Amazfit T-Rex Ultra と Falconは精悍な表情と高機能を備えたアウトドアGPSスマートウオッチ【レビュー】

Amazfit(アマズフィット)からアウトドア・アクティビティにフォーカスしたGPSスマートウォッチの新モデル「Amazfit T-Rex Ultra」と「Amazfit Falcon」が6月23日に発表、発売されました。「Amazfit T-Rex Ultra」はベゼルに316Lステンレススチールを使用し、超低温下や泥の中での使用時の抗耐候性を強化。バッテリーは高精度のGPSモードで最大28時間、省電力GPSモードで最大80時間。機能面では事前にダウンロードしたマップに行動中のGPSによる軌跡を重ねてナビゲーションが可能なオフラインマップ機能が搭載されました。重量はストラップ込みで89gです。「Amazfit Falcon」はT-Rex Ultraに準じた機能を備えつつ、ケース全面にチタン合金、ディスプレイにはサファイアガラスを使用したプレミアムなスマートウォッチ。重量はストラップ込みで64gとなります。

「Amazfit T-Rex Ultra」はAmazfit公式オンラインストアとヨドバシカメラ及びヨドバシ.COMにて発売。エリートフィットネススマートウォッチ「Amazfit Falcon」もAmazfit公式オンラインストアにて発売されます。Amazfit T-Rex Ultraに関しては、ヨドバシカメラの秋葉原店と梅田店の2店舗にて販売され、実際に見て、触って購入できます。

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価格は公式オンラインストアでT-Rex Ultraが69,900円(税込)、Falconが89,900円(税込)となっています。

メーカーから当サイトに今回発売の両モデルをレビュー用に提供していただき、約1週間その機能を試しました。以下ではまずT-Rex Ultraについてレビューした後、Falconについてご紹介します。

T-Rex 2に比べてずしりとくる重さだが質感が高いT-Rex Ultra

T-Rexという名のついたスマートウォッチとしては、T-Rex Ultraは昨年7月発売のT-Rex 2に続く4作目となります。デザインは概ねT-Rex 2を受け継いでいるのですが、ディスプレイの周りのベゼルとケースの裏面に316L ステンレススチールを使用したことで、ポリマーアロイ製のT-Rex 2に比べて質感がグッと高まりました。機能面でもマイナス40℃の超低温下でも動作するとしています。しかし重量はT-Rex 2の66.5gから89gへとグッと増加。Garminならfenix 7Xに匹敵する重さとなります。

Amazfit T-Rex Ultra
Amazfit T-Rex Ultra

サイズは47.3 x 47.3 x 13.45 mmでT-Rex 2とほぼ同等。AMOLEDディスプレイが1.39インチで解像度が326 PPIというのはT-Rex 2と同じスペックですが、輝度は最高1,000nitとなりさらにくっきりとしたディスプレイとなっています。

デザインはベゼルの文字が彫り込みとなり、”T-REX” のロゴもエンボスのみで白色でなくなったのでシックな印象です。大きく変わったのはストラップと本体の接合部で、短い足を介して二段階で折れ曲がるようになりました。これのおかげでウォッチを腕から外した時にストラップがピッタリと折りたためるので、机の上に置いたりポケットに入れたりしてもかさばらないのが好印象です。

ベゼルの文字は彫り込み、「T-REX」の文字は凹凸だけで表現されてよりシックな見た目に。

本体とストラップを繋ぐ短い足が設けられて、フィット感が高くなっただけでなく、机に置きやすくなった。

本体とストラップを繋ぐ短い足が設けられて、フィット感が高くなっただけでなく、机に置きやすくなった。

バッテリーの持ち時間は最も高精度のGPSモードで28時間とT-Rex 2の26時間よりも長くなり、エンデュランスGPSモードでは80時間まで長くなります。一方、「一般的な使用」で最大20日間、「ヘビーユース」で最大9日間とT-Rex 2よりやや短くなっています。

GPSではデュアルバンドに対応してL1とL5という二つの周波数で測位信号を受信して高層ビルの谷間や森林の中での正確さが向上しています。衛星測位システムは6つのシステムに対応します。

ソフトウェアは最新世代のZepp OS 2.0にアップデート、オフラインマップ機能が登場

T-Rex UltraのソフトウェアはZepp OS 2.0を搭載。これはGTR 4 / GTS 4の発売時に登場したもので、レビュー記事で紹介したようにスポーツ機能も強化されています。対応するスポーツモードは160種類、自動検知できるスポーツはランニングなど8種類。ジムでの筋トレでは25種類のトレーニングについて、自動で回数やセット数、レストタイムを自動検知し、トレーニングのログを記録します。トレーニングについてはスマホのZeppアプリと連動して、トレーニングの内容をAIを使って提案するZepp Coach機能を利用できます。もちろん、StravaやiPhoneのフィットネスアプリへのデータの自動送信も可能です。

トレイルランナーにとっては新たに加わったオフラインマップ機能に注目です。昨年夏からT-Rex 2にGPXファイルをウォッチに読み込んでウォッチのディスプレイ上でナビゲーションする機能が使えます(当サイトのレビュー記事)。T-Rex Ultraではこれに加えて、ウォッチに予めダウンロードした地図をナビゲーション時にディスプレイに表示することができるようになりました。

このオフラインマップ機能を利用するにはスマホのZeppアプリ上でウォッチに保存したいエリアを指定します。次にT-Rex Ultraのディスプレイの指示に沿って地図データをダウンロードすることで、マップをウォッチ上で利用可能になります。

スマホのZeppアプリからマップのダウンロード範囲を設定する。

ダウンロードできる範囲は広い。ただ、ウオッチにダウンロードしておけるのは一つだけで、場所が変わったらそのつどダウンロードする必要がある。

マップのダウンロード範囲を設定すると、ウォッチに指示が出るのでそれに従う

マップはWiFi接続でダウンロードする。初回はSSIDを指定してパスワードを入れる必要がある。入力はスマホから。

WiFiに接続するとダウンロードが始まる。数分待つことになる。

ただ、ダウンロードできるのはOpen Street Mapのデータで、国土地理院地図のように等高線は表示されません。この辺りは今後の改善に期待したいところです。

ナビゲーションで見られるマップ。鎌倉周辺のトレイルが線で確認できるが、等高線や山の名前などは表示されない。
ナビゲーションで見られるマップ。鎌倉周辺のトレイルが線で確認できるが、等高線や山の名前などは表示されない。

ランニングウォッチとしては重さが気になるがマルチスポーツウォッチとしては充実度が高まった

Amazfit T-Rex Ultraは、厳しい環境でもびくともしない抗耐候性最新世代のGPSや光学センサーとソフトウェアを備えたアウトドアスポーツウォッチです。ステンレススチールの質感と堅牢なデザインがシックでビジネスシーンにも適しています。

ランニングウォッチとしてみた場合、高精度のGPSログが最大28時間記録できるのはウルトラランナーにとって魅力。ただ、より軽量なモデルに使い慣れていると89gという重さやケースの厚みはちょっと重すぎる、ゴツすぎると感じるかもしれません。トレイルランニングのレースやトレーニングというよりも、数日間にわたるファストパッキングや、ある日は山へある日は海へとさまざまなアウトドアアクティビティを楽しむ人にはぴったりな選択です。

ナビゲーション機能については次の右折左折といったプロンプトのないベーシックなものであるのはよいとして、ナビゲーションに使うコースやマップのウォッチへの読み込みはちょっとわかりにくいし、手順も複雑です。あとは、競合の製品と比べて外部アプリとの連携があまり進んでいないことや、タッチ決済に未だ対応していない点はこれまで通りです。こうした発展途上や未着手の機能にさほど魅力を感じず、スポーツやフィットネス、ヘルスケアの基本機能が充実していることを求めるなら、T-Rex Ultraは魅力的な製品だといえます。

チタンの質感と軽さが魅力を放つFalcon、プレミアムな価格に納得

一方、「Amazfit Falcon」はケース全面にチタン合金、ディスプレイにはサファイアガラスを使用したプレミアムなスマートウォッチです。Amazfitの英語ウェブサイトによれば、GTR / GTSシリーズが「ライフスタイル・シリーズ」、T-Rexシリーズが「アドベンチャー・シリーズ」とされているのに対し、Falconは「パフォーマンスシリーズ」に位置付けられています。

Amazfit Falcon
Amazfit Falcon

サイズは49.45 x 47.2 x 12.95 mm、AMOLEDディスプレイが1.28インチで解像度が326 PPI、輝度は最高1,000nitです。上で紹介したT-Rex Ultraと比べるとチタンのベゼルの存在感が少し目立ちますが、ほぼ同じサイズ感です。しかし重さはストラップ込み64gにとどまっており、T-Rex Ultraと比べて明らかに軽く感じます。この辺りはチタン素材の威力が発揮されています。

右側はクラシックなクラウン

左側はダイバーズウォッチのようなボタン

外観やデザインをみると、まずはチタンの独特の光沢に目を惹かれます。ボタンも左側の二つはダイバーズウォッチのようであり、右側の二つはクラシックな竜頭のような形。ケースはベゼルとの間に赤い素材を挟んで、のボトム側までチタンの一体構造となっているのも高級感があります。この構造のおかげか、Falconの耐水圧は20ATMと高くなっています。 充電端子は専用のUSBケーブルですが、端子が他のAmazfitのマグネット接続の2点POGOピンではなく独自の5ピンです。

本体下半分はチタン合金製の一体型ケース。充電は5ピンの独自端子。
本体下半分はチタン合金製の一体型ケース。充電は5ピンの独自端子。

ウォッチ自体の性能、機能としては上で紹介したT-Rex Ultraに概ね準じています。ただ、バッテリーは高精度のGPSモードで最大21時間、省電力GPSモードで最大50時間とT-Rex Ultraよりは控えめです。

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FalconにはT-Rex Ultraをチタン素材でさらに洗練させたプレミアム感があるのに加え、3分の2という軽さが魅力です。両方を見比べてT-Rex Ultraが69,900円(税込)、Falconが89,900円(税込)という価格差を考えてもFalconを選ぶというユーザーもいるでしょう。

ただ、これはT-Rex Ultraと同じで、他社製品でスマホアプリとの連携やタッチ決済、スマホ上での電話の応答といった機能を便利に活用する人にとっては、これらの機能がないウォッチをプレミアム価格では選びづらいかも。スポーツやフィットネス、ヘルスケアの機能が最優先で、もっとカッコいいスマートウォッチが欲しい、というユーザーであればAmazfit Falconは待望の製品です。

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