Amazfit GTR 3、GTS 3 シリーズ:新センサー搭載、ソフトウェアも着実に進化

Amazfit(アマズフィット)から今月、スマートウォッチの新モデル「GTR 3」、「GTS 3」、「GTR 3 Pro」の3モデルが発売されました。モデル名が示すとおり、Amazfitの主力製品の第3世代となる新製品です。心拍数や血中酸素レベル(SpO2)を計測するセンサーがBioTracker PPG 3.0バイオメトリックセンサーにアップデートされ、ワンタップで4つのデータが45秒で取得可能に。ランニングなどスポーツアクティビティで重要な測位センサーはGPS、GLONASS、Galileo、Baidu、QZSS(みちびき)に対応。さらにウォッチの横のクラウンを回して操作できるようになっています。

Amazfit GTS 3

Amazfit GTS 3

Amazfit GTR 3、GTS 3 シリーズは日本国内ではヨドバシカメラをはじめ大手家電量販店および時計専門店で販売中。大型ラウンドディスプレイでスマートフォンとBluetooth接続で電話の受発信が可能、本体の2.3GBの記憶領域に470曲を保存して本体で再生可能なプレミアムモデルとなるAmazfit GTR 3 Proは39,800円(税込)。他の二つのモデルは、ラウンド型でバッテリー寿命が標準的な利用で最大21日間のAmazfit GTR 3が34,800円(税込)、スクエア型でバッテリー寿命が標準的な利用で最大12日間ながら24.4gと軽量なAmazfit GTS 3が28,800円(税込、オンライン販売のみ)となっています。

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新製品発売にあわせて新ロゴなどのブランド戦略も発表

Amazfit GTR 3、GTS 3 シリーズの発売にあわせて、Amazfitはグローバルで新しいブランド戦略の展開を始めました。東京で初めて開催されたメディア向け発表会にも、新しくなったブランドロゴが登場。メーカーであるHuamiは今年2月にZepp Health Corporationに社名変更しています。3月には障害物レースを北米を中心に世界で開催しているSpartanとパートナーシップ契約を結んだほか、今月はファッションブランド「エリオット エミル(HELIOT EMIL)」とのパートナーシップを締結。9月に開催されたパリ・ファッション・ウィークでは発売前のAmazfit GTR 3、GTS 3 シリーズもランウェイに登場していました。

ベゼルが薄くなって大きくなったディスプレイ、新型センサーも搭載

新製品としてのGTR 3、GTS 3 シリーズは当サイトでこれまでレビューしてきたGTR 2、GTS 2GTR 2e、GTS 2eGTS 2 miniをベースにハードとソフトの両面で正常に進化しています。

ハードウェアではウォッチの裏面の光学センサーが「BioTracker™ PPG 3.0 センサー」にアップデート。24時間の心拍数とSpO2のトラッキング、睡眠のトラッキングができるほか、ワンタップすると45秒間で4つの健康指標(心拍数、SpO2、ストレスレベル、呼吸数)を計測する機能が加わっています。

ディスプレイは前モデルと同様にラウンド型とスクエア型の二つのタイプがあり、前モデルではGTR 2e、GTS 2eで用いられていた2.5D曲面ガラスを使用。GTR 3の1.39インチディスプレイのスペックは前モデルと同じですが、外径はほぼ同じのプレミアムモデルとなるGTR 3 Proはベゼルがより狭くなってディスプレイは1.45インチへと大きくなっています。一方、スクエア型のGTS 3はGTS 2の1.65インチ、GTS 2 Miniの1.55インチよりも大きい1.75インチに。GTS 3はGTS 2に比べて外径はわずかに小さく、薄くなっています。

さらに操作性に関する大きな変更点として、前モデルではウォッチの横にあったのは単にプッシュできるボタンであったのに対し、GTR 3、GTS 3 シリーズでは回して操作ができるクラウン(リューズ)となりました。タッチ操作に加えてクラウンで操作できるので、手が濡れている場合でも操作がしやすくなりそう。

オペレーションシステムはZepp OSが導入されており、ウォッチ上でもZepp OSのバージョン1.0と表示されています。ただ、見た目のデザインや操作感は前モデルと比べても違和感はありません。今後の新しい展開として、サードパーティのミニアプリがウォッチにダウンロードできるようになる見込みです。Amazfitでは例として、StravaやRunkeeperを挙げていした。

この薄さ、軽さでGPSモードでバッテリーが20-35時間持続

当サイトにもスクエアモデルのGTS 3をレビュー用にご提供いただき、試してみました。

まず身につけて気がつくのは薄くて軽いのにディスプレイが大きくて見やすいこと。日頃からApple Watch Series 6の小さい方(40mm)を身につけていますが、ディスプレイの大きさ、見やすさはほぼ同じように見えるのに、GTS 3の方が明らかに軽くて薄い。

Amazfit GTS 3(右)とApple Watch Series 6の40mmモデル。

Amazfit GTS 3(右)とApple Watch Series 6の40mmモデル。

Amazfit GTS 3(上)とApple Watch Series 6の40mmモデル。

Amazfit GTS 3(上)とApple Watch Series 6の40mmモデル。

当サイトとして気になるのは、やはりスポーツのアクティビティをトラッキングする機能。選べるスポーツの種類はGTS 2の90種類から150種類以上(トレイルランニングも含まれます)へと大幅に増えています。新たな機能として、スポーツモードを起動していなくても、ウォッチが自動的に認識してくれるスマート認識機能が加わっています。認識可能なのはウォーキング、室内徒歩、屋外ランニング、トレッドミル、屋外サイクリング、プールスイミング、エリプティカル、ローイングマシンの8種類。通勤や散歩のような日常的な移動も逃さず記録できるようになりました。

「屋外ランニング」のアクティビティ中のディスプレイの1ページ目。ページに表示する項目を変更することもできる。

「屋外ランニング」のアクティビティ中のディスプレイの1ページ目。ページに表示する項目を変更することもできる。

「屋外ランニング」のアクティビティ中のディスプレイの2ページ目。

「屋外ランニング」のアクティビティ中のディスプレイの2ページ目。

「屋外ランニング」のアクティビティ中のディスプレイの3ページ目。

「屋外ランニング」のアクティビティ中のディスプレイの3ページ目。

アクティビティ中のディスプレイを左にフリックするとアクティビティを終了、または一時停止にできる。

アクティビティ中のディスプレイを左にフリックするとアクティビティを終了、または一時停止にできる。

一時停止したところから各種の設定を変更できる。これはアラートを出す設定。走る距離で1km毎に音と振動でアラートを出す。このほかにも心拍数に応じてアラートを出したり、設定したペースを下回るとアラートを出す、といった設定が可能。

一時停止したところから各種の設定を変更できる。これはアラートを出す設定。走る距離で1km毎に音と振動でアラートを出す。このほかにも心拍数に応じてアラートを出したり、設定したペースを下回るとアラートを出す、といった設定が可能。

設定したペースで走る仮想ランナーにどれくらい離されているか、を知ることができる仮想ペーサー機能も備える。

設定したペースで走る仮想ランナーにどれくらい離されているか、を知ることができる仮想ペーサー機能も備える。

ランニングに関しては運動中のディスプレイ表示や運動終了後のサマリー表示、スマホの「Zepp」アプリでの表示については、前モデルと同様に充実しています。「Zepp」アプリからStravaなどのサードパーティにデータを自動で連携させたり、GPX形式のファイルを書き出すことも可能。

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GTS 3ではGPSなどの衛星測位のシステムにQZSS(みちびき)を新たに利用できるようになりました。GPSについては精度と速度、バッテリー消費の優先度合いに応じてどのシステムで測位するかの設定として「精度」、「バランス」、「省電力」の三つから選べるほか、さらに「カスタム」を設定することも可能。システムの組み合わせを選択することも可能となっています。

走ったコースをアプリで地図上で表示してみると、非常に正確。AmazfitのGTS 2 Miniやアウトドア向けのT-Rex ProでもGPSのトラッキングは正確でしたが、GTS 3でもこの強みは変わっていません。ちなみにGPS測位を続けた場合のバッテリー持続時間はGTS 3で20時間、ラウンド型のGTR 3、GTR 3 Proで35時間となっています。

GTS 3で記録したランニングの軌跡。GTS 2 Miniのレビュー記事でAmazfitの他モデルと同じコースを走った様子を比較しているが、GPSログは非常に正確だ。

GTS 3で記録したランニングの軌跡。GTS 2 Miniのレビュー記事でAmazfitの他モデルと同じコースを走った様子を比較しているが、GPSログは非常に正確だ。

実際のバッテリー持続時間ですが、標準使用のケースよりも運動時間が長めだったり、さまざまな機能を試すためにバッテリーを消費する設定にしたため、満充電から3-4日で残量10%となっていました。

海外でシェアを伸ばすAmazfit、音声機能の日本語対応に期待

Amazfitのスマートウォッチはアウトドア向けのT-Rex Proも含めて、これまでコストパフォーマンスのよさに注目してきました。海外では急成長中のブランドで、スペインとインドネシアで市場シェア首位、ブラジルとイタリアで2位だとのこと。ただ日本ではこれまで知る人ぞ知るメーカーだったと思います。GTR 3、GTS 3シリーズをきっかけにこれから日本でAmazfitがもっと市場シェアを伸ばすことでしょう。

当サイトにとって気になるトレイルランニングのアクティビティを記録するという使い方においても、ディスプレイに地図を表示したりコースを読み込んでナビゲーションするといった機能はないものの、GPSモードでGTS 3で20時間、ラウンド型のGTR 3、GTR 3 Proなら35時間も使えるなら、十分選択肢に入ってきそうです。特に、アウトドア向けGPSウォッチの大きさやケースの厚さが気になる人にはなおさらです。ちなみにGTR 3、GTS 3シリーズの防水機能は5ATMとなっています。

今後登場するというサードパーティのミニアプリにも期待しますが、日本のユーザーにとってはGTR 3、GTS 3シリーズの音声機能がほぼ使えない点は早く対応してほしいところ。GTS 2に搭載の音声で機能を呼び出すAmazon Alexaやオフラインオーディコマンドは日本語の環境では使えませんでしたが、GTS 3でもやはり同じく使えませんでした。Amazon AlexaについてはウォッチにもスマホのZeppアプリにも設定できるようになっているのですが、筆者が試したところではAmazonのアカウントにログインしようとすると北米のAmazon.comのページに誘導されてログインできませんでした。Alexaとは別にウォッチ本体の機能としてウォッチを音声でコントロールできるオフラインオーディコマンドは日本語にまだ対応していません(ウォッチの言語を英語などに切り替えると、英語でこの機能を使えます)。

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