マウンテンランニング・トレイルランニング世界選手権(タイ・チェンマイ)プレビュー前編・アップヒル種目とロングトレイル種目 #WMRTC2021

久しぶりにアジアに世界中のトレイルランニング界のトップアスリートが集まります。

マウンテンランニング・トレイルランニング世界選手権(正式名称 Amazing Thailand Mountain & Trail Running Championships 2021)はタイ北部のチェンマイで11月3日から6日の日程で開催されます。

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マウンテンランニングとトレイルランニングを合わせた世界選手権がパンデミックによる延期を経て初開催

マウンテンランニングでは1985年、トレイルランニングでは2007年からそれぞれ開催されてきた世界選手権を、WA(ワールドアスレチックス)が主管となり、WMRA(世界マウンテンランニング協会)、ITRA(国際トレイルランニング協会)がテクニカルパートナー、IAU(国際ウルトラランナーズ協会)がコンサルタンシーパートナーとなる仕組みで統合することが発表されたのが2019年6月。隔年開催の第一回大会を2021年11月にタイ・チェンマイで開催することが2020年12月に発表されました。その直後に始まった新型コロナウィルスのパンデミックのため、2021年8月に大会の2022年2月への延期、2021年11月には2022年11月への再延期が決まっていました。

現時点で海外からタイへの渡航についてはパンデミック以前の条件に戻っており、一年の延期を経てついに世界選手権が開催されます。なお、すでに2023年のマウンテンランニング・トレイルランニング世界選手権が6月7日からオーストリア・チロル州のインスブルックとシュトゥーバイで開催されることが決まっています(当サイトの記事)。

世界選手権ではマウンテンランニングの2種目、トレイルランニングの2種目の四つのレースを開催

マウンテンランニングとトレイルランニングの両方の世界選手権となる今回は、三日間にわたって以下の4つの競技が行われます。コースはいずれも大会のメイン会場となるチェンマイ国際展示場(CMECC)をスタートし、チェンマイの西側に位置するステープ山(ドーイ・ステープ)へと向かいます。チェンマイは今のシーズンは乾季にあたり、平均気温は23℃、日中の最高気温30℃、最低気温18℃、1日の平均降水量は21mmとアウトドアでのランニングに適した気候です。

Photo by WMTRC2021

代表選考レースを経て選ばれた日本代表チームは男子8名、女子3名が今回の世界選手権に出場します。

  • Uphill Mountain Race: 8.5km, 1,065mD+ / 48mD-(Trace de Trailのコースデータ
    • 11月4日金曜日 10:15<日本時間12:15> スタート・男子
      • 日本代表:近江竜之介宮原徹(五十音順、以下同じ)
    • 11月4日金曜日 11:00<同13:00> スタート・女子
      • 日本代表:吉住友里
  • Long Trail Race: 78km, 4,807mD+ / 4,807mD-(Trace de Trailのコースデータ
    • 11月5日土曜日 6:30<8:30> スタート・女子および男子
      • 日本代表:秋山穂乃果(女子)、川崎雄哉須賀暁西村広和横内佑太朗(以上男子)
  • Short Trail Race: 38km, 2,425mD+ / 2,425mD-(Trace de Trailのコースデータ
    • 11月5日土曜日 7:30<9:30> スタート・女子および男子
      • 日本代表:高村貴子(女子)、上田瑠偉(男子)
  • Up and Downhill Mountain Race
    • Junior: 6.00km, 225mD+ / 240mD-
      • 11月6日日曜日 8:30<10:30> スタート・男子
      • 11月6日日曜日 9:00<11:00> スタート・女子
    • Senior: 10.70km 475mD+ / 475mD-(Trace de Trailのコースデータ
      • 11月6日日曜日 9:45 <11:45> スタート・男子
        • 日本代表:宮原徹吉野大和
      • 11月6日日曜日 11:00<13:00> スタート・女子
        • 日本代表:吉住友里

WMRTC2021 にエントリーしている有力選手

マウンテンランニング、トレイルランニングともに前回の世界選手権が行われたのは2019年。今年に入ってからは徐々に国際的な大会も復活しているものの、今回の世界選手権のような規模の大会はコロナ後では初めてとなります。

世界の頂点を決める最高レベルの競技会、そして世界中のアスリートが集まり交流する機会となる今回の世界選手権。46の国と地域の陸上競技団体を通じて選ばれた合計900人以上の選手がチェンマイに集まります。

以下では今回の世界選手権の有力選手を紹介します。なお、国別団体表彰の決め方は次のようになっています。

  • マウンテンランニングのレース(Uphill および Up & Down):男女ごとに各国4人の出場選手のうち、上位3選手についてそれぞれ順位の序数を加算。合計した数の少ない順で勝者を決める。
  • トレイルランニングのレース(LongおよびShort):男女ごとに各国6人の出場選手のうち、上位3選手についてレースのタイムを加算。合計タイムの短い順で勝者を決める。
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Uphill

1980年代にはすでに世界選手権が開催されていたマウンテンランニングの競技種目として開催される「Uphill アップヒル」レースはスタート地点からフィニッシュまでほぼ登りのみのコースで開催されるレースです。WMRAが主管するマウンテンランニングのW杯では欧州のレースを中心にこのUphillのレースがラインナップされています。

Uphill – Women

女子では昨年のGolden Trail World Seriesのチャンピオンで今年のスカイランニング世界選手権バーティカル優勝、7月の欧州オフロード選手権アップヒル優勝のモード・マシス Maude Mathys (SUI) は金メダルに一番近いといえます。加えて、欧州選手権2位のアンドレア・マイヤー Andrea MAYR (AUT)、同4位のスカウト・アドキン Scout Adkin (GBR) もメダル候補として名前があがります。マイヤーはW杯のVertical Nasego、KV Chiavennaをはじめ今シーズンは好調ぶりが伺えます。英国の代表選考レース優勝のアドキンはKV Chiavenna Laguncではマイヤーに2分20秒差で2位でした。

アメリカからは昨年のPikes Peak Acent優勝でBroken Arrow VKで昨年、今年と連覇のアリー・マクラフリン Allie McLaughlin、陸上競技のクロスカントリーのアスリートとして活躍して2019年のマウンテンランニング世界選手権で金メダルを獲得したグレイソン・マーフィー Grayson Murphy、今年のW杯のTrofeo Nasegoで3位のローレン・グレゴリー Lauren Gregory がエントリーしており、欧州のトップ選手と互いにアウェイのチェンマイで競うことになります。

日本からは昨年のバーティカルキロメーターの世界シリーズ戦、VK Openで初代チャンピオンの吉住友里 Yuri Yoshizumi がこのUphillにエントリーしていて、メダル獲得に期待がかかります。今年夏の欧州遠征ではマウンテンランニングのレースも経験し、W杯となった8月のKV Chiavenna Laguncでは11位となっています。

このほか、オリエンティアとして世界選手権で金メダルの経験を持つジュディス・ワイダー Judith Wyder (SUI)、8月のKV Chiavenna Laguncでは3位のエリサ・ソルティニ Elisa SORTINI (ITA) 、一昨年のSierre-Zinalで3位のエマ・プーレイ Emma Pooley (SUI)、昨年のW杯レースのTrofeo Nasego VKで5位、今年7月の欧州オフロード選手権のUphillで5位のスザンナ・サープンキ Susanna Saapunki (FIN) に注目です。

Uphill – Men

男子では長くアメリカのマウンテンランニングの王者であり、2016年、2019年のマウンテンランニング世界選手権チャンピオンのジョセフ・グレイ Joseph Gray (USA) が登場。現在38歳ですが最近も昨年のマウンテンランニング全米選手権、Pikes Peak Ascent、Broken Arrow Skyraceで優勝、今年のPikes Peak Ascentで3位となっており、その強さに翳りは見られません。

欧州からは今年の欧州選手権でUphill優勝、Up & Downで2位のチェーザレ・マエストリ Cesare MAESTRI (ITA) 、今年の欧州選手権のUphillで5位、Vertical Nasegoで2位、Canfranc Canfranc Verticalで2位と最近頭角をあらわしているザック・ハンナ Zac Hanna (IRL) 。KV Chiavenna Laguncでは2019年から三連覇(今年は3位)、今シーズンもVertical Nasegoで4位などW杯で活躍するアンリ・アイモノド Henri AYMONOD (ITA) 。今年7月のイタリアでのスカイランニング世界選手権・Skyで金メダルのロベルト・デロレンジ Roberto Delorenzi (SUI)、2019年のスカイランナーワールドシリーズ2位でマウンテンランニング世界選手権3位、2020年Golden Trail Championshipsで6位のオリオル・カルドナ Oriol Cardona Coll (ESP) といった選手たちが表彰台を目指します。

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マウンテンランニングに有力選手を輩出している東アフリカからはウガンダの選手団がエントリーしており、マウンテンランニング世界選手権で2017年と2018年に銀メダル、今年行われたウガンダ選手権チャンピオンのジョエル・アイェコ Joel AYEKO (UGA) や同2位のカレブ・トゥンゲット Caleb Arap Musobo TUNGWET (UGA)に注目です。

日本からは宮原徹 Toru Miyahara近江竜之介 Ryunosuke OmiがUphillレースへ。「バーティカルキロメーターの皇帝」として国内で圧倒的な力を持つ宮原はマウンテンランニングの関連しては2013年のPikes Peak Marathon、2015年のPikes Peak Ascentでの優勝で知られます。近江竜之介は2019年、2020年のスカイランニング日本選手権・VKのチャンピオンで、今年7月のスカイランニング世界選手権・VKで10位となっています。

このほか、次の選手も有力選手として期待されます。

  • グザビエ・シェブリエ Xavier CHEVRIER (ITA) : 2022年イタリア選手権金メダル、欧州選手権5位。
  • ミケル・コルベラ Miquel CORBERA RUBIO (ESP) : 2021年スペイン選手権5位 、2022年欧州選手権Uphillで4位、Up & Downで8位。
  • アレックス・バルダッチーニ Alex BALDACCINI (ITA) : 2021年マウンテンランニングイタリア選手権でUphillとUp & Downでいずれも3位、今年の欧州選手権のUphillで10位。
  • アレハンドロ・ガルシア Alejandro GARCIA CARRILLO (ESP) : 2022年マウンテンランニングスペイン選手権金メダル、欧州選手権12位。

Long Trail

トレイルランニングのロングトレイル競技として開催されるのは78kmのレース。チェンマイ市内からドーイ・ステープに登り、山中の集落を中心に二つのループを走ってからスタート地点に戻るコースとなっています。事前の情報では一部に浅い沢を渡渉するセクションがあるものの、全体としては走れるコースとなっているようです。80km程度のトレイルランニングレースが世界選手権となるのはPenyagolosa Trails(スペイン)で開催された2018年世界選手権以来です。

Long Trail – Women

2019年、ポルトガルの44kmのレースで行われたトレイル世界選手権で世界チャンピオンのタイトルを手にしたのがブランディーヌ・リロンデル Blandine L’HIRONDEL (FRA)。コロナ禍の間は産婦人科医として勤めつつ今年は脚の手術も受けていましたが、この間は2019年マウンテンランニング世界選手権で銅メダル、2021年OCCで優勝、今年はCCCで優勝。今年7月の欧州オフロード選手権の47kmで優勝と、大きなタイトルを手にし続けています。今回のロングウルトラ女子のレースでは優勝候補として名前が挙がります。

フランスからは7月の欧州オフロード選手権8位で2018年、19年のTDS連覇で知られるオードレー・タンギー Audrey TUNGY、2021年TDS優勝で2022年Trail Verbier St. Bernard by UTMB 76kで優勝のマノン・ボアール Manon BOHARD CAILLERもエントリーしており、表彰台をフランスチームで独占しそうな勢いです。

そこに割って入るのはやはりスペイン勢でしょう。昨年のCCC優勝で、昨年と今年のPenyagolosa Trails MiM 60kで優勝のマルタ・モリスト Marta MOLIST CODINAや、2021年Transgrancanaria優勝、2022年mozart 100優勝のアサラ・ガルシア Azara GARCIA DE LOS SALMONES MARCANO、さらに2017年スカイランナーワールドシリーズのチャンピオン(Extreme)から最近はウルトラに挑戦して2018年トレイル世界選手権(Penyagolosa)で5位、2019年UTMBで3位、2021年スカイランニング世界選手権スカイウルトラ・金メダル、今年のVal d’Aran by UTMBのPDA 55kで優勝のマイテ・マイオラ Maite MAIORA ELIZONDOと実績ある選手が揃っています。

加えて、今年のCCCでリロンデルに続いて2位となって注目された24歳、スンマヤ・ブッダ Sunmaya BUDHA (NEP) が再び世界のトップ選手相手にどんなレースを見せるか。マルセラ・バシノバ Marcela VAŠÍNOVÁ (CZE) はコロナ禍の間に2020年Matterhorn Ultraks 25kで優勝。2021年のスカイランニング世界選手権・Skyでの金メダルなどで実力を開花させたアスリートです。今年は6月のMarathon du Mont-Blancで5位、7月の欧州オフロード選手権で6位。これまでは30-40kmのレースを中心に取り組んでいたので、今回78kmのロングトレイルにエントリーしているのは少し意外。

このほか、今年のUTMBで3位のケイトリン・ガービン Kaytlyn Gerbin (USA)、5位のエスター・チーラグ Eszter Csillag (HUN)、TDS優勝のマルティナ・バルマソイ Martina VALMASSOI (ITA)も今回の世界選手権でロングトレイルを走ります。さらに今年のSpeedgoad by UTMB 50k優勝のアディ・ブレイシー Addie Bracy (USA)、この夏、ポーランドのChudy Wawrzyniec 80kで総合6位で優勝しているドミニカ・ステルマック Dominika Stelmach (POL) も上位争いに加わるでしょう。

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日本からは秋山穂乃果 Honoka AKIYAMAがエントリーしています。国内では多数のレースで勝利を収めており、最近では来年のオーストリアでの世界選手権の代表選考レースとなっていた霧島えびの高原エクストリーム 33kで総合9位となって優勝していました。海外でのレースは2019年のポルトガルでの世界選手権以来となります。

次の選手もロングトレイルの女子のレースに出場します。

  • ジェンマ・アレナス Gemma ARENAS ALCAZAR (ESP) : 2019年トレイル世界選手権7位、2021年Grand Trail des Templiersで2位、2022年Penyagolosa MiMで2位。
  • ロザンナ・ブッチャウアー Rosanna BUCHAUER (GER) : 2021年MIUT 60kで優勝、2022年Hochkönig Skyrace 32kで2位、Kaiserkrone Trail 56kで優勝、Eiger Ultra-Trail E51で優勝、CCCで5位。
  • ブリタニー・シャボニュー Brittany CHARBONEAU (USA) : 2020年 Pikes Peak Marathon 優勝。
  • ジョアンナ・アンティラ Johanna ANTILA (FIN) : 2022年 Transgrancanaria 61kで2位、Lavaredo Ultra-Trail 80kで2位、CCCで10位。
  • アレッサンドラ・ボイファバ Alessandra BOIFAVA (ITA) : 2022年Ultrabericus 100kで1位、Lavaredo Ultra-Trailで6位。
  • エマ・プーレイ Emma POOLEY (SUI) : 2020年Sierra-Zinalで3位、2021年Swiss Canyon Trail K51で優勝、Ultra Tour Monte Rosa 100kで1位。
  • カタルジーナ・ヴィルク Katarzyna WILK (POL) : 2022年European Running Festival – Krynicka Setka 100kで優勝、Chudy Wawrzyniec – 80kmで3位。
  • カタルジーナ・ソリンスカ Katarzyna SOLIŃSKA (POL) : 2022年Lavaredo Ultra-Trail で準優勝。
  • アンリエット・アルボン Henriette ALBON (NOR) : 2021年OCCで6位、Ultra Pirineuで4位。2022年Zegama-Aizkorriで12位、CCCで6位。
  • イーダ・ニルソン Ida NILSSON (SWE) : 2018年Transvulcania、Zegama-Aizkorriで優勝、Marathon du Mont-Blancで2位、CCCで3位。2019年Coastal Challengeで優勝。
  • イニェス・マルケス Inês MARQUES (POR): 2021年Transgrancanariaで3位、2022年 Trail du Saint-Jacques bu UTMB 72kで優勝。
  • モニカ・ビーブス Monica VIVES VILA (ESP) : 2018年OCCで3位、2022年Penyagolosa MiMで3位、Nice Cote d’Zur by UTMB 50kで2位。
  • マリオン・デレスピエール Marion DELESPIERRE (FRA) : 2021年UTMBで4位。同年MIUT 85kで優勝、2022年Trail du Vantouxで4位。
  • リア・インリン Leah YINGLING (USA) : 2021年Canyons 100kで6位、2022年Transgrancanaria 61kで3位、Western Statesで6位。
  • ジョセリン・パウリー Jocelyne PAULY (FRA) : 2021年MaXi Race 89kで2位、2022年UTMBで4位。
  • ジウディッタ・トゥリーニ Giuditta TURINI (ITA) : 2021年TDSで2位。
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Long Trail – Men

ロングトレイルの男子でチャンピオンの座に最も近いのはやはりトム・エバンス Thomas EVANS (GBR) でしょう。トレイルランニングに取り組んでまもない2018年のトレイル世界選手権ですでに3位となっていますが、その後は2018年のCCCで優勝、2019年Western Statesで3位、2020年Tarawera Ultramarathonで優勝。その後は脚の手術を受けてリカバリーに励んでいましたが、今年に入ってからはTransgrancanaria Advanced 61k、MIUT 85kで優勝。そしてUTMBでは終盤まで粘って3位でフィニッシュしたのが記憶に新しいところです。

トム・エバンスとともにレースをリードしそうなのはティボー・ガリビエ Thibaut GARRIVIER (FRA)。CCCで2019年の2位に続いて、2021年に優勝。今年のUTMBでは優勝候補の一角と見られていましたが、結果は10位。一方、今シーズンはMIUT 115kで2位、Val Tho Summit Fames 42kで優勝しています。78kmという今回の距離はガリビエにとっては得意な距離かもしれません。そしてアメリカからはアダム・ピーターマン Adam Peterman (USA) 。ウルトラランニングの経験がまだ浅い27歳が今年のWestern Statesで勝ったことは大きな話題になりました。100マイル以外でも昨年はPikes Peak Marathonで2位、JFK 50mileで優勝しています。ハンス・ナンバーガー Hannes Namberger (GER)はコロナ禍を経て実力を高めたアスリートで、2021年、2022年とLavaredo Ultra-Trailを連覇して昨年はUTMBで6位、MIUT 115kで優勝、今年はPenyagolosa CSP 106kmで優勝しています。

このほか、今年のDolomythsRun 60k優勝でCCCで3位のアンドレアス・ライテラー Andreas REITERER (ITA)、今年夏のSpeedgoat by UTMB 50k優勝のデビッド・シンクレア David Sinclair (USA)が若手では注目株。すでに活躍が知られている選手では2019年トレイル世界選手権5位、昨年のOCC6位、Templiersで4位のニコラ・マルタン Nicolas MARTIN(FRA)。テクニカルな山岳トレイルを得意とし、昨年はMatterhorn Ultraksを2位で完走しました。アリツ・アヘア

Ariz EGEA CACERES (ESP)は今年のPenyagolosa Mimで2位に。 ホセ=アンヘル・フェルナンデス Jose Angel FERNANDEZ (ESP)はもっぱらスペイン国内のレースに集中していますが、今年は自国のPenyagolosa のMiMで5位でした。

日本からは4選手がエントリーしていて、国別団体にも期待がかかります。西村広和 Hirokazu NISHIMURAは今年のUTMFと比叡山インターナショナル50mileで優勝。今回が4回目の世界選手権となる川崎雄哉 Yuya KAWASAKIは前回のポルトガルで23位となっています。前回に続いて2度目の世界選手権となる横内佑太朗 Yutaro YOKOUCHIは今年は霧島えびの高原33kで2位、白馬国際 50kmで優勝。須賀暁 Satoru SUGAは今年は8月のOSJ真昼産地 49k、9月のOSJ安達太良山50kmで2位。今回のロングトレイルの上位の選手層は厚いですが、上位に食い込んでもらいたいところです。アジアからはUTMBで2019年に6位、2021年10位のウォン・ホーチュン Ho-Chung WONG (HKG)やジェイ Jantaraboon “Jay” KIANGCHAIPAIPHANA (THA)、チョウ・チン Ching CHOU (TPE)が世界選手権にエントリーしています。

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次の選手もロングトレイルの男子のレースに出場します。

  • セバスチャン・クログビク Sebastian Krogvig (NOR) : 2021年TDS優勝、2022年 Trail 100 Andorra by UTMB®︎ 105kで2位。
  • ベネディクト・ホフマン Benedikt Hoffmann (GER) : 2022年mozart 100 by UTMB®︎で3位、Wildstrubel by UTMB 50kで3位。
  • シーメン・ヴァストランド Simen Hjalmar Wästlund (SWE) : 2022年Blefjells Beste 50k (ノルウェー)優勝。
  • ダビデ・シェラズ Davide CHERAZ (ITA) : Dolomythsrun Sellaronda Ultra Trail 60kで3位。
  • アンネシュ・カレルビック Anders Johnny Kjærevik (NOR) : 2022年 Penyagolosa MiMで3位。
  • ルドビック・ポムレ Ludovic POMMERET (FRA) : 2022年Western Statesで6位、TDS®︎で優勝。2019年トレイル世界選手権で7位。
  • リカルド・モンタニ Riccardo MONTANI (ITA): 2022年 Vibram Maremontana 60Kmで優勝。
  • ラモン・マネシュ Ramon Manetsch (SUI): 2021年Trail Verbier St Bernard – X-Traversée 74kで優勝。
  • ポール・マトー Paul MATHOU (FRA) : 2022年OCCで5位。
  • ハリー・ジョーンズ Harry Jones (GBR) : 2022年mozart 100 by UTMB 75kで優勝。
  • ミゲル・アーセニオ Miguel Arsénio (POR) : La Sportiva Lavaredo Ultra Trail – Cortina Trail 48kで2位。
  • ペーター・フラノ Peter Fraňo (SVK) : 2022年 CCCで5位。
  • ボルハ・フェルナンデス Borja FERNANDEZ FERNANDEZ (ESP) : 2022年Penyagolosa MiMで4位。

続く記事で、ショートトレイルとUp & Downhillのレースの有力選手について紹介します。

マウンテンランニング・トレイルランニング世界選手権(タイ・チェンマイ)プレビュー後編・ショートトレイル種目とアップ&ダウン種目 #WMRTC2021

2022.10.28
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