今年も恒例の「DogsorCaravan Award」(ドッグスオアキャラバン・アワード)を発表します。
DogsorCaravan Awardはトレイルランニング、スカイランニング、マウンテンランニング、ロードを含むウルトラマラソンにわたる幅広い分野において、2022年に日本を拠点に活動した選手で最も優れたパフォーマンスをみせた選手を称える賞です。
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今回は女性、男性についてそれぞれ「本賞」を一名、「特別賞」を若干名、選出。選考にあたるのは当サイトの編集人である岩佐幸一です。この記事での受賞者の発表に先立って、12月25日に女性10名、男性10名の選手の皆さんを候補者(ノミニー)として発表しています。
ポッドキャスト「Run the World」では当サイトの岩佐とポッドキャストレギュラーメンバーのナミネムさん、智也さんによる今年の候補者(ノミニー)、そして本賞と特別賞の受賞者選考の模様を公開しています。
DogsorCaravan Award・本賞
女性の部・髙村貴子 Takako TAKAMURA
2022年のDogsorCaravan Awardの本賞に 髙村貴子 Takako TAKAMURAさんを選びました。髙村さんはハセツネCUPを8時間41分49秒で完走。これまでの記録(8時間54分7秒、櫻井教美、2008年)を12分以上上回り14年ぶりの大会新記録となったのに加え、4回連続の優勝となりました。コロナ禍で3年ぶりに開催されたクラシックレースに注目が集まる中での新記録と四連覇達成は、日本のトレイルランニング界には力強い励ましとなりました。今シーズンは9月にスカイランニング世界選手権(イタリア・オッソラ)のスカイ競技で5位、10月にマウンテンランニング・トレイルランニング世界選手権(チェンマイ)のショートトレイル競技で14位と、日本代表選手として海外でも成績を残しています。
髙村さんは2018年に続いて、二度目のDogsorCaravan Award本賞を受賞しました。
今回の受賞について、髙村貴子さんからコメントをいただきました。
DogsorCaravan Awardの受賞を大変嬉しく思っています。今年は体調が戻らず苦戦していましたが、9月のスカイランニング世界選手権、11月のトレイル世界選手権で海外選手とのレースに参戦できたことは大きな飛躍につながったと思います。またコロナと台風の影響で3年間開催されなかったハセツネCUPでは、4連勝はもちろんですが念願のコースレコードを更新できたことはとても印象深く記憶に残っています。
今年の受賞は私にとって大きな節目でもあり、これからのランナーとしての原動力として活かし、精進していきたいと思います。ありがとうございました。
男性の部・土井陵 Takashi DOI
2022年のDogsorCaravan Awardの本賞の男性の受賞者は土井陵 Takashi DOIとなりました。日本アルプスを縦断するスケールの大きさと過酷さで知られるトランスジャパンアルプスレース(TJAR)を4日間17時間33分で完走。大会記録(4日間23時間52分、望月将悟、2016年)を6時間以上上回る新記録を達成しました。今や国民的イベントとして幅広く注目を集めているTJARの歴史に残る偉業といえます。TJARの優勝に加えて今年の土井さんは3月に球磨川リバイバルトレイル100kmで優勝、ウルトラトレイル・マウントフジのUTMF165kで2位、Fairy Trail びわ湖高島60kで優勝。最近では12月のDoi Inthanon Thailand by UTMBの100マイルで5位となっています。
土井陵さんは2015年のDogsorCaravan Award本賞に続く、二度目の受賞となります。
土井さんからも今回の受賞についてコメントをいただきました。
この度は数々の素晴らしいトレイルランナー、ウルトラランナーがいる中、最高に名誉な賞に選んでいただき、本当に光栄です。振り返れば2015年以来の受賞です。当時は若さもあり、突っ走って、勢いだけで受賞し、実感があまりありませんでした。今回の受賞に関しては、あれから紆余曲折、山あり谷ありの中、7年間を継続して前に進み続けてきたことで、今年の結果に繋がり、受賞に至ったと感じています。そして、それは決して私だけのチカラではなく、多くの方々に助けてもらったお陰だと感じています。この場をお借りしまして、お礼申し上げます。これからも失敗を恐れず、挑戦をやめることなく、自分がどこまで出来るかを探求していきたいと思います。ありがとうございました。
DogsorCaravan Award・特別賞
女性の部
2022年に素晴らしい成績を挙げた選手として、3人の女性アスリートを選びました。五十音順で紹介します。
秋山穂乃果 Honoka AKIYAMAさんは9月のスカイランニング世界選手権のスカイ競技で13位、マウンテンランニング・トレイルランニング世界選手権のロングトレイルで14位と二つの世界選手権で存在感を示しました。この間のハセツネCUPでは初挑戦で2位。加えて霧島えびの高原エクストトリーむのショート33k、ITJ70kのほか、地元の長野県を中心に多くのレースで優勝。DogsorCaravan Awardでは昨年に続いての特別賞です。
向井成美 Narumi MUKAIさんは今年後半に奥信濃100・100k、4100D野沢温泉65k優勝、白馬国際クラシック50kで優勝したのちに、Lake Biwa 100とOSJ KAMI100ではいずれも昨年に続く連覇。12月のITJ70kでも2位に。50kmから100マイルまで好成績を連発しました。向井さんも昨年に続いて特別賞を受賞。
吉住友里 Yuri YOSHIZUMIさんの今年は奥三河70k、KAI69kの優勝で始まりました。いずれも総合で4位という好記録。夏には富士登山競走で四連覇を達成しています。海外レースでもNice Cote d’Azur by UTMBの50kで3位。12月のDoi Inthanon Thailand by UTMBの100kmでの優勝は100km超のウルトラディスタンスでの今後の活躍を予感させる成果でした。吉住さんはDogsorCaravan Awardは本賞を二度受賞しており、特別賞も含めると2016年から毎回受賞者リストに名前が挙がっています。
男性の部(順不同)
2022年に素晴らしい成績を挙げた選手として、3人の男性アスリートを選びました。五十音順で紹介します。
上田瑠偉 Ruy UEDAさんにとって、今年はコロナ禍を経て海外レースに集中した一年でした。シリーズ戦ではGolden Trail World Seriesに挑み、欧米のアスリートがしのぎを削る中で年間4位に。とりわけ、欧州山岳ランニングの名レースとして名高いMarathon du Mont Blancでは3位となって表彰台に立ちました。加えてスカイランニング世界選手権(イタリア・オッソラ)ではスカイ競技で銅、コンバインドで銀と昨年に続いて好成績を残しました。来シーズンのビッグタイトル獲得に期待が高まります。上田さんは昨年を含め四度、DogsorCaravan Award本賞を受賞しています。
関西のトレイルランニング界の有力選手として知られてきた西村広和 Hirokazu NISHIMURAさんは昨年に続いて全国規模、そして海外に活躍の場を広げました。春のウルトラトレイル・マウントフジのUTMF165kでは圧勝。海外ではマウンテンランニング・トレイルランニング世界選手権(チェンマイ)に日本代表選手として出場、ロングトレイル競技で21位と健闘しました。このほかUTMBで34位という記録を残しています。
今シーズンにその実力を開花させたのは吉野大和 Yamato YOSHINOさん。初挑戦のハセツネCUPでの優勝は、コロナ禍での中止を経て新世代のアスリートの活躍を予感させる出来事でした。この他、初シーズンとなったGolden Trail National Series – Japanのレースで活躍。湯沢アウトスタンディング、中央アルプススカイライン、小谷トレイルオープン in 栂池、白馬国際クラシックで優勝し、日本を代表する有力選手の一人として存在感を高めました。
参考・これまでのDogsorCaravan Award
2019年に「日本トレイルランナー・オブ・ザ・イヤー」(Trail Runner of the Year in Japan)から改称しました。
- 2013年:原良和さん、大石由美子さんが本賞、山ノ内はるかさん、宮原徹さん、神流町のうめこさんが特別賞を受賞(ノミネート、受賞者発表)
- 2014年:上田瑠偉さん、大石由美子さんが本賞、西田由香里さん、星野由香理さん、松本大さん、望月将悟さんが特別賞を受賞。貢献に対する特別賞は相馬剛およびFuji Trailheadさん(ノミネート、受賞者発表)
- 2015年:土井陵さん、丹羽薫さんが本賞、星野由香理さん、宮﨑喜美乃さん、松本大さん、小原将寿さんが特別賞を受賞。貢献に対する特別賞はパワースポーツ・滝川次郎さん(ノミネート、受賞者発表)
- 2016年:大杉哲也さん、吉住友里さんが本賞、高村貴子さん、丹羽薫さん、上田瑠偉さん、川崎雄哉さんが特別賞(ノミネート、受賞者発表)
- 2017年:上田瑠偉さん、丹羽薫さんが本賞、高村貴子さん、吉住友里さん、小川壮太さん、三浦裕一さんが特別賞を受賞(ノミネート、受賞者発表)
- 2018年:三浦裕一さん、高村貴子さんが本賞、吉住友里さん、立石ゆう子さん、荒木宏太さん、城武雅さんが特別賞を受賞(ノミネート、受賞者発表)
- 2019年:吉住友里さん、上田瑠偉さんが本賞、高村貴子さん、立石ゆう子さん、星野由香理さん、浅原かおりさん、藤澤舞さん、石川佳彦さん、小原将寿さん、大瀬和文さん、喜多村久さんが特別賞を受賞(受賞者発表)
- 2020年:コロナ禍により中止
- 2021年:仲田光穂さん、上田瑠偉さんが本賞、吉住友里さん、板垣成美さん、秋山穂乃果さん、森下輝宝さん、近江竜之介さんが特別賞を受賞(ノミネート、受賞者発表)