今年は今週末の10月9日日曜日に第24回日本山岳耐久レース(ハセツネCUP)が東京のあきる野、奥多摩エリアで開催されます。その伝統とこれまでの大会での名勝負から事実上のトレイルランニングの日本選手権と見なされているこの大会に出場する有力選手を紹介します。今年も、大会当日は当サイトがお送りするライブ速報をどうぞお楽しみに。【有力選手の追加や出場見送りなどの情報を随時追記しています。】
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(写真・2015年のハセツネCUPのスタート直前。Photo by Koichi Iwasa / DogsorCaravan.com)
今回の当サイトのハセツネCUPのレポートは montrail / Mountain Hard Wear のご協賛によりお送りします。
当サイトのライブ速報は男女の上位選手の動きを中心に、コース上の主なポイントからリアルタイムでお伝えします。Twitterのアカウント、@DogsorCaravan をフォローしてお楽しみ下さい。また、当サイトのFacebookページでは数時間おきに速報のダイジェストをお伝えする予定です。さらに、大会終了後はいち早くリザルトを紹介する記事を公開するほか、主な上位入賞選手のインタビューをお送りします。
今回は2017年IAUトレイルランニング世界選手権の代表選考レースに
日本のトレイルランニング界のクラシック・イベント、ハセツネCUPは今年も例年通りの形式で開催されます。すなわち、
- 10月9日日曜日午後1時にあきる野市の五日市中学校をスタート
- コースはあきる野・奥多摩の山岳コースを一周して五日市会館へと戻る71.5km(GPSによる実測は65.4km程度、累積獲得高度 3,850mD+)
- 約2,500人のランナーが参加(前回大会スタッフボランティア、春のハセツネ30kの男子上位1000人、女子上位100人に優先エントリー権、あきる野市ふるさと納税エントリー枠<上限400人>あり)
- コース上での補給は第二関門(月夜見第二駐車場、42km地点)の1.5リットルの給水所とコース後半の三ヶ所の天然水の水場のみ
となります。コースの高低図をみると三頭山、御前山といったピークの前後の尾根は走りやすいコースのようにみえますが、実際には急で細かい登り下りが無数にある難コース。7–8時間でフィニッシュするトップ選手も含め全てのランナーが夜間にコースの核心部を走ることになることもハセツネCUPの大きな特徴です。本校執筆時点(3日月曜日)の天気予報では大会当日のあきる野市は曇り時々雨、最高気温は20℃、最低気温は14℃。台風や前線の影響で冷たい雨となるかもしれません。また雨の続いた後の夜のコースは濃い霧となることも多く、コースを見落とさないように注意が必要でしょう。
ハセツネCUPの大会記録は男子が7時間1分13秒(上田瑠偉 / Ruy Ueda、2014年)、女子が8時間54分07秒(櫻井教美 / Norimi Sakurai、2008年)となっています。
当サイトもお伝えしている通り、今回のハセツネCUPは来年6月にイタリアで開催されるIAUトレイルランニング世界選手権の代表選考レースの一つとなっています。来年2017年の世界選手権は6月10日にイタリア中部・トスカーナ州のバディーヤ・プラタリア / Badia Pratagliaで開催されるTrail Sacred Forestsの中のレースである、トレイル・ルンゴ / Trail Lungo(50km / 2,800mD+)となっていて、今回のハセツネCUPの男女上位入賞者は日本代表選手の内定資格を満たします。なお、今年2016年のIAUトレイルランニング世界選手権は今月10月29日(土)にポルトガル北部・ブラガで開催される85kmのトランス・ペネダジェレス / Trans Peneda-Gerêsにおいて開催され、日本からも選考レースを経て選ばれた代表選手が出場します。
今年の有力選手
今年のハセツネCUPは先日開催されたUTMFや上記の今月末開催の世界選手権と日程が近いことから出場を見送る有力選手もいますが、今年も日本の頂点を決める長距離トレイルランニングレースとして今年も見どころの多い大会となりそうです。
今年のハセツネCUPで上位が期待される有力選手をみてみましょう。
女子 / Women
女子では昨年の上位選手に出場見送りが目立つなか(2位の星野由香理、4位の丹羽薫、5位の松井一葉、7位の鴨井夕子など)、北島良子 / Ryoko Kitajimaが最有力優勝候補となることは衆目が一致するところでしょう。昨年のハセツネCUPで初優勝(9時間28分36秒<自己ベスト>)となった記憶も新しいところです。世界陸上女子マラソン日本代表経験者のスピードは健在で今シーズンもOSJ奥久慈、美ヶ原80kで優勝しています。過去6回のハセツネCUPでは2011年5位、12年2位、13年5位、14年3位、15年優勝と安定して上位に入り、コースやレースについても経験は豊富。【追記・北島良子は今回はレースには出場せず、スタッフとして当日大会を支えます。2016.10.05】
その北島良子に挑むのは昨年のハセツネCUPで北島に9分差で3位だった高村貴子 / Takako Takamuraです。初挑戦の昨年のハセツネCUPで20代の大学生が一時女子トップを走ったことで注目を集めた高村は今シーズンはスカイランニングユース世界選手権・Gran Sasso Skyraceで女子準優勝となる快挙で話題に。国内でもMt. Awa VKで優勝、スカイランニング日本選手権・Zao Skyrunning 21kで優勝、比叡山50kで3位、白馬国際50kで優勝しています。ただIAUトレイル世界選手権が今月末に控えていることを考えると無理はしたくないところ。
松岡宏美 / Hiromi Matsuokaは今年春のハセツネ30kで優勝(当サイトとのインタビューはこちら)。その後の今シーズンは地元・信州のレースで善光寺ラウンドトレイル17k、戸隠マウンテントレイル20k、Rockin’ Bear黒姫42k、志賀高原マウンテントレイル40kと優勝を重ねています。ハセツネCUPに初挑戦となる今回、どんな走りを見せるかに期待がかかります。浅原かおり / Kaori Asaharaは昨年のこの大会で初出場ながら9時間59分で6位。今年は菅平42kで優勝、美ヶ原80kで3位、先日の短縮されたUTMFで8位。太田美紀子 / Mikiko Otaは今年の奥三河70kで2位となってIAUトレイル世界選手権に日本代表となっているほか、毎年上位に入っているサロマ湖100kでは自己最高位の4位になるなど好調。ハセツネCUPも昨年までに8年連続完走で昨年は自身最高位の11位でした。【追記・太田美紀子は今月末のIAUトレイル世界選手権、来月末の100km世界選手権を控えてハセツネ出場を見送ります。】昨年8位の齋藤美紀 / Miki Saitoは今シーズンはOSJ奥久慈で3位に。今回はさらに上位を狙えそう。そしてこちらもハセツネ上位常連、2014年には4位となっている大庭知子 / Tomoko Obaもエントリーしています。大庭は今年はスパトレイル72kで3位、短縮されたUTMFで9位となっています。
なお、ハセツネCUPで2度優勝している大石由美子 / Yumiko Oishiはエントリーしていますが、今月末のIAUトレイル世界選手権を前に出場を見送ります。
そのほか注目選手の皆さん
- 星野緑 / Midori Hoshino:2009年ハセツネCUP優勝(10時間10分)、TJARで2008年および2010年完走。
- 松浦真由美 / Mayumi Matsuura:ハセツネでは2007年4位、2014年9位、2015年13位など。UTMFでは2012年8位、2013年9位。
- 野間陽子 / Yoko Noma:昨年のハセツネで12位(10時間47分<自己ベスト>)、奥三河70kで6位、OSJ奥久慈50kで2位、OSJおんたけウルトラ100kで4位。
- 關利絵子 / Rieko Seki:2014年白馬国際50kで2位、2015年STYで6位、今年のOSJ奥久慈50kで5位、OSJおんたけウルトラ100kで8位、短縮されたUTMFで10位。
- 大松知恵 / Chie Omatsu:今年の経ケ岳VLで8位、スパトレイル72kで8位。
- 池田華子 / Kako Ikeda:今年のスカイランニングユース世界選手権・Gran Sasso SkyraceでユースBの部4位、OSJ安達太良50kで2位。
男子 / Men
男子のレースはここ数年のハセツネCUPでの活躍が印象に残る選手が集まり、どのような展開になるか関心を集めそうです。
今回は2013年の東徹 / Toru Higashi、2014年の上田瑠偉 / Ruy Ueda、そして昨年2015年の奥宮俊祐 / Shunsuke Okunomiyaと直近3回のハセツネCUP優勝経験者が揃いました。奥宮俊祐は昨年、10回目のハセツネCUP出場で悲願の優勝(7時間40分31秒)を果たしたことが大きな話題となりました。今シーズンは1月のHong Kong 100で12位、4月のハセツネ30k優勝、7月のEiger Ultra Trail 51kで8位、9月のTrans Alpine Runで山田琢也とのチームで7位。今回のハセツネで2回目の優勝が果たせるか。上田瑠偉は2014年のハセツネで7時間1分で大会記録を塗り替えて優勝し、今年に入ってからはアメリカのGorge Walterfalls 100kで優勝、スカイランニング・ユース世界選手権・Gran Sasso Skyraceで優勝、CCCで2位と、その活躍の舞台を世界に広げています。当然ながら今回のハセツネでも優勝候補の筆頭として注目されますが、国内外で活躍した後のシーズン終盤となる今回、その力をフルに発揮できるかどうか。東徹は2013年のハセツネで前年のチャンピオン、ダコタ・ジョーンズの記録を塗り替える7時間19分13秒で優勝。そのタイムは今も上田瑠偉に次ぐ歴代2位の記録です。フルマラソンPRが2時間19分12秒(2009年福岡国際)という俊足の持ち主は、最近のトレイルでは昨年のスカイランニング日本選手権・美ヶ原80kで優勝、今年のスカイランニング世界選手権・Buff Epic Trail 105kで22位といった記録を残しています。【追記・東徹は足の故障からのリカバリー中のため出場を見送ります。2016.10.8】
さらに忘れるわけにはいかないのは奥山聡 / Satoshi Okuyama。先にあげた3人がそれぞれ優勝した2013年には3位、2014年には2位、2015年には3位と熾烈な優勝争いを繰り広げ、2013年の2014年の7時間22分は上田、東に続く歴代3位の記録です。ライバルが揃う今回、優勝を狙ってきているはずです。レースの出場は多くありませんが、今年は9月の白馬国際50kで優勝し、好調ぶりがうかがえます。
そして昨年のハセツネで奥宮に続く2位(7時間47分)となった三浦裕一 / Yuichi Miuraも今年のハセツネのスタートラインに立ちます。三浦も出場する大会は絞り込んでいますが、今年7月に美ヶ原の45kに出場して3位、9月に上州武尊山30kで2位となっています。
今年のエントリーリストをみると、最近の活躍が注目される4人の名前が目にとまります。先にあげている5人との競り合いを見せそうな選手を紹介しましょう。まずは荒木宏太 / Kota Arakiです。高校・大学は駅伝で、滝ヶ原自衛隊では富士登山駅伝で活躍してきた荒木はケガでレースの結果から遠ざかっていましたが、今年2月にはフルマラソンで2時間25分02秒(熊本城マラソン、2位)となって快調。先日のSTYに向けて順調な調整を続けていましたが、レースは先頭を走りながらも中止に。その闘志を今回のハセツネにぶつけることになります。地下翔太 / Shota Jigeは初めてのトレイルレースとなった昨年のハセツネで8時間6分で6位という好タイムでデビュー。箱根駅伝に出場した経験を持ちフルマラソンPRが2時間17分、今年の熊本城マラソンでは荒木に続く3位でした。昨年の経験を活かせば今年はもっと上位が期待できそうです。川崎雄哉 / Yuya Kawasakiは昨年の多良の森トレイルランニング、Red Bull白龍走で優勝してから、今年は比叡山50kで3位、白龍走2位、北丹沢44kで優勝。今回が初めてのハセツネとなります。ここで荒木、地下、川崎の九州勢に並んで名前を挙げたいのは吉原稔 / Minoru Yoshiharaで、今年4月の奥三河70kで2位となってから、奥久慈50kで優勝。スカイランニングのレースにも積極的に挑戦していて菅平42kで5位、Zao Skyrace 21kで2位など。ただ、吉原も今月末のIAUトレイル世界選手権に日本代表として出場予定で、無理は控えたいところです。【追記・吉原稔は世界選手権に向けた調整のため出場を見送ります。2016.10.08】【追記・小川壮太 / Sota Ogawaが今年のハセツネに出場します。今シーズンはスカイランナー世界シリーズのTromsø SkyRace 53kで4位、Glen Coe Skyline 55kで12位と本格的な山岳レースで活躍。ハセツネは2013年に8位、2014年には7時間36分で5位という記録を残しています。2年ぶりのハセツネで上位に入る可能性は高そうです。2016.10.08】【追記・河野健一 / Kenichi Kawanoが出場します。北九州市の黒崎播磨陸上競技部所属の実業団ランナーとして活躍し、昨年2015年にはスカイランニング日本選手権・菅平42kで2位となっています。その後はケガでトレイルレースからは遠ざかっていましたが、今回のハセツネで復活です。2016.10.09】
トップ10入りをねらう皆さん
山田琢也 / Takuya Yamada:2012年ハセツネ5位、ハセツネでの自己ベストは7時間50分(2013年)。2014年信越五岳2位、今年9月のTrans Alpine Runで奥宮俊祐とのチームで7位。【追記・山田琢也は出場を見送ります。2016.10.09】- 加藤淳一 / Junichi Kato:昨年のハセツネで4位、ハセツネでの自己ベストは8時間3分(2012年)。2014年富士登山競走で3位。
- 牛田美樹 / Miki Ushida:昨年のハセツネで8位、2014年は10位で自己ベストタイム(8時間0分)。2015年スカイランニングアジア選手権・MSIG Sai Kung 50kで5位、スカイランナー日本シリーズ年間チャンピオン。
- 加藤晶文 / Masafumi Kato:昨年のハセツネで5位、2014年は13位で自己ベストタイム(8時間3分)。今年の短縮されたUTMFで15位。
- 伊藤健太 / Kenta Ito:昨年のハセツネで7位(8時間8分)。昨年はこのほかOSJ山中温泉優勝、奥三河70kで2位、スパトレイル72kで3位、峨山道73kで3位。
- 菊嶋啓 / Kei Kikushima:2015年信越五岳2位、富士登山競走2位、OSJおんたけウルトラ100kで4位。今年9月の白馬国際・ミドルで3位。ハセツネでは2011年に4位、2012年に3位(7時間53分)。
- シン・ジェドク(沈在徳) / Jae-Duk Sim:2006年ハセツネ優勝。昨年は9位。2016年Korea 50kで2位、TNF100 Korea優勝。
- 牧野公則 / Masanori Makino:2015年ハセツネでは8時間19分で10位のほか、昨年のSTYで8位、七面山修行走で3位。今年はハセツネ30kで2位、OSJ奥久慈50kで5位。【追記しました。2016.10.8】
- 伊東努 / Tsutomu Ito:2015年ハセツネ15位。ハセツネでの最高位は2007年の4位、自己ベストタイムは8時間1分(2014年)。
- 横内宣明 / Noriaki Yokouchi:2014年ハセツネで12位(8時間3分)、2016年UTMT(香港)で4位。
- 小山真一 / Shinichi Koyama:昨年のハセツネで11位。今年は経ケ岳VLで6位、菅平42kで6位、Zao Skyrace 21kで8位。
- 佐藤岳人 / Takahito Sato:2015年ハセツネで14位。
- 柴田幸生 / Yukio Shibata:2015年ハセツネで12位、今年の白馬国際50kで6位。
- 細山雄一 / Yuichi Hosoyama:2015年ハセツネで17位、神流MR&W50kで優勝、FTR100で優勝。
- 渡辺裕治 / Yuji Watanabe:2015年ハセツネ18位。自己ベストタイムは8時間9分(2014年)。
- 栗原孝浩 / Takahiro Kurihara:昨年のハセツネで23位、今年2016年はOSJ奥久慈で6位、美ヶ原80kで4位。
- 名取将大 / Masahiro Natori:2016年上田VKで9位、スカイランニングユース世界選手権・Gran Sasso Skyraceで11位、経ケ岳VLで7位、東丹沢宮ヶ瀬32kで2位。
- 貝瀬淳 / Jun Kaise:2015年スカイランニング日本選手権・美ヶ原80kで8位、2016年Echigo Country Trail 50kで2位、美ヶ原45kで2位。
- 小野雅弘 / Masahiro Ono:Tor des Geantsで2013年8位、2014年5位、2015年5位。今年の上州武尊山60kで6位。
- 森井和幸 / Kazuyuki Morii:2015年奥三河70kで4位。
そのほか注目選手の皆さん
- 吉田賢治 / Kenji Yoshida:昨年のハセツネで19位、ITJで2013年7位、2015年12位。
- 土屋克則 / Katsunori Tsuchiya:昨年のハセツネで32位、今年のハセツネ30kで3位。
- 紺野裕一 / Yuichi Konno:今年のTJARで2位、4回完走。ハセツネでは2008年、11年に11位。
- 山谷良登 / Yoshito Yamadani:ハセツネでの最高位は2010年の9位、自己ベストタイムは8時間12分(2012年)。
- 円井基史 / Motofumi Marui:ハセツネでの最高位は2004年の4位、自己ベストタイムは8時間30分(2012年)。
- 大塚浩司 / Koji Otsuka:2015年ハセツネで26位、信越五岳14位。
- 小島弘道 / Hiromichi Kojima:2014年上州武尊山120k優勝。
- 後藤豊 / Yutaka Goto:2009年ハセツネ優勝。
- 横山峰弘 / Minehiro Yokoyama:2004年ハセツネ優勝。
- 大内直樹 / Naoki Ouchi:1999年ハセツネ優勝。
- 小池征宏 / Masahiro Koike:2015年上州武尊山120kで8位、OSJ奥久慈9位。
- 反中祐介 / Yusuke Tannaka:2016年OSJ奥久慈で7位。
- 寺尾修 / Osamu Terao:今年の比叡山50kで5位、2015年STY10位、
- 福井哲也 / Tetsuya Fukui:今年の比叡山50kで6位、2015年上州武尊山120kで5位、峨山道73kで5位。