Amazfit(アマズフィット)はアウトドア・アクティビティでの使用にフォーカスした「T-Rexシリーズ」の第3世代となるスマートウォッチ「T-Rex 2」を6月10日に発表。6月24日に発売されており、販売価格は43,780円(税込)となっています。
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メーカーから当サイトに「T-Rex 2」をレビュー用に提供していただき、約1ヶ月、常に身につけてその機能を試しました。機能が着実にアップデートしているのはもちろん、デザインや質感が高くなっているのに驚きました。
デザインと質感がよくなった第三世代
Amazfitはウェアラブルデバイスのブランドで、メーカーのZepp Health Corporationは2013年に中国で創業されたHuamiが昨年2月に現社名へと変更。中国のほか、北米や欧州にも研究開発拠点を展開しています。シャオミとの間でパートナーシップを結んでおり、シャオミのスマートバンド製品はZeppが供給しています。
Amazfitのスマートウォッチ製品の中でアウトドアスポーツにフォーカスしているのがT-Rexシリーズなのですが、今回登場した「T-Rex 2」を手に取って驚いたのは、モノとしての質感がアップグレードしていること。当サイトではシリーズ初代の「T-Rex」や二代目の「T-Rex Pro」もレビューしているのですが、 3代目のT-Rex 2はディスプレイの周りのベゼルがより細くディスプレイがより大きくなりました。スペックを確かめると、2代目のサイズが47.7 x 47.7 x 13.5 mmでディスプレイが1.3インチであるのに対し、3代目は47.1 x 47.1 x 13.65 mmで鮮明な表示がみやすいAMOLEDディスプレイが1.39インチとなっています。解像度も277 PPIから326 PPIへと精度がアップしています。
ケースの素材は「ポリマーアロイ」となっていて、質感もこれまでのT-Rexシリーズと比べて高級感を感じます。さらにシリコン製のバンドも質感が向上。前バージョンまではちょっと柔らかすぎると感じましたが、新モデルはちょうどよい感じ。
その他、外観のデザインでは、ベゼルの下側に大きく「T-REX」、右側のセンサーカバーに「AMAZFIT」と文字が刻まれています。このあたりは人により好みが分かれるかも。また、今回試したのはエンバーブラックというカラーのモデルなのですが、他の二つのカラーはまたガラリと印象が違います。選ぶなら一番落ち着いたエンバーブラックという人が多いような気がします。
心拍、SpO2センサーは最新世代に、バッテリー持続時間や衛星測位の精度も向上
T-Rex 2にはトレイルランニングやハイキングで使う場合に最も注目の新機能として、新たにナビゲーション機能が導入されました。この機能は7月末のファームウェアアップデートにより大幅に強化される予定で、次の三つの機能が追加されます。
- ルートリターンナビゲーション:辿ってきたルートを戻るようにナビゲートする。
- ルートインポート:スマートフォンのZeppアプリからルートをインポートする。
- リアルタイムルートナビゲーション:インポートしたルートをリアルタイムで表示し、ナビゲートする。
これにより、たとえばレースなどのその日予定しているトレイルランニングのコースのGPXファイルをT-Rex 2にあらかじめインポートしておき、実際に走る際にはウォッチのディスプレイ上で自分がコース上にいることを確認できることになります。このナビゲーション機能のアップデートについては当サイトで後日追加でレビューする予定です。
アウトドアスポーツウォッチとしてみた場合に気になるバッテリーの持ち時間は最も精度の高いGPSモードで最大26時間ですが、「バランスGPSモード」で最大50時間、「省電力GPSモード」で最大58時間となっているので、モードを切り替えれば100マイルのレースにも十分対応。日常的な使用では「一般的な使用」で最大24日間、「ヘビーユース」で最大10日間。さらにヘビーに常時表示オン、ランニングを週10時間ほどで使うと、満充電から5日目にバッテリーは残り10%以下になっていました。週末のレースなどで出かけるなら前日に充電しておけば、付属のUSB充電ケーブルなしで済みそうです。
光学センサーは昨年秋に発売のGTR 3、GTS 3シリーズと同じBioTracker PPG 3.0バイオメトリックセンサーを搭載。24時間の心拍数とSpO2(血中酸素レベル)、睡眠のトラッキングができるほか、ワンタップすると45秒間で4つの健康指標(心拍数、SpO2、ストレスレベル、呼吸数)を計測する機能も備えます。
衛星測位システムは5つのシステムとその組み合わせに対応しますが、T-Rex 2では新たにデュアルバンドによる測位が可能に。全ての衛星測位システムを組み合わせる設定にした場合にデュアルバンド測位が選択可能となり、より高精度な測位が可能となります。
アクティビティ中に表示するディスプレイのカスタマイズも可能、Stravaへの自動アップロードも対応
T-Rex 2で動作するZepp OSはシリーズ前世代のT-Rex Proからの正統進化で、GTR 3、GTS 3シリーズと同等の機能を持っています。
ランニングで実際に使ってみると、衛星測位システムの受信は非常にスムーズ。
運動アシスタントとして、ランニングの距離や時間、消費カロリーの目標値を設定して、心拍数やペースに上限を設定してそれを超えるとアラートを出す、といった機能も備えています。
ランニングを終えるとスマートフォンのZeppアプリのトップページからそのアクティビティの内容を確認できます。以前はアプリを起動して表示されるページからアクティビティの詳細を表示するページへのリンクがちょっとわかりずらかったと記憶していますが、今はデフォルトの状態でもわかりやすくなっています。Zeppアプリ上では地図上で走ったルートを確認できるのはもちろん、ペースや心拍数、標高、ケイデンスやストライド、ラップなどの推移をグラフで確認できます。走ったルートのGPXファイルのエキスポートも可能です。
他のウェブサービスとの連携では、Stravaとの連携はZeppアプリ上で設定でき、ウォッチでアクティビティを終了すると、Zeppアプリ経由で自動的にStravaにデータをアップロードできます。
このほか、ウォッチ上にインストールできるミニアプリをインストールできる機能があります。この機能はGTR 3、GTS 3シリーズで導入された機能でT-Rex 2も対応しています。現時点ではZeppが自ら提供するBMIの計算、歯磨きタイマー、といったちょっとしたウィジェットやスマートホームデバイスのコントロールといったアプリが並んでいます。サードパーティと連携するアプリとしてはGoProに接続してリモートで撮影の開始と終了、撮影モードの切り替えができるアプリや、Android限定ながらGoogle Mapのナビゲーションと連動して指示をウォッチに表示するアプリも利用可能になっています。
まとめ・外観がブラッシュアップして競合製品と比べても魅力的な存在
これまでのT-RexシリーズはAmazfitの他のシリーズのスマートウォッチの中身にアウトドア風のケースを組み合わせた感じがありました。スマートウォッチとしての機能はよくできているものの、競合するGPSスポーツウォッチに特化したブランド(Garmin、Suunto、Polar、Corosなど)に比べると正直なところちょっと物足りない感じはありました。
今回のT-Rex 2はベゼルを細く、ディスプレイを大きくした上に素材の質感も向上して、見た目でも競合製品に負けない魅力を備えました。追加が予告されているナビゲーション機能は大きな進歩。AmazfitにとってT-Rexシリーズは他のシリーズの単なる派生モデルではなく、アウトドアスポーツウォッチとして積極的に選ばれるブランドにしようという意志を感じます。
T-Rex 2の販売価格は43,780円(税込)で、昨年発売の先行モデルであるT-Rex Proの28,800円(税込)の1.5倍のお値段。最近の円安の影響もあるとは思います。それでもさらに高機能な競合製品はさらに高価であることを考えると、T-Rex 2は機能と価格のバランスがうまく取れた新しい選択肢となりそうです。
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