Zepp E レビュー:機能は絞り込まれているが、リーズナブルなお値段でエレガントな外観のスマートウォッチ

単なるガジェットではなくてあらゆる場面で手放せない生活必需品となれば、スマートウォッチのデザインや機能の組み合わせもさまざまな可能性があります。そのあたりを挑戦しているのがこのZepp Eということのようです。

Zeppは当サイトでもこの秋、何度かレビューしてきたAmazfitと同じHuamiが展開するスマートウォッチのブランド。ライフスタイルからフィットネス、アウトドアスポーツまで幅広くカバーするAmazfitに比べると、こちらはより洗練されたスタイルでビジネスやフォーマルなシーンに適したスマートウォッチを提案しています。今回レビューするZepp Eはブランドのローンチモデルとして今年秋にグローバルで発売されたモデルとなります。

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Zepp E(スクエア、ポラーナイトブラックレザーバンド)

Zepp E(スクエア、ポラーナイトブラックレザーバンド)

スマートウォッチとしては血中酸素飽和度(SpO2)などの最新の機能を備える一方、スポーツ周りの機能はAmazfitに比べると一部の機能は見送られています。一方で外観のデザインは洗練されていて、ありがちなスマートウォッチとは一線を画す美しい光沢でステンレスのケースは、この価格(日本国内で39,800円)なら他ブランドのことを考えると(つまりApple Watch)リーズナブルと感じます。そしてAmazfitと同じく鮮明なディスプレイと長いバッテリーライフはこのZepp Eでも大いに魅力的です。

スポーツは好きだけど、日常的に身につけるスマートウォッチはガジェットではなくて「時計」であってほしいと感じている人には一つの選択肢となるでしょう。

デザイン:ステンレス&レザーバンドでエレガントな雰囲気に

Zepp Eには円形のラウンド、四角形のスクエアのモデルがあり、バンドはレザー、フルオロエラストマー、そしてミラネーゼループに似たメタルの3タイプ。これに加えてケースのステンレス素材の色のバリエーションがあります。日本における正規代理店であるアースリボーンのオンラインストア・ufufuでは、これらを組み合わせたバリーションとして、ラウンドモデルは5つ、スクエアモデルは6つのモデルが販売されています。ちょっと意外ですが、どのモデルも販売価格は39,800円で同じです。今回のレビューにはスクエアでレザーバンドの「ポラーナイトブラックレザーバンド」を提供していただきました。

スクエアモデルのサイズは43.3 × 35.7 × 9.0mmで重量は36g(バンドは別)。先日レビューしたAmazfit GTS 2とはケースやバンドの素材に差があるもののサイズ感はかなり近い感じ。比べてみると、外寸はGTS 2(42.8 x 35.6 x 9.7mm)よりほんの少し小ぶりながら、重量はGTS 2(24.7g)の1.5倍。アルミ&プラスティックのケースに比べて、ステンレスケースのZepp Eはギュッと詰まった感じがしてプレミアム感を演出してます。ちなみにバッテリーの容量はZepp Eの188mAhに対してGTS 2は246mAh。Zepp Eの密度高い感じはやはりケースの素材から来ています。なお、防水性能は5ATMです。

左からAmazfit GTS 2、Zepp E、Apple Watch Series 6 (40mm)。

左からAmazfit GTS 2、Zepp E、Apple Watch Series 6 (40mm)。

上からAmazfit GTS 2、Zepp E、Apple Watch Series 6 (40mm)。

上からAmazfit GTS 2、Zepp E、Apple Watch Series 6 (40mm)。

デザインについてはディスプレイの3Dカーブガラスから滑らかに続く光沢のあるステンレスケースが美しい。筆者の場合、Apple Watchでは買い替えが早いからとアルミケースを選んでいますが、Zepp Eのステンレスケースにはアルミケースにはないアクセサリーとしての存在感を感じます。


レザーバンドについては好みが分かれるところかもしれません。ステッチなどはないシンプルなバンドは控えめでシーンを選ばずに使えそうなので好印象です。一方で革特有のしっとりした感じとかしなやかさはさほどありません。スポーツウォッチとして使う場合にはレザーバンドが汗で濡れたりするのが気になるかもしれません。実際に試してみましたが、いつものようにランニングの後のシャワーでZepp Eを洗ってタオルで拭くという雑な手入れでもレザーの質感はあまり変わりませんでした。気になる場合は別売りのフルオロエラストマー・バンドに付け替えることもできます。

レザーバンドは扱いやすい質感

レザーバンドは扱いやすい質感

ディスプレイについてはAMOLED(アクティブマトリクス式有機EL)で、1.65インチの348 x 442ピクセルでGTS 2と同じ。Amazfitでも定評のある鮮やかなディスプレイは見やすくて、Zepp Eのプレミアム感には大いに貢献していると感じます。

基本的な機能は手堅く固めている

バッテリーの持続時間は「日常使用」で7日間、「基本機能のみ」で15日間というもの。「日常使用」は心拍数の常時測定や睡眠のトラッキング、スマホからの通知の受信、週3回各30分のエクササイズなどが想定されています。

ただ、バッテリーについてはZepp Eの売り文句ともなっている常時点灯機能の設定で持続時間は大きく変わるようです。腕につけている間は手前に返したりしなくても常に時刻などの情報を表示する常時点灯機能はスマートウオッチを「時計」として使うのに役立つ機能。Amazfitの各モデルと同じくZepp Eでも「設定」の「表示と輝度」から設定でき、「スマート起動」「定時起動」「一日中起動」「オフにする」の中からモードを選べます。「スマート起動」は睡眠中やウォッチを腕から外している場合に自動的に常時表示をオフにします。常時表示を「スマート起動」にした状態で一日1-2時間のランニングを毎日した場合だと、バッテリーの持続時間はだいたい3日間でした(自動スクリーンオフは15秒に設定)。GTS 2に比べると短くなりますが、Apple Watchに比べると長く、一日や二日なら充電をしなくて済むのはZepp Eのようなプレミアム・スマートウォッチとしてはライバルに対する長所だといえます。

常時点灯機能はスマート起動、定時起動、一日中起動、オフから選べる。

常時点灯機能はスマート起動、定時起動、一日中起動、オフから選べる。

スマートウォッチとしての機能をみると、今どきのスマートウォッチが備えている機能の多くはカバーしています。今年、Apple Watch Series 6が対応して話題になった血中酸素飽和度(SpO2)のほか、心拍数の常時トラッキング、睡眠のトラッキング、さらに基本的な歩数や消費カロリー数、移動距離などを自動的に計測。Apple Watchに似た三つのリングを閉じることを促す「アクティビティゴール」機能もあります。フィットネス系の機能ではセンサーから得たデータを加工してユーザーに気づきを促す二次的なデータもサポート。睡眠をトラッキングして睡眠の「質」を数字で示す「睡眠スコア」、「心拍数データをベースに、毎日のアクティビティの強度や生理データを合わせて多角的かつ動的に総合的な評価を行うPAI (Personal Activity Intelligence)、心拍数の変動などからアルゴリズムによって1日を通じたストレスの度合いを数値化してその推移を記録する「ストレス」などを備えます。これらについては当サイトのAmazfit T-RexのレビューGTR 2/GTS 2のレビューで詳しく紹介しています。

設定した1日のアクティビティゴールへの達成度を確認できる。

設定した1日のアクティビティゴールへの達成度を確認できる。

心拍数のウィジェットだがAMOLEDのディスプレイの鮮明さにも注目。

心拍数のウィジェットだがAMOLEDのディスプレイの鮮明さにも注目。

PAIは定期的に運動する習慣づけに役立ちそうだ。

PAIは定期的に運動する習慣づけに役立ちそうだ。

このほか、Zepp Eでこれらの機能にアクセスするためのインターフェースもスムーズでわかりやすいと感じます。左右のフリック動作でアクティビティゴールや心拍数、天気、PAIなどへクイックアクセス。上へのフリックで通知の一覧、下へのフリックで主な設定変更へのショートカット。ボタン長押しでワークアウトメニュー(呼び出す機能は変更可能)。タッチスクリーンの追従性はよく、日本語フォントも読みやすい。
よく使う設定項目へのショートカットメニュー。

よく使う設定項目へのショートカットメニュー。

今年話題の血中酸素飽和度(SpO2)も計測できる。

今年話題の血中酸素飽和度(SpO2)も計測できる。

以上はZepp Eについて気に入った点なのですが、若干残念な点もあります。それはAmazfit GTS 2と比べて省かれた機能があるところ。最も大きいのはウォッチ本体にGPSチップが内蔵されていないこと(これについては下で改めて述べます)ですが、このほかにもスペックシートに目を凝らすと気圧センサーやジャイロセンサーはGTS 2にはあってZepp Eには見当たりません。

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このほか、音楽機能ではスマートフォンで再生中の音楽や音声を操作することはできるもののGTS 2が持っていた音楽ファイルをダウンロードしておける3GBのメモリーもなし。GTS 2が対応予定のAmazon Alexaによる音声コントロールもZepp Eでは謳われていません。

もちろんZepp EとAmazfit GTS 2ではブランドが異なり、訴求するバリューや想定するユーザーも異なるので、機能に差があるのは当然です。ただ、同じ時期に出た似た外観、同じOSで動くスマートウォッチで、Zepp Eの方はお値段の点でもGTS 2の3割増しのプレミアムが乗っています。となると、Zepp Eにはエレガントなデザインや質感以外でもプレミアムなところを期待してしまうのは、筆者のようなガジェット好きだけでしょうか。

「プレミアムなスマートウォッチ」といわれると、スマートフォン側のコンパニオンアプリであるZeppアプリについてもちょっと物申したくなってきます。その日のフィットネスに関する情報が一覧できるトップページはよくできていると思うのですが、ウォッチの設定についてはメニューが散らばっていてどこからできるのか迷います。あと、複数のデバイスを並行して使うことができず、アクティブなデバイスは切り替えられるものの、PAIなどのデータは引き継がれないのも改善を願いたいところ。

Zeppアプリ。その日のフィットネスに関する情報はトップページにまとまっている。そのほかフィットネス関係のデータは右上の四つ葉のアイコンから、ウォッチの設定は右下のプロフィールから、その他は下中央の「満喫」からアクセスする。

Zeppアプリ。その日のフィットネスに関する情報はトップページにまとまっている。そのほかフィットネス関係のデータは右上の四つ葉のアイコンから、ウォッチの設定は右下のプロフィールから、その他は下中央の「満喫」からアクセスする。

スポーツウォッチとして:GPSのトラッキングは一手間を忘れずに

スポーツアクティビティのログを取る機能もZepp Eは備えていますが、ウォッチ本体にGPSチップが内蔵されていないため、ランニングなどでGPSログを取るにはBluetooth接続されたスマートフォンからGPSのデータを受け取ることになります。

スマートフォンでZeppアプリを開いた状態でZepp Eからランニングなどのワークアウトを選択すると、真ん中に「GO」のボタンが表示されます。この時、スマホがGPSを測位すると「GO」ボタンが明るいオレンジ色になり、これをタップするとGPSを取得しながらランニングのログを取ることができます。この流れはAmazfitの各モデルと同様でスムーズ。

Zeppアプリをスマホで開いてウォッチと同期をした後にワークアウトを選択すると、GPSの信号を受信している。

Zeppアプリをスマホで開く(=ウォッチと同期する)という手順の後にワークアウトを選択すると、GPSの信号を受信している。

スマホでZeppアプリを開かずにZepp Eからワークアウトを選択すると、「GO」ボタンの下に「GPS測位中…」と表示されたままになります。この時、スマホでZeppアプリを開いてZepp Eと同期するとスマホがGPSデータを測位します。ランニングを終えてZeppアプリで地図上のGPSログをみると、Amazfit T-RexのようなGPSスポーツウォッチほど忠実に実際のコースをフォローできてはいませんが、GTS 2と同じくらいの精度では記録できていました。興味深いことに、同時に記録したApple Watchのアクティビティアプリで記録したGPSログと見比べると、iPhoneのGPSデータを記録したZepp Eはほぼ同じくらいの精度でした。

同じところを走ったGPSログの軌跡を比較するとZepp EはGTS 2並み。同時にログをとっていたApple Watchのワークアウトアプリ(からStravaに読み込んだもの)と奇跡が似ている。

同じところを走ったGPSログの軌跡を比較するとZepp EはGTS 2並み。同時にログをとっていたApple Watchのワークアウトアプリ(からStravaに読み込んだもの)と軌跡が似ている。

Zepp EがGPS測位をする前に「GO」ボタンを押すと、「測位中です」とアラートが出ますが、タイマーはカウントを始めます。このままランニングを始めると心拍数はもちろん、距離もカウントされます。しかし、ランニングを終えてログをみると地図上でGPSのログは取られていないことがわかります。距離はGPSではなく加速度センサーなどでアルゴリズムにより算出されているようですが、同時に他のGPSスポーツウォッチで計測した距離とは多少のずれが、累積獲得高度はかなり大きなずれがあることがわかります。

スマホのZeppアプリを開いていない状態だと、スマホからのGPSデータが利用できないため、GPSのアイコンも出てこない。

スマホのZeppアプリを開いていない状態だと、スマホからのGPSデータが利用できないため、GPSのアイコンも出てこない。

GPSを受信していない状態で「GO」をタップすると、アプリに接続するようにとアラートが出る。

GPSを受信していない状態で「GO」をタップすると、アプリに接続するようにとアラートが出る。

GPSを受信しないまま「GO」ボタンを押すと内蔵センサーを使って距離などが計測されるが、地図上に表示されるGPSログは表示されない。

GPSを受信しないまま「GO」ボタンを押すと内蔵センサーを使って距離などが計測されるが、地図上に表示されるGPSログは表示されない。

以上細かい話で、Zepp EでランニングのGPSログを取ることにこだわる人は少ないかもしれません。ただ、GPSチップを内蔵しているウォッチに慣れている場合には、こうしたことも知っておくと戸惑わずに済むでしょう。

まとめ:エレガントなデザインと質感こそがZepp Eがプレミアムな理由

Zepp Eも日本正規代理店が運営するオンラインストア・ufufuでの販売価格は海外での価格よりもやや高めになっています。39,800円という価格はApple Watch SEを上回っているのですが、ステンレスケースというところに目を向けるとApple Watch Series 6のステンレスモデルはZepp Eの約2倍のお値段です。ただ、兄弟ブランドといえるAmazfitのGTS 2と比べて機能は抑えられているのに1.5倍というお値段は、ひとえにステンレスケースやバンドのデザインと質感で説明されることになります。

筆者としては、機能面でもプレミアムモデルに相応しいスペシャルな何かがあったらなあ、とは思いますが、エレガントな外観は買う理由としては十分とも思います。こういう絶妙なところを狙ってくる製品のパッケージングがHuamiというメーカーは巧みですね!

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