1週間にわたって開催された今年のDacia UTMB Mont-Blancが9月3日日曜日に閉幕しました。今回は2003年に始まった大会の20回目を記念する大会となると同時に、最初のUTMBワールドシリーズ・ファイナルとなりました。118カ国から参加した選手は全てのレースを合わせると1万人に達し、2500人のボランティアが大会を支えました。
(Photo © UTMB)
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20年間の記憶と友情のストーリーも
20回目を迎えた今年の大会ではこれまでのUTMBで優勝した12人の男性と10人の女性を「UTMB Legends」として称えることが発表されました。
金曜日の夜のUTMBのスタートには、このUTMB Legendsたちの姿もありました。そのうちの6人は今回のUTMBのコースをリレーで繋ぎ、20年にわたるUTMBの歴史を確かめることになりました。6人はフランチェスカ・カネパ Francesca CANEPA (ITA、2018年優勝)、カロリーヌ・シャヴェロ Caroline CHAVEROT (FRA、2016年優勝)、クリッシー・メール Krissy MOEHL (USA、2003年・2009年優勝)、カリーヌ・エリ Karine HERRY (FRA、2006年優勝)、ダワ・シェルパ Dawa SHERPA (NEP、2003年優勝)、ヴァンサン・デレバール Vincent DELEBARRE (FRA、2004年優勝)の皆さんでした。また、Cap Grand Air Associationの31人のガイドランナーたちは一年間にわたる準備を重ねて、ロクサーヌ・ディ・カーミン Roxane DI CARMINEをアウトドア用のJoëlette社の車椅子に乗せて、55km 3,425mD+のOCCを13時間2分で完走しました。
UTMBではアメリカからUTMBのコースにほど近いボーフォータン地域に移住して、5度目の挑戦でついにジム・ウォルムズレイ Jim WALMSLEY (USA) が優勝しました。そのウォルムズレイを、UTMBで4度優勝した経験を持つフランソワ・デンヌ François D’HAENE (FRA) がサポートする姿も印象的でした。選手をサポートできる最後のエイドステーションとなるバルロシーヌ Vallorcine にトップで到着したウォルムズレイをデンヌが直接サポートし、「必ず勝てる、ここからはどんなリスクも取るな」という言葉とともに固く握手をするシーンは、ライブ配信で世界に伝えられました。
1週間にわたるレースの記録
月曜日に開催されたMCCは、主に地元の住民、ボランティア、そしてパートナーを対象とした大会開催を祝うお祭りムードの40kmレースでスイスのマルティニ Martigny-Combeとシャモニーの間のトレイルを1,130人のランナーが駆け抜けました。シモン・パッカール Simon PACCARD (FRA) とクレモンティーヌ・ジョフレイ Clémentine GEOFFRAY (FRA) が、男性と女性のそれぞれのカテゴリーの最初のフィニッシャーとなりました。
月曜の夜にクールマイユール Courmayeur をスタートした145 kmのTDSは、マリーヌ・ナカーシュ Maryline NAKACHE (FRA) とクリスチャン・マイヤー Christian MEIER (CAN) が制しました。厳しい天候が多くの困難を選手に突きつけることになったレースとなりました。 火曜日には、誰もがUTMBの世界を体験できる15kmのETCがモンブランの日当たりの良い側とイタリア・アルプスの眺めが楽しめるクールマイユールを拠点に開催されました。昨年からはコースも新しくなったレースの結果はサラ・アロンソ Sara ALONSO (ESP) とロベルト・デロレンツィ Roberto DELORENZI (SUI) が女子、男子で優勝しました。 木曜日からはUTMBワールドシリーズ・ファイナルの三つのレースが開催されました。スイス・オルシエール Orsières をスタートしたOCCでは、観客は非常に速いレース、有力選手の激しい戦い、そして最終盤まで続いた駆け引きを楽しむことができました。男子はスティアン・アンゲルムンド Stian ANGERMUND (NOR) が2021年に続いて優勝、フランチェスコ・プッピ Francesco PUPPI (ITA) が2位、アントニオ・マルチネス Antonio MARTÍNEZ PÉREZ (ESP) が3位で続きました。女子のレースでは、トニ・マッキャン Toni MCCANN (RSA) が勝利し、ケイティ・シャイド Katie SCHIDE (USA) とヤオ・ミャオ Miao YAO (CHN) が続きました。 金曜日朝にスタートしたCCCでは、シャモニーのフィニッシュラインでの大勢の観客がフィニッシュを目にしました。イングビルド・カスペルセン Yngvild KASPERSEN (NOR) が11時間51分でレースを制覇し、2位のエミリー・ホーグッド Emily HAWGOOD (ZWE) に30分差をつけました。アメリカのヘレン・ミノ・フォークナー Helen MINO FAUKNERが3位となりました。男子のレースでは、イギリスの終盤に圧倒的な強さを発揮したジョナサン・アルボン Jonathan ALBON (GBR) が10時間14分で勝利。シェン・ジアシェンJiasheng SHEN (CHN) とダコタ・ジョーンズ Dakota JONES (USA) が続きました。 171km 10,000mD+のUTMBではコートニー・ドウォルター Courtney DAUWALTERとジム・ウォルムズレイ Jim WALMSLEYが女子、男子のそれぞれのレースで優勝。大会の20年の歴史で初めてアメリカ人選手が男女ともに頂点に立つことになりました。ドウォルターはUTMBで3度目の優勝で、今シーズンはウェスタンステイツ、ハードロック100と合わせて三冠を達成しました。ウォルムズレイは米国人男性選手がUTMBで勝てないというジンクスをついに破ることになりました。男子ではザック・ミラー Zach MILLER (USA) とジェルマン・グランジェ Germain GRANGIER (FRA) が男子のトップ3を締めくくり、女子ではドイツのカタリーナ・ハートマス Katharina HARTMUTHとフランスのブランディーヌ・リロンデル Blandine L’HIRONDELが女子の表彰台に並びました。 今回のDacia UTMB Mont-Blancには日本からも多数の選手が参加しました。上位の主な結果をみると、PTLでは駿谷 明宏 Akihiro SURUTANI、池田征寛 Yukihiro IKEDA、藤田慎一郎 Shinichiro FUJITA のチームが148時間35分で完走。CCCでは吉住友里 Yuri YOSHIZUMIが女子14位、枝元香菜子 Kanako EDAMOTOが同38位。UTMBでは宮﨑喜美乃 Kimino MIYAZAKI が女子15位、若林綾 Aya WAKABAYASHIが同38位、吉村健佑 Kensuke YOSHIMURAが男子38位、西方勇人 Hayato NISHIKATAが同41位、池畑拓哉 Takuya IKEHATAが同46位でした。すべてのレースの結果は、live.utmb.worldから見ることができます。