[DC] 第23回ハセツネCUP・日本山岳耐久レース 2015 プレビュー #Hasetsune

2014 Hasetsune Start

今年も日本山岳耐久レース(ハセツネCUP)が10月31日土曜日に東京のあきる野、奥多摩エリアで開催されます。23回目を迎える日本の長距離トレイルランニングのクラシック・イベントで今年はどんなドラマが展開されるのか。この記事ではこのレースの概要と今年の見どころ、有力選手を紹介します。また、当サイトではレース当日はスタートからフィニッシュまで、上位選手の動きを中心にTwitterFacebookページでライブ速報をお届けする予定です。

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ハセツネCUPとは

ハセツネカップ今回で23回目となるハセツネCUPは例年通り午後1時にあきる野市の五日市中学校をスタートし、あきる野・奥多摩の山岳コースを一周して五日市会館へと戻る71.5km(GPSによる実測は65.4km程度)のコースで開催、約2,500人のランナーが参加します。ハセツネCUPの特徴は、途中一ヶ所(42km地点、第二関門の月夜見第二駐車場)の1.5リットルの給水所とコース後半の三ヶ所の水場以外がある他はエイドステーションが設けられていないことと、午後1時のスタートのため7–8時間でフィニッシュするトップ選手も含め全てのランナーが後半に夜間のレースを経験すること、でしょう。コースは三頭山、御前山といったピークに向けた大きな登り下りもさることながら、そこに至るまでの尾根上のルートでは急な登り下りを細かく繰り返すことになり、スムーズに走ることはできず、距離に比べてかかる時間が長くなります(ハセツネCUPのコースの概要紹介は当サイトの記事をご覧ください)。

大会の名称に名前を残すアルパインクライミングのレジェンド、ハセツネこと長谷川恒男がヒマラヤをはじめとする世界の高峰へのチャレンジのためのトレーニングとして奥多摩山域を縦走していたことから始まったというこの大会の制限時間は24時間。多くの参加者にとっては70kmもの山岳コースを自力で完走するには、ランナーとしての走力はもちろんのことながら、長時間行動し続けるためのウェアの組み合わせ方、水分や補給食の準備といった山岳スポーツの知識や経験が重要になってきます。しかし一方で昨年の大会で上田瑠偉 / Ruy Uedaが7時間1分で優勝して大会記録を更新したように、優勝争いを繰り広げるトップアスリートにとって70kmのハセツネCUPは持久力に加えてスピードが勝負の決め手となります。

Ruy Ueda Hasetsune Finish

2014年のハセツネを7時間1分13秒で優勝した上田瑠偉。

レースとしてみたハセツネCUPは、日本を代表する長距離トレイルランニングレースとしてこれまで数々のドラマを生み出してきました。石川弘樹鏑木毅横山峰弘相馬剛間瀬ちがや櫻井教美といったレジェンドを生み出し、海外からもシン・ジェドク / Sim Jae Dukルドビック・ポムレ / Ludvic Pommretダコタ・ジョーンズ / Dakota Jonesエイミー・スプロストン / Amy Sprostonといったアスリートがハセツネを制しています。現在の大会記録は男子が7時間1分13秒(上田瑠偉 / Ruy Ueda、2014年)、女子が8時間54分07秒(櫻井教美 / Norimi Sakurai、2008年)となっています。

今年も当サイトがハセツネCUPをライブでレポートします

MHW-montrail - logo今年の当サイトのハセツネCUPのライブ速報はMountainHardwearmontrailのご協賛によりお送りします。

2012年のハセツネCUPからご好評をいただいている当サイトのライブ速報を今年もお届けします。五日市のスタート、フィニッシュのほか、コース上の主なポイントから現地の様子や上位選手のレースの途中経過をTwitterアカウント / @DogsorCaravanFacebookページでお伝えしていきます。コースへのアクセスが難しく途中経過を追いにくいハセツネCUPの応援に是非ご活用ください。加えて当サイトではレース直後にリザルトのまとめ、有力アスリートのインタビューなどの記事をお送りする予定です。

今年の見どころと有力選手

例年、10月第2週の週末に開催されるハセツネCUPですが、今年は3週後ずれしての開催となります。このため、日没は昨年が午後5時15分だったのが今年は午後4時49分と早くなり、第二関門となる月夜見駐車場(42.1km)ではトップの選手も日没後の到着となるでしょう。天気予報では大会の開催される土曜日、日曜日のあきる野市は曇り、最高気温は16℃、最低気温は10℃。走るのには適したコンディションとなりそうですが、例年よりは少しひんやりとした一日になりそう。夜間から早朝にかけての奥多摩の山中では寒さ対策も考える必要があるかもしれません。

こうした中で開催される今年のハセツネCUPで上位が期待される有力選手をみてみましょう。

女子 / Women

今年の女子のレースは日本のトレイルランニング界を代表するアスリートが揃う形となり、見どころの多いレースとなりそうです。

優勝候補として名前が挙がるのはまず福田由香理 / Yukari Fukuda(Altra)と丹羽薫 / Kaoru Niwaの二人。今シーズンはスカイランニング日本選手権・美ヶ原80kで福田が優勝、丹羽が2位、ウルトラトレイル・マウントフジ(UTMF)で丹羽が4位、福田が6位と日本のトレイルランニング・シーンで好勝負を見せてきた二人がハセツネCUPで競うことになります。福田は昨年のハセツネで2位、今年はハワイのHURT100で5位、Izu Trail Journey優勝。丹羽は昨年のハセツネで7位、今年のTransVulcania 73kで8位でした。そして2011年、2013年のハセツネで優勝している大石由美子 / Yumiko Ohishi(LaSportiva)。大石は昨年秋に膝に大きなケガを負い、今シーズンはレースから遠ざかっていましたが、ウルトラトレイル・マウントフジのSTYでは2位となり、その後の尾瀬岩鞍VKでも2位になるなど順調な回復ぶり。当サイトとのインタビューでもハセツネに向けた意欲を聞くことができました。さらに優勝争いに加わりそうなのは北島良子 / Ryoko Kitajima。世界陸上女子マラソン日本代表経験者であり過去のハセツネでは2011年5位、12年2位、13年5位、14年3位。2012年には9時間32分という自己ベストを残しています。

Yukari Fukuda Square

福田由香理 / Yukari Fukuda

Kaori Niwa Square2

丹羽薫 / Kaori Niwa

Yumiko-Ohishi-2square

大石由美子

北島良子 / Ryoko Kitajima

北島良子 / Ryoko Kitajima

Hiromi-Yoshida-Square

吉田広美 / Hiromi Yoshida

さらに表彰台に登るトップ6を狙うのは昨年のハセツネ4位の大庭知子 / Tomoko Oba。今シーズンはハセツネ30kで3位、富士登山競走3位、スパトレイル3位。昨年ハセツネ5位の吉田広美 / Hiromi Yoshida、昨年6位の鴨井夕子 / Yuko Kamoi。鴨井は今シーズンはOSJおんたけ100kで2位でした。山ノ内はるか / Haruka Yamanouchi(The North Face)は今シーズンは王滝50k優勝、スパトレイルで昨年に続く二連勝、OSJおんたけ100マイル2位、ウルトラトレイル・マウントフジのUTMFで8位と活躍しており、今回は上位を走るかもしれません。

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三浦裕一・2023年 ハセツネCUP 大会前インタビュー

さらにトップ10圏内を走りそうなのは次のみなさん(ナンバーカード順)。

  • 湯浅綾子 / Ayako Yuasa(inov–8): 2014年の北丹沢3位、白馬国際50k優勝、富士山麓トレイル18k優勝
  • Shibuya-A4-SFMT2015

    澁谷佳代 / Kayo Shibuya

    澁谷佳代 / Kayo Shibuya (inov–8):信越五岳で昨年3位、今年2位。昨年のSTY4位。

  • 高村貴子 / Takako Takamura:今年のハセツネ30kで4位、峨山道3位、OSJ山中温泉で優勝。
  • 町田はるか / Haruka Machida:昨年のハセツネで13位。
  • 道田明子 / Akiko Wichita:昨年のハセツネ8位。
  • 松浦真由美 / Mayumi Matsuura:昨年のハセツネ9位。
  • 佐藤光子 / Mitsuko Sato:ハセツネでは2012年に9時間25分で優勝、2013年2位とこのレースを極めた存在ですが、2014年は上位争いからは退いた結果でした。今年はどんな走りを見せるでしょうか。
  • 松井一葉 / Kazuha Matsui:昨年のハセツネ10位。

参加者リストに名前があるものの参加を見送る主な選手

  • 宮崎喜美乃 / Kimono Miyazaki:今年のウルトラトレイル・マウントフジのSTYで優勝。
  • 小川比登美 / Hitomi Ogawa:今年のOSJおんたけ100k優勝。

男子 / Men

男子のレースはここ数年とはちょっと違った展開となりそうです。昨年、一昨年のハセツネ優勝者の上田瑠偉 / Ruy Ueda東徹 / Toru Higashiがそれぞれ秋になってから足にケガを負っており、ハセツネへの出場は見送りか出場しても本調子からは遠い走りとなりそうです。このほかにも下にまとめたように多くの有力選手が出場を見送る見込み。ウルトラトレイル・マウントフジが秋の開催となるなど、今年は秋のレース日程が過密となり、シーズン終盤に故障や疲労からのリカバリーを優先せざるを得ないという傾向が今年はより強くなったといえそうです。

こうした中で今年のハセツネの優勝争いは奥山聡 / Satoshi Okuyama奥宮俊祐 / Shunsuke Okunomiya(MountainHardwear / Montrail)となるでしょう。奥山聡は2013年のハセツネで7時間36分で3位、昨年2014年は7時間22分で2位。昨年の7時間22分は上田瑠偉の大会記録更新で目立ちませんでしたが歴代3位となる記録。今年は8月の志賀高原エクストリームトライアングルで優勝しています。対する奥宮俊祐は今回が10回目のハセツネ出場で、3位となった昨年の7時間28分は歴代5位のタイム。今年はハセツネ30k優勝、7月のEiger Ultra Trail 101kで6位の後、8月のUTMBでは無理せずリタイア。今年のハセツネで悲願の初優勝を狙ってくるでしょう。ハセツネでは2位が2007年と2010年、2011年の3度、3位が2005年と2014年となっています。

Satoshi Okuyama Finish Hasetsune

奥山聡 / Satoshi Okuyama

Shunsuke Okunomiya Hasetsune30k

奥宮俊祐 / Shunsuke Okunomiya

この二人を追う存在としてはまず秋元佑介 / Yusuke Akimoto。昨年初出場のハセツネで6位となりましたがそのタイムは7時間43分。8月のエクストリームトライアングルでは奥山聡についで2位。富士登山駅伝で上位常連の第一空挺団のメンバーで現在22歳。あっと驚く結果を見せるかもしれません。今シーズンはOSJ新城ダブル64kで2位、OSJおんたけ100kで4位、富士登山競走2位、信越五岳2位となっている菊嶋啓 / Kei Kikushima(ONYONE)は今シーズンはハセツネが最大の目標と話しており、上位を期待したいところ。序盤に積極的にレースをリードすることが多い菊嶋にとって、有力選手が薄くなる今年の先頭集団でどのように走るかがポイントになりそうです。過去のハセツネでは7時間53分(3位、2012年)が自己記録です。そして昨年のハセツネで8時間00分で10位の牛田美樹 / Miki Ushida(inov–8)は今年はハセツネ30kで3位、Izu Train Journeyで3位のほか、スカイランニングのイベントでは2月のアジア選手権・MSIG Sai Kung 50kで5位。八ヶ岳スリーピークスで4位、日本選手権・菅平42kで6位、蔵王温泉5位など。シーズン終盤のハセツネに狙いを合わせていれば上位入りしそうです。加藤淳一 / Junichi Kato(MONTURA)は今シーズンはスカイランニング日本選手権・上田VKで3位、尾瀬岩鞍VKで5位、昨年の富士登山競走3位などバーティカル系での活躍している印象ですが、ハセツネでも2012年に8時間3分で7位という記録を残しています。

Yusuke Akimoto Sengen

秋元佑介 / Yusuke Akimoto

Kei-Kikushima-Square

菊嶋啓 / Kei Kikushima

MSIG Sai Kung 50- Miki Ushida

牛田美樹/Miki Ushida。

Junichi Kato Square

加藤淳一 / Junichi Kato

さらにトップ10圏内を走りそうなのは次のみなさん。

  • Koji-Yamaya-Square

    山屋光司 / Koji Yamaya

    三浦裕一 / Yuichi Miura (MountainHardwear / Montrail) :昨年のハセツネで17位、8時間6分。

  • 貝瀬淳 / Jun Kaise (ASICS):2014年STYで5位、2013年野沢温泉4位。ハセツネでは昨年初挑戦で8時間58分。
  • 加藤昌文 / Masafumi Kato:昨年のハセツネCUPで13位、8時間3分。
  • 伊東努 / Tsutomu Ito:ハセツネCUPでは2003年から上位常連。最高位は2007年の4位、自己ベストタイムは8時間1分(2014年、11位)。
  • 山屋光司 / Koji Yamaya (HOKA OneOne):ウルトラトレイル・マウントフジで2012年に6位、2013年に8位。今シーズンはHong Kong 100kで10位。
  • シン・ジュドク / Jae Duk Sim (韓国):日本でも2006年にハセツネ・カップで8時間台の壁を破る7時間52分の新記録で優勝したことで有名。2007年Western Statesで10位、2013年の柴又100kで2位、昨年のSTYで2位といった実績も残しています。

そして20位圏内に続きそうなのは次のみなさん(ナンバーカード順)。

  • Hironori Tasaka-Square

    田坂洋範 / Hironori Tasaka

    田坂洋範 / Hironori Tasaka (HOKA OneOne) :2014年OSJおんたけ100k優勝、2015年信越五岳5位。

  • 小山真一 / Shinichi Koyama:第一空挺団所属で富士登山駅伝でも活躍。今年1月にはフルマラソン2時間23分の自己ベストを記録(館山若潮マラソン)。
  • 眞舩孝道 / Takamichi Mafune (Salomon):2014年OSJ安達太良50kで6位。
  • 渡辺裕治 / Yuji Watanabe:ハセツネCUPで2014年に8時間9分で18位、2012年に8時間9分で9位。
  • 吉田賢治 / Kenji Yoshida (LaSportiva):2013年のハセツネCUPで23位(8時間39分)、Izu Trail Journeyで7位。
  • 栗原孝浩 / Takahiro Kurihara (LaSportiva):2014年OSJ奥久慈50kで3位、OSJ安達太良50kで4位。
  • 大内直樹 / Naoki Ouchi (The North Face):2014年のWasatch Front 100で17位、2013年ハセツネCUPで8時間43分、29位。1999年ハセツネCUPのチャンピオン。
  • 後藤豊 / Yutaka Goto (LaSportiva):2014年のハセツネCUPで8時間47分、27位。2013年Izu Trail Journey5位。2009年ハセツネCUPで当時の大会記録を更新して優勝(7時間31分)。
  • 柳下大 / Dai Yagishita:2014年のハセツネCUPで8時間35分、20位。2013年Izu Trail Journeyでは12位。
  • 礒村真介 / Shinsuke Isomura:2012年ウルトラトレイル・マウントフジで9位、2014年Hardrock 100で20位。
  • 小島弘道 / Hiromichi Kojima:2014年上州武尊山122k優勝。ハセツネでは2008年に8時間21分で9位。

参加者リストに名前があるものの参加を見送り、または見送る可能性が高い選手、昨年上位で出場を見送る選手

  • 上田瑠偉 / Ruy Ueda:昨年のハセツネチャンピオンで大会記録保持者。足のケガのため今年の出場は見送る可能性大。
  • 東徹 / Toru Higashi:2013年のハセツネ優勝者で当時の大会記録を更新。足のケガのため今年の出場は微妙な状況。
  • 山田琢也 / Takuya Yamada:出場を見送り。2010年にハセツネで3位、2013年には7位で7時間50分の自己ベストタイム。
  • 須賀暁 / Satoru Suga:前週にフランスのLes Templiersに出場。昨年のハセツネで9位。
  • 森本幸司 / Koji Morimoto:前週にフランスのLes Templiersに出場。昨年のハセツネで14位。
  • 小野雅弘 / Masahiro Ono:出場を見送り。イタリアの320kmのTor ges Geantsで2014年、2015年に5位。
  • 小原将寿 / Masatoshi Obara:出場を見送り。ウルトラトレイル・マウントフジ・UTMFで今年5位。
  • 大瀬和文 / Masatoshi Oose:出場を見送り。ウルトラトレイル・マウントフジ・UTMFで今年6位。
  • 小川壮太 / Sota Ogawa :出場を見送り。昨年のハセツネで7時間36分で5位。
  • 小林慶太 / Keita Kobayashi:前週にフランスのLes Templiersに出場。9月のウルトラトレイル・マウントフジ・UTMFで9位、昨年のハセツネで7位、7時間44分。
  • 横内宣明 / Noriaki Yokouchi:昨年のハセツネで8時間3分、12位。
  • 荒木宏太 / Kota Araki :昨年のハセツネで8時間5分、16位。
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