ハウ / Stephanie Howe 30:16:28 (The North Face, USA)
  9. メラニー・ルーセット / Mélanie Rousset 30:17:01 (FRA)
    10.マヌエラ・ヴィラセカ / Manuela Vilaseca 30:19:21 (The North Face, BRA)
  • 29. 伴明美 / Akemi Ban 36:24:11 (JPN)
  • 30. 塚越紗衣 / Sae Tsukagoshi 37:20:44 (JPN)
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